工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

クルミ材と国産材の需給逼迫

画像は鬼グルミだ。
この原木を購入したのは10年以上も昔のこと。

クルミは乾燥後であっても、白太に限らず赤身にまで虫が入るので、あまり放置しておけないのだが、コイツの虫食いはかろうじて白太で停まっていた。

昨今、国産のクルミを求めるのは容易ではない。
製品(乾燥材)で流通しているクルミには国産ものはほとんど無いようだ。

15年ほど前には製品で流通しているものは中国産がもっぱらだったが、今では中国からの輸入も途絶え、極東ロシア産のものが主流か。

こうしたものは、概して質が悪い。
無論、その品質は様々だろうが、国産のように材色が濃く、靱性の高さなど物理的特性においても、比肩しうるものは、無い。

大変残念なことだが、それが現実。

そうしたものを求めるならば、材木屋に相談し、各地で展開する原木市で競り落としてもらうしかないだろう。

市場に流通していないとはいえ、原木を探せば何とか入手できる。
安定供給が無いと言うだけで、枯渇したわけでは無い。

今回の材は脚物の家具制作のために木取ったものだが、クルミ材としては色も濃く、比較的良質な部類だ。経年変化でさらに濃色に推移していくはず。

うちではクルミはクルミでもブラックウォールナットを使うことの方が多いが、軽快な感じで仕上げるには、やはり鬼グルミが良い。
イメージとして軽快というだけでなく、事実、重量も20〜30%ほど軽量だ。


hr

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