工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

「30年に1回の異常気象」

異常な暑さが続いているが、気象庁による3日の記者会見での「30年に1回の異常気象」との見解はさもありなんなどと呑気に受け流すわけにはいかないものであるらしい。〈気象庁:「2010年 夏の異常気象分析検討会での検討結果の概要」

「異常気象」という定義は気象庁では「過去30年の気候に対して著しい偏りを示した天候」とし、また世界気象機関では、「平均気温や降水量が平年より著しく偏り、その偏差が25年以上に1回しか起こらない程度の大きさの現象」としていることに示されるとおり、「著しい偏り」が顕著だという認識に基づくわけだね。
今や毎年のようにゲリラ豪雨、猛暑、冷夏などの気象現象に見舞われているために、やや「異常気象」という言葉も軽んじられつつあるが、しかし今年の「異常気象」はほんまもの、ということのようだ。

地学を修めたこともないボクにはエルニーニョ、ラニーニャと言われても良く分からないが、その原因がいわゆる地球温暖化、都市化によるヒートアイランド化、森林破壊、など様々な要因が複合的に異常気象の因子を構成しているのだろうということは理解できる。
つまりそのほとんどの要因が人為的なものであるらしいということ。

またそうであれば、今後巨万の人民を擁する中国、インドなどの急速な近代化は、一層深刻な「異常気象」をもたらすだろうことも想像に難くないということになるのか。

気温
画像は今日の工房内の気温と湿度を示すものだが、もはや人間活動の許容範囲を超えつつあるというのが実感。

少し前、近くの挽き物職人の工房に立ち寄ったのだが、「今日は仕舞いだ、これじゃとてもやっていられない」との嘆きをもらし、片付けているところだった。
木造の小さな工場だが、屋根が低く、熱気が籠もっている。
これじゃ死んじゃうわ。

うちもさして変わらない環境だが、ただ屋根は6〜8mほどの高さがあるので、少しマシか
この異常気象はどうもこの先2週間ほど推移しそうだというので目が眩みそうだ。

ボクたちの木工家具制作などの加工業は人為的な対応策も講じることができるのでまだ良いが、我々の主要素材たる材木、つまり森林への影響はいかほどのものがあるのだろうか。
樹木は生を受けてから一生を全うするまで、その場所を移動する自由は無い。
つまり地球温暖化、異常気象などの地球環境の悪化をただじっと苦々しく受容し、耐えるしかない。

ブドウ
数日前、信州の世話になっている師からブドウが贈られてきた。
とても糖度が高い。無論一級品を選定してのものであれば当然かも知れないが、やはり高温で推移した恩恵かもしれない。
しかし一方、果樹農家の苦労もまた例年以上の厳しさがあっただろうことを想像しつつ、このブドウを頬ばり秋の到来を待つことになる。
(果たして秋は来るのか ?、そのままに「寒い冬」へと移行するということは無いのか)

今日のYouTubeは「Be My Love」 Keith Jarrettのピアノで。
空のスチール写真を編集し、スライドさせただけのシンプルな構成だが、キースの抑制されたキータッチの演奏と共鳴して美しい。

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