工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

FIFA W杯 南ア大会に感謝を(決勝戦前夜)

FIFA W杯も明日未明のオランダ vs スペイン の決勝戦を残すのみとなってしまった。
両チーム、決勝戦にふさわしいすばらしいプレイをしてくれると思う。
どちらが勝者になっても初のW杯制覇となるが、いずれも栄冠にふさわしいチームだろう。

あえて予測をすれば、やはりオランダに一分の利があるかなとは思っている。
予選リーグから負けなしの6勝でここまで勝ち進んできているし、今大会会場となった南アフリカという国の公用語の1つ、アフリカーンスはオランダ語のようなもので、オランダチームにとっては馴染みの深いところということも、4週間にもわたる長期戦を戦い抜く中で、恐らくは陰の力となって作用しているのではないのだろうか。

開会前はW杯始まって以来初のアフリカ大陸での開催ということで、南アフリカというお国柄も手伝い、治安問題などが障害になるだろうとのメディア予測もあり、確かに関係者の宿泊施設での盗難騒ぎなども伝えられたものの、概ね順調に運営されていたようでFIFA 南アフリカ組織委員会の準備と運営には敬意を表さねばならないと思っている。

決勝戦を前にして閉会式が執り行われるが、ぜひこのセレモニーの会場にネルソン・マンデラ氏の姿を見たいものだと思う。
91歳を数え、車いすの人となっているが、彼にとって恐らくは最後の晴れ舞台になるはずだった開会式には直前のひ孫の交通事故死により出席が叶わなかったという経緯だった。
言うまでもなく、この南アフリカがFIFA 2010W杯の会場に選定されたのは、誰あろう、マンデラ氏の反アパルトヘイトの闘いと、彼の旺盛なる招致活動の成果によるものであり、それを知る南アフリカ国民の誰もが出席を願っていることだろう。

FIFAにとっても反レイシズムを正面から掲げ(準々決勝、各会場でキックオフ前に「反レイシズム」宣言があった)、積極的にアピールしている姿勢からもぜひ実現してもらいたいと思う。


サッカーボール1

このW杯の1月間、南アフリカの各会場から届けられた熱戦は世界中にサッカーという1つのスポーツを通して歓喜を共有させてくれた。
こうした経験というものは他の何かで代替できるものではないかもしれない。
それほどにも、地球市民という枠組みで考えた時、貴重な宝物のように感じさせてくれた。

今朝、何気なく視たNHK BS1の「BS世界のドキュメンタリー」は〈引き裂かれたイレブン〜旧ユーゴのサッカー選手たち〜〉(2000年、オランダ制作)というものだったが、旧ユーゴスラビアの内線の悲劇でサッカー代表チームが分裂を余儀なくされるというもので、選手、監督(オシム)の苦悩を描いて、それは良いドキュメンタリーだった。

サッカーがまさに血を流さないフィールド上の戦争の様相を呈することをまざまざと見せられるものだったが、そうした中でも試合終了のホイッスルが鳴れば選手同士、肩をたたき合ってフェアプレーを称え合うその姿の中に、サッカーの危うさとともに、他には代え難い国境を越えていく力というものを教えられた。
イビチャ・オシム氏のサッカー指導における洞察力、サッカー哲学、国際的な視野などのバックグラウンドは、故国における苦難とそれを超えたところでのサッカーというスポーツの魅力を体現していることと関係なしとはしないだろう。
サッカーボール1

ところで今大会でも予選リーグで沈んでしまったが、北朝鮮の雄姿も忘れがたい。
次のW杯のアジア枠とも関係してくるものだから、韓国のベスト16、決勝Tへの進出も大いに讃えたいと思う。

政治的枠組み、国際的な力関係を超えたところでのフラットな力関係から同じ1つのフィールドで戦う姿は、様々な属性を排し、時空を1つのものとして共有することのできる希望のフィールドがそこに起ち上がるというのはとてもすばらしいことだと思う。
大会終了後は、それぞれ所属クラブへと、あるいはあらたにオファーされた欧州クラブチームへと勇躍旅立っていくことになるが、日本サッカー協会としては、ぜひ今大会を通しての総括をしっかりとやり、新たな強化方針を打ち立てねばならない。
監督の選任をはじめとして、日本チームの成果を確認するとともに、課題を抽出し、世界と戦えるチームの創出へと踏み出してもらいたいと願う。

今大会における日本のパス成功率は60%、出場32カ国の中で最低だったという。
キックの精度、トラップの技術、走るタイミングと早さ、相手DFシフトの読み、等々、いくつもの要素が反映する数値だが、闘莉王の口を借りなくとも、やはり下手くそなサッカーというのが数値でも明らか。
堅い守りでカウンターでの速攻、という大会直前の岡田監督の戦略転換は奏功した形ではあるものの、攻撃面でゴールへ向けた流れるような美しいチームプレイは残念ながら見られず、ミスが目立った。
ベスト16以上を狙うには、いやいやそうではなく、アジア予選を突破するにも、まずは基本プレーの精度を高めるとともに、世界レベルのFWの育成が必須の要件になってくるだろう。

さて今大会、イングランド、フランスという強豪が予選リーグで敗退、南米5チームがベスト16、開催国大陸アフリカ勢で決勝T進出はガーナのみ、等々、いくつもの語りたい話題があるが、紙幅も尽きた(笑)ので、全ての参加選手、FIFA役員、関係者すべてに感謝を申し述べて終えることにしよう。


PS:開催前の06/05のBlogで貼り付けたYouTubeの「Waka Waka」(シャキーラ)、NHK BS1 W杯関連番組で良くBGMとして使われていて楽しさ倍増だったが、閉会式(オランダ vs スペインの決勝戦の前に行われる)でもパフォーマンスを披露されるとのこと。
今夜は眠れない

PS2:参院選、開票が進んでいる。
与党民主党、大敗の情勢‥‥
・管首相の稚拙で乱暴な政権運営(選挙民が全く見えていない)
・政権交代した第1期民主党政権(鳩山政権)の良質な理念をばっさり切り捨てたことへの報い(菅直人氏ともあろう人が、それはそれは信じられないほどの“変節”)
・参院選での政権選択素材を「消費税増税議論」へと貶めた報い
・定見が無く、気分で投票する選挙民の多さ

問われねばならなかったのは、新自由主義へとまた舞い戻るのか、ということであったはずなのに。
残念で悔しくて、眠れないよ、今夜は。

でも思うね。政権交代したからといって、2年3年で、腐りきった日本の政治社会制度が変われるわけもなく、10年、20年という単位での変革であるということ。

民主党は一端野に下って、新たに初めて政権運営能力を養う、という長期スタンスでの構想を打ち立てるしかないだろうね。

選挙民もお預け民主主義、気分屋さん、ではなく、一人ひとりが担うという覚悟がなければダメでしょう。
腐らずにいきましょう。
(結局、でも民主党は与党維持、連立へ向けて野合していくんだろうな (-。-;)

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