工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

TVキャビネットを地デジ対応に

AVキャビネット


昨今、このようなものをテレビボードと呼ぶのだそうだが、これって英語圏で通じる用語なのかな?
彼の地では「TV Entertainment Center」とか、「TV/Game Cabinet」といったような呼称が一般的なようだが、とりあえずここではTVキャビネットと呼ばせていただこう。

お恥ずかしい画像で恐縮ながら、これは我が家のキャビネット。
独立自営して直後に制作したものだから、かれこれ20年の余は経過する古色蒼然とした佇まい(ちょっと大げさかな)。

いわゆる自家消費ということだね。
うちは古く狭いチープな住まいだが、家具のいくつかを自身の物で占める。
紺屋の白袴というのもそれはそれで職人が置かれた社会環境を自嘲気味に語るもので好ましくも思うが、必要かつ可能であれば大いに使ってやりたいもの。

我が家では展示会出品物の売れ残りを設置することも無いわけではないが、多くは新しいデザイン、仕口の試作を兼ねたものが多い。
これを実際に使うことで、そのデザイン、機能、使い勝手、さらには経年変化などをテストする。

ところで、TVはご覧のように未だにブラウン管のアナログ受信のものでしかない。
購入して5年余り経過するが、とても良い映りで満足している。

ボクは地デジへの移行には以前より政府総務省、家電業界、放送業者の利権絡みの策謀でしかなく、TV買い換え消費を強制する弱者イジメでしかないと考える立場だし、そもそも放送されるTV番組もゴミばっかりだし、子供の正常な情操、発育を阻害するものでしかないと考えているので、フン、受信できなくても良いワイ、などと、買い換えにうずうずしている妻の懸念をよそに居直っている。


こんなボクだが、一昨日隣町に住むおふくろさんのTV映りが悪いというので、仕方なく小型の地デジ対応TVを購入し設置してきたところ。

米寿を超えた母も喜んでくれた。
一人用の小さな液晶TVながら、ハイビジョン映像の美しいこと。
その画像の美しさには、アナログ地上波停止ハンタ〜イの勢いも削がれてしまうほどのインパクト。あれれ‥‥‥。

現在アナログTVでは上下が切られた映像で送られてきていてとても見づらい。
「レターボックス」とか言うのだそうだが、上下の黒帯のところに「来年7月でこのアナログテレビは視られなくなる、デジサポに連絡しなさい‥‥」などとメッセージが流される。
本来のTV映像が見づらくて仕方がない。
うちのは29インチサイズだが、上下が潰されてしまい、実質24インチほどの領域でしか送られてこない。暴挙だね、全く。
4:3の旧い映像の場合はさらに横幅も縮小されてくる。コンチクショウ、ほとんど詐欺だ。

この「レターボックス」、公式には16:9のデジタル放送画面を目にしてもらい、視聴者に早期の地デジ対応を促すというのだが、要するにさっさと地デジに移行しろ !! という脅しである。

でも気弱でヘタレなボクは妻の意向にもこれ以上逆らえず、近く導入することになりそうな雰囲気。

そんなわけで20数年経過したTVキャビネットを導入されるTVモニタのサイズに合わせるべく、上台の柱を数cm嵩上げしつつ(上台の下部、白い部分)、ついでに長年の汚れを落とし、オイルを塗り直し、撮影と相成ったという次第。
これで何とか37インチのものに更新ができそう。

メーカーサイトの地デジ購入アドバイスでは現在の4:3の29”の場合は37″が現状維持サイズで、お薦めは42″なのだと言うのだが、そんな大きなサイズは狭いうちには,無用じゃ。

さて怒りを抑えて‥‥、このキャビネット、若かりし頃の稚拙なデザインと仕事内容ではあるが、いずれまたTV更新後にでもディテールをご覧いただき、デザイン・設計についてもお話しさせていただこうかな。

ところで、TVはBS1などで送られてくる外報、スポーツ、ドキュメンタリーなど中心に視ているが、そのほとんどはチューナーをUSB接続したMacからである。
こちらも地デジチューナーに交換せねばならず頭痛がしてくる。
Mac対応の機器はあまり選択肢が無く、少なくない投資が待ち構えている。
家電業界、放送業者だけが万々歳 !?

こうして来年7月に向け、まだまだ使用可能なテレビジョンの膨大な数がリサイクル場へと排出されていく。
購入時には「エコポイント」なるものが付与される(年末まで)が、膨大なゴミ出しを強制させておいて一体どこがエコなのか、凡夫の理解を超える制度ではある。

しかしこの世にはおよそエコという名が付く偽装が多すぎはしないか。
エコ、エコと大文字で語られる事柄へはまず疑ってかかるというのが賢明なようだ。

《関連すると思われる記事》

                   
    
  •  「エコという名が付く偽装」全くもって同感です。
     建築の業界でも、あれほどエコを謡っていた「高気密・高断熱」が「やっぱりあれはダメだった、、」という方向に向いてますね。
     「バリア・フリー」(これは語源を知るものにしてみたら素晴らしいねじ曲げ言葉ですが)で建材メーカーが儲け、それをいいことに「高気密・高断熱」と生活に悪い環境を取り入れてまた儲け、それを羨んだ電気業界が気密性をゆるーくカバーしてなおかつ儲ける為に「24時間換気」を義務化させる、それを許している我々の責任も大きいです。
     現在、広告宣伝に使われている「エコ」の風景はエコロジーなものがほとんどですが、やってることは自分達の為だけのエコノミーなものが多いですねぇ。

  • 自宅ではケーブルテレビですが、テレビはアナログのままです。
    総務省からの要請で、ケーブルテレビ局は来年7月以降はデジアナ
    変換とかを実施するそうで、2015年まで地デジの番組をアナログテレビでそのまま見ることができそうです。もちろんアナログ画質ですが。
    というのも、ケーブルテレビで有料チャンネルを見るために
    チューナーボックスを借りている訳ですが、家庭内の2台目、3台目
    のテレビには、このチューナボックスを付けていない場合が多く
    、そのままでは来年7月以降2台目、3台目のテレビは映らなくなって
    しまうためです。
    自室では、今のブラウン管テレビが壊れるまで使おうかと思っています。

  • たいすけさん、建築業界の設計・施工基準もいわば国産材を疎んじ、米材の洪水の如くの輸入促進として結果したことは広く知られたところです。
    日本の高温多湿という固有の環境下での建築に、いきなり欧米のものを持ち込んでも無理がありますね。
    在来構法での施工を専らとする方々にはさぞ苦々しいものがおありでしょう。
    エコ≠エコロジー → エコ=エコノミーならぬ金儲け、という図式は仰るような側面があることはみえみえ。
    民主党政権のマニフェストにおける「新産業育成政策」の柱の1つが環境産業の育成であるわけですが、現政権にはその具体的方途が見えてこないのがとても残念です。

  • acanthogobius さん、ケーブルテレビのそのような代替方式は知りませんでした。
    +4年の経過措置というのは妥当な判断のように思いますね。
    > 自室では、今のブラウン管テレビが壊れるまで使おうかと
    acanthogobiusさんのその姿勢は好ましいですね。
    以前ハイビジョン番組を視聴しているという話しがあったと記憶していますが、てっきり地デジ導入済みと思っていました。

  • 自作でサイズもぴたりで、頑丈そうですね。

  • kokoniさん、
    >サイズもぴたりで、頑丈そう
    楢の無垢材でがっちり作っていますのでね。
    薄型のLED液晶モニタではバランスが崩れるかも (^^ゞ

  • artisanさん、良く覚えておられますね。
    以前、BSハイビジョンの放送が見たくて、チューナーだけ
    買いました。
    チューナーはハイビジョンですが、テレビはアナログなので
    BSハイビジョンの番組をアナログ画質で見ています。

  • acanthogobiusさん、そうでしたね。
    BShiは独自の番組編成を行っていますので、画質以前にコンテンツの独自性は垂涎の的でした。
    BSデジタルも急速に普及する中、NHKの放送波の再編成も考える時期かも知れません。(チャンネル数の縮小で番組制作に資力をシフト)

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