工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

Apple Tabletが意味するもの

Apple Tablet
ところで皆さんは電車などでの移動の際、何をされていらっしゃるのだろう。
昨今、本を拡げて読んでいるという光景はめっきりと減っている。
若者に定番だったコミック本に目を落としニヤつくという姿もまばら。
たまに受験生が参考本とにらめっこという姿があると何となく微笑ましく思ったりするね。
ほとんど全てはケータイと対話している(メール、ネット接続)というのが実態だ。
こうした光景が間もなく変貌していくかも知れない。
タブレット型端末で新聞を読み、読書をするという姿に置き換わっていくかも‥‥。
先月9日、Apple社の音楽関連スペシャルイベントのステージに降り立った、スティーブ・ジョブズCEOのプレゼンテーション、興味深くご覧になった方などは既に強い関心を持って待ちかまえているのではないだろうか。
Apple社によるTablet型の端末開発はいよいよ最終局面にきているらしい。
スティーブ・ジョブズ氏の肝臓移植手術後の業務復帰以降、一体何に取り組んでいたかと言えば、このTablet型の端末開発なのだという(もっぱらの噂)。
もともと、あまりこうしたデバイスに興味を抱かなかったと言われるジョブズ氏だが、iPhoneおよびApp Storeの大成功、あるいはモバイル端末周辺の環境整備(ハードウェアではCPU、SSD、バッテリーなどの能力向上、ネットワークでの3G、Wi-Fi環境の整備)などで、その気になってきたというところか。
Apple情報サイトなど、それまではそのサイズ、機能などのスペックに関心が及んでいたのだったが、今回明らかになった情報では、そんな次元の話しではなく、情報流通の革新的な方向性を示唆するものとともにあったのだというからいささか驚かされた。
いやいや‥‥、Apple情報サイトらの想像を超えたところでの革新を伴ったデバイス開発であるらしい。
どういうことかと言えば、ボクが語るより関連情報サイト(AppleInsider)、(Gizmodo)、(Gizmodo日本版)をご覧いただいた方が良いだろうが、かいつまんで言えば、新聞、雑誌など印刷媒体を含む情報を、音楽のようにiTunesから配信するというアイディアを出版社などに働きかけているというのだ。
これらを新しいタブレットデバイス、リリースの起爆剤にするということらしい。


つまりは交通機関、徒歩などでの移動中、Wi-Fi、あるいはケータイキャリア3Gネットワークを介して、新聞、雑誌、文献などのテキスト、他のデータをダウンロードし、タブレットに表示、情報を取得、楽しむというようなイメージか。
広告出稿が紙媒体からネットへとドラスティックに移行しつつある状況下、恐らくはそれまでの印刷媒体流通を激変させるような情報革命というものを虎視眈々とねらっているのかもしれない。
畏るべしApple。
いや、確かに一時話題となったAmazon Kindleを始めとする電子ブックリーダーというデバイスが市場に問われて久しいが、国内での発売は未定、売り上げ台数は未発表など、その市場でのインパクトはさほどではないというのが事実だ。
一方、iPhoneアプリAPP Store が人気沸騰(20億件を越えるダウンロード数)なのは、開発業者側の一元的管理で世界へ向けて届けられ、またユーザ側もiTunesで一元的に購入、管理できるというシステムであればこそなのだが、Apple Tabletもまた同様の配布・管理システムが取られるとなれば、市場におけるインパクトは強力なものとなるだろう。
(通常のケータイアプリ開発はキャリアごとに、あるいは端末機種ごとに様々な仕様が要求され、またリリースのシステム、決済のシステムも煩雑)
なお数日前のNHK BSからアメリカの小学校における教科書がiPhoneに取って代わられつつあるというニュースが配信されていて驚いたのだが、このApple Tabletはこうした教科書としての活用に向いているのではとの話しも出ているようだ。
改訂版をいちいち印刷して配布するには、数ヶ月〜年単位での時間が必要だが、iTunesでの配信であれば瞬時だしね。
幼い我が子が重い教科書を背中をはみ出すほどの大きなカバンに入れて担いでいく姿に眉をひそめる親も多いだろうしね。
ボクはこのBlog読者にはネットおたくのように見做されているやもしれないが、これでも時間の許す限り読書するよう心掛けている。
インクの匂いを嗅ぎながら本を1ページ、1ページとめくる歓びは失いたくないので、Apple Tabletに依拠しようとは思わない。
しかし明らかに情報流通の手法が激変して行くであろう事は確かで、これに抗えるものではないようにも思える。
数年後の電車内の光景が変貌していくことは確かだろう。
iPhoneの発表の際、スティーブ・ジョブズCEOはこれを「携帯電話機の再定義」としたのだったが、Apple Tabletでは「出版の再定義」という言葉で高らかに宣言するのであろうか。
このApple Tablet、噂では市場でお目に掛かれるのは来春だそうだ。

Top画像は「GIZMODO」からお借りしました。

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