工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

iTunes 的音楽生活

めじろ
寒の戻りも一段落。春の兆しか、メジロが庭の夏蜜柑の樹にやってきてチーチュルルーとさえずる日が多くなってきています。
こうした小鳥のさえずり、海辺での波が押し寄せる音、林を抜けてくる風の音、耳をくすぐるこれらの音は心を鎮めてくれるものです。
ところで五感のなかのヒトの聴覚は果たして進化してきているのでしょうか。
大昔、外敵の侵入を警戒するためにあったであろう聴覚も警戒する必要が無くなった現代。ヒトの耳はあるいはやはり退化しつつあるのでしょうか。
12日、アカデミー第77回授賞式の放映で「ビヨンセ」という歌手がライブパフォーマンスをしていたのですが、ヒトメボレしちゃいました。


ボクは米国の音楽シーンには疎くて、既に皆さんはご存じの歌手なのかもしれませんが、新しいミューズの誕生か、と思わせるような魅力を振りまいていました。
どうもボクの音楽の好みはバラェティーに富んでいますし、新しい音楽シーンにも興味津々です。
聴覚は鍛えれば鍛えるほど、研ぎ澄まされていくのだろうと思います。音楽的センスとは直接は繋がるものではないのでしょうが、良質で、時代を切り取るような新鮮な音楽に耳が快楽を覚えるということは、ありがたいことです。
工場では高速回転する機械の音に全てが支配されてしまいますので耳栓をしたいほどですが、手作業場では好きな音楽をかけて作業することができます。
MP3にフォーマットさせたCD/Rで長時間流すことができますのでとても良い仕事場音楽環境です。
以前 iPod に触れた記事(「Monologue」04/10/1 )において iPod の秀逸さはそのハードに依るものと言うこと事に留まらず、ソフト「 iTunes 」が優秀なのだということを記しました。
このソフト+ハードの連携があって初めて成し遂げられた「世界標準MP3再生HDDプレーヤー」なのです。

MP3再生プレーヤーは iPod に限ったものではありません。多くのメーカーが既にさまざまなMP3プレーヤーを出していました。これらと比し iPod は何故高い評価を受けたのか。デザインが優れている、価格が適性、音質が良い、遅らばせながら、Windows 対応にもなった、etc 様々な理由があげられるでしょう。
しかしやはり本質的な優位性はといえば、やはりこの iPodを駆動するソフト iTunes の出来の良さにあるのだろうと思います。
iPod の一人勝ちにホゾを噛んでいた日本のオーディオメーカーはこぞってこの iPod 打倒を目標に様々な機種を新規投入してきているようです。
しかし恐らくは iPod ほどの人気機種にはなれないだろうと思います。
つまりどういう事かと言いますと、Apple 社のハード、基本ソフト(OS)、アプリケーション全てを自社で開発しているという強みに比し、残念ながら日本のオーディオメーカーにしても、パソコンメーカーにしても基本的開発態勢の差が歴然としていて勝ち目がないであろうということです。
さらにまたこうしたエンターティメント系の分野での開発哲学はApple社に一歩も二歩も譲らざるを得ないということにあるように思います。

iPod を車載し、カーオーディオに接続して楽しむ環境については先に触れました(3/1)ので、今日はこの iTunes を活用しての部屋でのリスニング環境について(自己の状況に引き寄せて)考えてみます。
Mac
部屋では食事をしているか寝ている以外は机の前にいて読書をしているか、ネットサーフィンをしていますのでMacは起動しっぱなし。
このMacに搭載されたスピーカーはお世辞にも良い音質とは言い難く、長く耐え難い思いをしてきました。
iPodに音楽コレクションを取り込むことを進める過程で、このデータをiPodのみならず、部屋のスピーカーを鳴らしたいと思い始めたのでした。
一般的にはイヤフォン端子から音を取り出し、これをオーディオ装置に繋げればOKなのですが、音質ということからしますとどうも我慢ならない。何故かといえばこの方法はMacからの音源はアナログです。Macの内部でデジタル→アナログ変換をしているということで、Mac内部のノイズの影響を受けやすいということがあります。
これを避け、デジタルデータを直接取り出せれば問題は回避できますので、 USB 接続させれば良いわけです。
デジタルアンプ内部では高品質なD/Aコンバーターでアナログ信号にしてくれ、音源の品質を損なうことなく、スピーカーを駆動してくれます。
購入する以前は、このデジタルアンプは恐らくはプロ向けなのでかなり高価なのではという認識だったのですが、これは誤りでした。
実は安価(1万円台)で音質もボクの耳にという留保付きですが、とても高い品質のように感じられました。
MA-500U(S)>  ONKYO
■定格出力    :15w + 15w
■再生周波数範囲 :20Hz〜20kHz
■SN比     :100dB
■入力端子    :USB、Line IN OUT 他DIGITAL IN OUT
さて、音源の方ですが、Macの iTunes に取り込んだCD音源、MP3音源、他、 iTunes のインターネットラジオをよく使います。ジャンル豊富、チャンネル数も豊富ですし、何より流しっぱなし、というのが好感を与えてくれます。
ところで以前の記事で次ぎのように iTunes の機能が日本国内では制約がある旨の記述をしました。

しかし残念ながらこの iTunes も日本では十分にその機能を生かし切れていません。それはApple社が戦略的に進めているミュージックストアが日本では許可されていないという特殊な事情にあります。
全米ではこのiTunes 投入当初から、さまざまな法的規制を緩和させ、ネット上から99セント/1曲 でダウンロードできるようになっていて iPod の売り上げもこのダウンロード数の伸びとともに相乗的に伸びていきました。欧州でもこの春から解禁。
日本では以前も述べたように音楽会社は猛烈に反対していてこの Apple 社のミュージックストアを目の敵にしているようで、未だ解禁の見通しは立っていない。(日本の音楽ソフト業者はオーディオ、パソコンメーカーと一体化していて、 iPod の売り上げに繋がるようなミュージックストアは自社のハードウェア部門の市場シェアを奪う、という立場のようです)

PC Watch が、来日中の米Apple Computerの上級副社長フィリップ・シラー氏へのインタビューを掲載していますが、残念ながら有料音楽配信サービス「iTunes Music Store」の日本での展開についての時期について確たるメッセージはなかったようですが、恐らく年内にはサービス開始となることでしょう。
(MSNもauも既にやっていることが、何故に Apple には解禁されないのでしょうか?)
昨夜はNHKの予算審議の録画中継を見ていて深夜2時を越えたので、チョウ眠い。バッドコンディション(睡眠不足に加え、審議内容の体たらく、腰抜け質問、危機意識希薄な答弁などへの不満が鬱積)。
こんな日はごきげんな音楽を大きく鳴らし、五感を覚醒させながらの工房生活でした。
(3/16追記しました。)

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