工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

一枚板削りの高ぶり

CLARO一枚板の削り



数ヶ月前のことになるが、近傍の雑貨屋が廃業へ向け、在庫整理のためのバーゲンセールをしているというので、いそいそと出掛け、いくつかの道具と共に購入したのが、このマキタの電気鉋。

間口2間ほどの雑貨屋ではあるが、鍋釜から大工道具まで幅広く品揃えしているところで、道具、資材などの緊急調達にはとても便利な店だった。

主人が老いたことでの店仕舞いにあたり、まずは3割引からスタートし、2週間後には半額セール、そしてさらに2週後には7割引と、“もってけドロボー ! ”的な処分だった。
ボクらが行ったのは5割引の頃。

したがって、この鉋も半額以下で買った。
‥ 以下というのは、この機種、店頭に並んでから何と15年が経つという年季ものであることを確認し、値引き交渉が成立したからだ。

そして、今回使い降ろしとなった。

15年前の商品とは言え、現行品と変わらない。
「1804」という機種で刃巾135mm、定盤の長さ、450mm。
普段は画像奥のものを使っていたが、新しいものはこれよりも定盤が100mm長い。

板の削りというものは、まず何よりもムラを取りながら全面を平滑にすることから始まるが、この作業に必須の道具、電気鉋も定盤が大きな方が有利ということになる。

2m、あるいは1mの直定規で平滑性をチェックしながらの削り作業となるが、大きな定盤であれば、それだけ安心してスイスイと削っていける。

ところでこの板、へんちょこりんな形状をしている。
CLAROウォールナットなのだが、原木で皮部に一番近いところにあたる板のため。
もともと中央が大きくくびれた樹形だったからね[1]
この形状からして中央でぶった切ろうとも思ったが、あえてこの形状を活かして座卓様のものにしようと思い直した。

何せCLAROだから安易な使い方が許されず、刃物を入れるにも緊張を強いる。
2寸に挽いた板で、太いところの巾は4尺(≒ 1,200mm)、長さ5尺だったが、以外と歩留まりは良く、50mmに仕上がった。

4尺ほどの幅で、しかも辺材に近い部分であれば、大きく反っていて、歩留まりを大きく削ぐというのが通り相場だ。
しかしCLAROという樹種はとてもおとなしく、反張が少ないという物理的性質を持つ。

加えて、この原木の乾燥は直射日光には当てず、屋内で長時間乾燥させてきたもので、そうしたお守りの結果でもあるだろう。

この後、CLARO固有の独特の削りのフィーリングを味わえるのが楽しみだ。
おっと、その前に脚部のデザインを決めなくちゃ‥‥、
めちゃ、アンチシンメトリな形状のため、悩ましい。

hr

《関連すると思われる記事》


❖ 脚注
  1. CLAROという樹種が人為的な成長過程を経ているという出自を持つため、様々に不自然な形状をしていることが多い []
                   
    

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.