工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

《木工家ウィーク 2009・NAGOYA》のご案内

この5月中旬、愛知県名古屋市・市街地複数個所で木工家具の展示会、および様々な企画が包括された「フォーラム」で構成される《木工家ウィーク 2009・NAGOYA》が開かれます。
昨年の〈木工家ウィーク 2008〉を継承発展させたものですが、今年も盛りだくさんな企画内容となっています。
私たち木工家という生業(なりわい)は、日々の暮らしの中に木工家具を取り込むことで、より快適に、また美しく住まうということを提案し、また日々木屑にまみれて精励しているわけですが、主材である木材資源の供給不安、海外からの破壊的な価格での家具の流入、あるいは急峻な経済収縮という社会・経済状況の中で、その存在意義、持続可能性といったいくつかの困難な課題が立ちはだかっています。
こうした中で、あらためて木工家具というモノヅクリの現状というものを皆で共有し、また広く一般に問いかけ、その有り様を検証しようという企画でもあります。
先のBlog記事「新入りの若者に与ふ」でも書きましたが、木工家具制作という生業が意味する社会的意味、現在的意義は決して低下しているものでもなく、むしろこれからより広く深く評価され、求められるものであろうという確信はあるものの、様々な諸条件に阻まれ、必ずしも正当に評価されないということもあるでしょう。
それは消費財市場に貫かれる価値形態から弾き出されてしまう、という市場原理枠組みとの親和性からの逸脱ということもあるでしょうし、あるいは木工家側における消費者(使い手)への歩み寄りの欠如、独善性(独りよがり)、稚拙な制作手法と品質の問題といったネガティヴな問題もあるかもしれません。
一方では大衆消費社会に適合させることの困難から、私たちが手がける木工家具の魅力とその特徴というものが残念ながら社会的に十分に認識されてはいないという問題もあるでしょう。
それらの問題を共有し、また問題解決の方途を探り当て、もって良質な木工家具の制作に寄与させ、社会的評価を確かなものにしていければと考えるものです。
ぜひ広く皆さんのご高覧を得て、手厳しい評価を仰ぎ、ご指導ご鞭撻をいただければ嬉しいですね。
なお「フォーラム」の一部は有料での人数制限もありますので、お早めにエントリーしてください。
ボクは個人的には「木工家」という呼称を過度に宣明することは趣味ではありませんし、あまり閉鎖的な職業意識の宣揚も如何なものかという思いもあります。
ぜひ等身大での木工家具づくりの「今」をご覧いただき、また「フォーラム」にご参加いただくことで木工家具の魅力とその特徴についての理解を深める好機としていただきたいですね。
【企画概要】
1.フォーラム
  日時 2009年5月16日(土)13時 〜
  会場 愛知県勤労会館(つるまいプラザ)小ホール
 ■ 講演会  (有料)
  「中村好文・私のデザイン手法 − 建築と椅子 −」
      with 3 人の木工家( 村上富朗・高橋三太郎・谷進一郎) 
 ■ シンポジウム(無料)
  ・「暮らしの中の木工家具 ── 作り手と使い手を結ぶもの」
  ・各地木工家グループ代表によるシンポジウム
 
2、展覧会
  日時 2009年5月12日〜17日
  会場 名古屋市内各所
 ■『家具+展』 (ノリタケの森ギャラリー)
 ■『ひとつだけの家具展』 (東桜会館)
 ■『木工家が作る木のカトラリー展』(ラシック6階)
 ■『ポケットの中の木の名刺入れ・展』(BEWOOD SHOP)
 ■『ちいさな木の椅子100脚展』(セントラルパーク パークスクエア)
    (『ちいさな木の・・」のみ17、18日)
・主 催:木工家ウィーク 2009・NAGOYA 実行委員会
・後 援:愛知県、名古屋市
 *詳細はWebサイトでご確認下さい。
(当Blog管理者、杉山の作品出品はありません、実行委員として企画にご協力させていただきます)

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