工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

鍵取り付けは楽しからずや

鍵1
家具に錠前を施すと言うことは、必ずしも一般的なものではないかも知れないが、机、飾り棚、など、いくつかのカテゴリーにおいては必須のアイテムになる。
そこで悩むのがハードウェアだが、これまではスガツネのラインナップからいくつかのパターンを活用したり、HÄFELEのものを活用したりと、ケーズバイケースで臨んできた。
鍵というのも様々なタイプがあるが、解錠セキュリティーにおいて堅牢なものはシリンダー錠ということになる。
スガツネにもこのシリンダー錠は用意されていると言うものの、彫り込みタイプのものは無い。
彫り込みタイプということは錠前本体と、シリンダー部が分離できると言うことが前提となるので、その分機構的に難しくなるので、あまりやりたがらないのだろう。
しかしそう言った条件でもHÄFELEでは、彫り込みタイプのものがあった。
残念だが、これは過去形。
最近確認したところ、廃番になったのかどうかは不明だがドイツ本国にも在庫はないらしい。
由々しき事態だ。
今回は彫り込みタイプでなければならなかったので「本締まり錠」という名称の
いわゆるアンティークタイプのものにした。
画像はその納まり部分のものだが、いわゆる「鍵座」は既製のものはステンレスであるが、ちょっとイメージにそぐわないので、木で自作した。(黒檀)
このようなものはちょっとした機械と工具があれば簡単にできるが、やはり難しいのは寸法精度。
鍵本体が納まる彫り込みの深さ、特に木部プレート部分はそのサイズはもちろん、トップは面一にならなければダメ。
また鍵穴は鍵本体とはオフセットの位置関係であり、そうしたことも含め少しタイトな加工となる。
しかしこれらは全てテンプレートをあらかじめ制作しておくことで対応することになる。
鍵2なお鍵穴には標準としてステンレス製のプレートが付いていてこの製品品質は悪くは無いもの、しかしこれはあまりにも無粋。
仕方がないから、また木で自作することになる。
今回は黒檀でバチッと作ってみた。
細い部分は約3.5mmの細さだが、これらもテンプレートを作り、3mmストレートルータービットで切削加工する。
こうした加工では神経を使うが、仕上がりを見れば、それだけの報いはあるというもの。

《関連すると思われる記事》

                   
    

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.