工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ルーターマシーンについて(その3)

本稿初回時に掲載した写真の刃物について触れてなかった。
いずれもストレート刃だが、それぞれ径が異なるものだが、共通することは替え刃であるということ。
数十年前まではこうしたルータービットもSKH(高速度鋼)が主流だったが、今ではそのほとんどは超鋼合金(UHなどと表示されることもある)、カーバイドチップだ。もっと昔は炭素工具鋼が使われていただろう。
職人によっては「ハイス(高速度鋼の通称)の方が良い、自分で研磨できるし、良く切れる」などと言う。そのような性格の差異があることは確か。
ちょっと余談だが、かなり以前から機械刃物のほとんど全てを超鋼に替えてる。
手押し鉋盤、自動一面鉋盤などは、まだまだ一般には高速度鋼が多く使われていると思われるが、使い勝手としては圧倒的に超鋼の方が刃持ちが良い。刃こぼれしにくい。
価格は倍以上するし、研磨コストも同様に高い。しかしそれ以上の価値を認めることが出来る。


話を戻して、ルータービット。
現在うちでは曲面を含めた成型加工のほとんどは面取り盤で行うようになってきているが、時と場合によってはルーターを使うことも少なくない。(回転方向が逆なので、大きな逆目切削の時などは両方を併用する。あるいは小径の曲面成型など)
こうした成型加工にはその切削量がかなりシビヤに関係してくることが多い。
型板とルータービットの刃径の関係が崩れることは避けたい。しかし研磨することでこれは崩れてくる。
したがって刃径が一定に継続使用できる替え刃のビットがこれに替わってきたということだ。
簡単にこの替え刃のビットについての特徴を上げると…、
○ 刃径が変わらない
○ 研磨する手間がなく、いつでも職人の判断で最適な状態に維持できる。
× ビット本体が高い
× 1枚刃のため回転バランスが微妙に崩れることがある(太い径のものなど)
といったところか。
さてランニングコストだが研磨する場合と比較して、決して高いとは感じられない。1枚の替え刃は左右2度使える。ボクはしたことがないが、研磨しようと思えば出来るように思う。(重量バランスが崩れるだろうからお奨めは出来ない)
1度 カ○○社の30φの替え刃式ビットを購入して装着回転させたら異常に大きな音を上げて唸るので怖くて返却したことがある。
購入するときはこの重量バランスは注意してチェックすることをお奨めする。
因みに先の写真についてそれぞれの仕様を記す。(左から…)

  1. φ16 × 50 l (シャンク径16) 松岡カッター製作所
  2. φ16 × 50 l (シャンク径12)  Leitz
  3. φ14 × 40 l (シャンク径12)  Leitz
  4. φ12 × 30 l (シャンク径12)  Leitz
  5. φ30 × 30 l (シャンク径12)  カネフサ

松岡カッター製作所
兼房株式会社
■ ライツ株式会社
  045-533-3020 神奈川県横浜市港北区北新横浜2丁目7-2

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