工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

NHKもなかなかやるじゃない・「プロジェクトJAPAN」

大型連休ド真ん中の今日5月3日、昨夜から続く高速道各地域では予測を超える渋滞が発生とのこと。当県と隣の愛知県境の宇利トンネルでは50数Kmの渋滞とのこと。
いやいやご苦労様ではあるね。事故の無いように願いたい。
祝休日の高速道1,000円走り放題の効果ということになるのだろうが、渋滞によるCO2増加、石油燃料の過度な消費、等々、現下の世界的規模での石油消費削減、環境保護への取り組みとどういう相関関係があるのか、などと言う話しはせっかくの5月の爽やかさとは対極なものになるものであれば、興ざめなので止めよう。
先ほどラジオのニュースでこうした行楽客へのインタビューがあった。
Q:今日5月3日は何の日かご存じですか?
A:え〜っ、何だったかな、5日は子どもの日でしょ。3日は〜と、‥‥‥ゴメンナサイ、判りませ〜ん
なるほど、これも平和な日本の光景と見なせば良いのかな。
でもボクは、ここに“ふぬけた”という形容詞を献じて差し上げよう。
憲法記念日ということも忘れて行楽に出掛けるのも、確かに平和な社会の一断面であるだろう。
でもしかし、こうした平和の一断面というものを謳歌できるのも、この憲法という基本法があるからという言い方もできるかもね。
もう少し深く立ち入れば、第二次世界大戦、20年にわたる対中戦争という凄惨な戦争体験、塗炭の苦しみを経て勝ちとった平和憲法であることに思い至れば、あらためてその意味というものを考えてみることも必要となるかも知れない。


今や確かにこれらの体験を経た年代は周囲を見回してみても数えるほどかも知れないし、近しい親族にはいない人の方がむしろ多いのかも。
いやだからこそ、それらの貴重な体験へとアクセスしなければと思う。
なぜならば、ボクたち戦後に生を受け、〈平和な〉社会の中で経済成長の恩恵を受けながらぬくぬくと生きてきた者としては、その前の世代の系譜の人たちの人生と時代というものを、実はべったりと背中に貼り付けたままに、生きてきたということに思い至ることも必要なこと。
ボクたちはそうしたことに鈍感でいられるかも知れない。
俺たちゃ、そんなん、関係ないじゃん、という言い方も聞こえてくる。
しかし鈍感でいられない人が実はこの国々の周囲にはごまんといるというのが事実なのだね。
そうした1つの事柄に対して、あまりに非対称な立場というのでは、現在のようなあっという間に国境を越えてしまう時空の縮小の時代には、果たして通用するのだろうか。
もっと謙虚に、自分の依って立つ足下を見つめ、鈍感でいられない人々のか弱い声に耳を傾けることができるならば、もっと誇り高く生きていくことができるだろうし、世界はもっと豊かに(経済的、精神的に)なっていくことができるのになぁ、などと考えてみよう。
また憲法が今や日常的に踏みにじられ蹂躙されているという現実が一方で進んでいるのも事実。
上げれば枚挙に暇が無いが、あえて1つだけ俎上にする。
ソマリア沖への海上自衛隊の派遣である。
昨日の朝日新聞には、国連PKOで紛争処理に奔走した「紛争屋」の異名を取る伊勢崎賢治さんが、このソマリア沖の自衛隊派遣は明白な憲法違反と喝破していた(朝日新聞09/05/02、12版p13 オピニオン欄)。
彼の意見に依らずとも、明々白々な憲法違反だということなどはっきりしていると思うのだが、どうもメディアの反応、あるいは民主党などの論調では、そうでもないらしい。
「海賊退治」は国益だから派遣は当然だと言う。
ソマリア沖が危ないのであれば、わざわざ軍事力を派遣しなくともケープタウンへと回避すれば済む話しだ。そもそも海外派遣はしないというのが国是であったものが、易々と議論もないままに破られている。
世界に冠たる「平和憲法」を保有する日本には、他国にはない優位性をもって、「海賊」なるものの背景へ深く分け入り、ソマリアが置かれている政治社会状況、国際的関係へと誇り高く非武装で介入、支援していくことが可能だろうし、またそうあらねばならないと強く思う。
伊勢崎氏によれば、国内では護憲派と言われる人々が、なぜかこの問題では声を上げないのだ訝る。しょせん護憲派などというのは、被害者意識丸出しで、真のリベラル陣営などではないのだね。
「海賊」の出没を実は破顔しつつほくそ笑んで見ているのが、軍事拡大路線をめざす勢力であり、今回の派遣に最も前のめりであったと伝えられる麻生首相などの為政者なのだ。
とにかく何でも良いから海外派遣の既定事実を積み重ねることが彼らにとっては最大の眼目。
今や平和憲法もズタズタ。
さて、既に気付かれた人も多いと思うが、NHKではこの春、「プロジェクトJAPAN」という大規模な企画番組の放送をスタートさせている。
普段ブラウン管に向かうことのない者をも惹きつけるだけの引力をビリビリと感じさせてくれる。
2月4日、その第1弾が「プロジェクトJAPAN プロローグ 戦争と平和の150年」としてスタートし、この原稿を書いている今夜、その第2回が放映されている。
今後3年間にもわたる長期の番組企画だそうだ。

未来へのプレーバック
2009年は「横浜開港150年」、2010年は「韓国併合から100年」、20011年は「太平洋戦争70年」、「サンフランシスコ講和条約60年」
近現代史の大きな節目を迎えるこの3年間に、スペシャルドラマ「坂の上の雲」、NHKスペシャルなどプロジェクト関連番組を多角的に展開し、これからの日本を考えるヒントを探りたい。

ということで、以下のようなプログラムでの構成となるようだ。
〈2009年〉横浜開港150年
・NHKスペシャル シリーズ「JAPANデビュー」を4月〜7月、各月1本
・ETV特集 シリーズ「日本と朝鮮半島 2000年」 全10本
・ドキュメンタリー「坂の上の雲の時代」11月 ①国民誕生
・スペシャルドラマ「坂の上の雲」第1部 5本 11月〜12月
 
〈20010年〉韓国併合から100年
・NHKスペシャル シリーズ「朝鮮半島と日本」4月〜
・ドキュメンタリー「坂の上の雲の時代」 ②
・スペシャルドラマ「坂の上の雲」 第2部 4本
〈20011年〉太平洋戦争開戦70年 サンフランシスコ講和条約60年
・NHKスペシャル シリーズ 4月〜
・スペシャルドラマ「坂の上の雲」 第3部 4本
このラインナップ見るだけでもその意気込みたるや、NHKドキュメンタリー部門の総力を挙げてのものと感じ入るが、他にも関連するミニ番組もあるそうだ。
さしあたっては「世界と出会った日本人」として福沢諭吉、高橋是清、渋沢栄一、大久保利通、大山捨松、辰野金吾、伊藤博文、南方熊楠、津田梅子、陸奥宗光、北里柴三郎、新渡戸稲造、片山潜、夏目漱石など、25回のシリーズが設けられている。(各5分間)
* 参照
NHKスペシャル
プロジェクト JAPAN
・05/03 21:00〜 シリーズ JAPANデビュー 第2回 天皇と憲法 
・05/03 22:00〜 ETV特集「いま憲法25条“生存権”を考える」(内橋克人、湯浅誠)

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