工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

木工用ドリル刃 第3弾

ドリルaドリルb

うちで使用されている木工用のドリル刃の主要なものを紹介してきたが、もう少しお付き合い頂きたい。
今回はちょっと特殊な分野のものになる。
【逆タップ ボルト抜き】画像 左
これは打ち込んだ木ねじを取り出す時に用いられるありがたい道具だ。
あらかじめ適合するサイズの鉄工ドリルで取り出すねじの中心部に先穴を開ける。次にこのボルト抜きビットをタップハンドルに装填しこの先穴に強く差し込み、ビットの逆ネジ山に木ねじを食い込ませながらゆっくりと逆回転させることで取り外すことが可能となる。
いくつかのサイズがあるが、家具製作で用いられる木ねじ対象では2種ほど揃えれば良いだろう。
■ 発売元:新潟精機株式会社
■ 商品名:折れ込み ボルト抜き
■ 品 番:No.801〜805


ボクが木工を始めた頃は、木ねじの素材は鉄、ユニクロめっきのものを使っていたが、1年も経たずしてステンレスに切り替えた。
理由は簡単。錆びにくいことはもちろんだが、硬度が高いことだ。
家具にはもっぱら広葉樹が使われるが、かなり比重の高いものもありそれだけ堅いものになる。鉄の木ねじだと、途中で首根っこのところで折れてしまうということが頻発する。
最近ではもっぱら木ねじの挿入にはインパクトドライバーが使われると思われるが、これはかなり強力で、小さなサイズのものだと頭の+の部分を変形させて空転してしまうことも良くあること。
そうした問題でもステンレス木ねじは破損しにくく有用だ。
確かに単価は高くなるだろうけれど、こんなところでケチるものではない。
(なお小サイズの木ねじで鉄素材のものでも焼き入れされたものがあるが、これも使い勝手はよい)
しかしステンレスであればすべて上手くいくというものではなくミスして打ち直しを迫られることはある。
そうした時にはこの逆タップビットを使おう。ステンレスだとなかなかハードなので先穴を空けるのも大変だろうけれど優秀なドリル刃を使えばステンレス何するものぞ、で空けてしまおう。
【 Self-centering drill bit 】画像 右
要するに金具取り付けの際に、この金具の取り付け穴の真芯に先穴を開けるためのもの。
素人さんにはわかりずらい内容の話になろうけれど、家具製作においてはかなり重要なポイントの1つでもある。
典型的な例が、開き扉の取り付け位置に関わる問題。
取り付けのための丁番の位置決めはとてもシビアで重要なポイントだ。0.2mm違うだけで建て付けが上手く行ったりいかなかったり。丁番の取り付け穴の真ん中に先穴が開けられなければあきませんのです。
こうしたビットが入手できる以前はそれ用のセンターポンチをとりい出し、玄翁でゴチンとやったものだが、海外のツール販売店から手軽に個人輸入出来るようになってからこのようなものが入手できるようになった。数年前からは国内のメーカーでも製作されるようになっているらしい。
ボクは大小2本所有しているがこれで十分だろう。
(内蔵されているドリル刃の交換の時は、パーツが散逸しないように注意しましょう←結構複雑)
同じ画像 隣は「皿取り錐」だが、インパクトドライバー対応のもの。HSSだ。
最近はかなりの種類でこのようなインパクトドライバー対応のものが普及してきているようで現場職人としてはありがたい。

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  • 本業の保守作業では時々使います>ボルト抜き
    サイズも5種類ほど。まあよく折れるのはM5、M6
    でしょうか。ほんとうに重宝しますね。
    趣味では?
    ほとんど、使わないなぁ>爆

  • >kentさん
    確かに、本来は「ボルト」対応であって「木ネジ」に用いる方としてはちょっと使わせていただく、という敬意が必要であったかも (^_^;

  • Self-centering drill bit 、私も使っています。
    あれは便利ですね。
    でも削り屑が詰まって動きがしぶくなってしまうので、1回使うごとに削り屑を取り除いてやらないといけません。
    私が使っているのはホームセンターで買った国産の物なのですが、外国の物はその点の使い勝手はどうなのでしょう?

  • >itsukiさん comment ありがとうございます。
    屑排出は重要なポイントです。
    うちで使用しているものもスプリングの動きが鈍くなることがあるようです。屑の排出とは少し違う問題ですけれど。
    ビット内部の精度(管、内壁の仕上げ精度)が悪いのかな?
    CRCなどの潤滑剤を与えてやると少しは改善するのでは。
    他には…、ドリルの切削性能が劣化しているということも関係してくるのでしょうか?(これは、あまり適切な回答じゃないな)
    最後は、他のメーカーのものを試すと言うことでしょうか。

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