工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

秋来ぬと 目にはさやかに 見えねども ・・・

手押し鉋
立秋だそうだ。
午前中は静岡県工業技術研究所(旧工業試験場)の木工室の機械を借りに出た。
作業を終え東名高速道上から南の空を仰げば、高い空に鰯雲が広がっていた。
一方北の空を見れば大きな入道雲がもくもくとせめぎ合っている。
今日も30度を超える猛暑。秋の兆しもちらほら伺える季節になったとはいえ、まだまだ厳しい暑さが続く。
県の機関の機械を借りることは決して多くはない。
せいぜい年に1度ほどか。
借りる機械は手押し鉋盤、帯ノコの2機種ぐらい。
今回は2.4m、60cmのブラックウォールナットを数枚。
テーブルの甲板用。
うちの手押し鉋盤は305mmの仕様。県の木工室のものは同じ大洋のものだが400mmの幅を持ち、この差異100mm増大の効用を評価してのもの。
無論幅が広ければ定盤の長さも大きく、長尺ものの切削にはより有効。


できれば500mmのものが借りられれば良いし、そうしたものを設置している工場を知らないわけではないが、公的機関とは違い迷惑掛けるしね。
ここで昔はプレナーも借りたが、今ではうちの600mmの方がはるかに高精度に切削できるので無用になった。
以前は親しいデザイナーがこの機関に席を置いていたので顔パスで借りられ、また歓談の楽しみもあったのだが、今ではこの機関にはそうした木工関連陣容も縮小され、新たに印紙を購入して貼り付けて費用を支払う、といういかにもお役所的事務手続きを求められるようになってしまった。
最後には排出されたおが屑までも集めて持ち帰ることを求められるという始末。トホホ‥‥。
チョウナ我々外部のものにはそうしたところで感じるだけだが、内部の方々は、日常業務内でさらに厳しいコストカットを強いられているのだろう。
時は移り、他の様々なものと同様に木工業務を囲む環境も変わりつつある。
帰宅後は手押鉋盤で落とせなかった残余分を手鉋などで落とし、平面を出し、プレナーで切削。
その後虫害にやられている辺材部分をチョウナではつり、両面手鉋を掛け、今日は終了。Tシャツ4枚が汗で水浸し。
明日は矧ぎ作業に入れるだろう。
*画像
上:静岡県工業技術研究所木工機械室での作業
下:工房、ワークベンチ上でのチョウナはつり作業

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  • 残暑お見舞い申し上げます。
    煉獄の業火のごとく百日紅
     あまた咲きたり仕事進まず
    涼しさに特許英訳始めたり
     夏水仙の咲きそめし朝
    まさとし

  • 江戸の風に吹かれて さん 
    真夏の太陽から降り注ぐ炎熱は貴兄の地域にも等しく襲いかかっているようですね。
    秋の収穫へ向けてがんばっていらっしゃるようですがご自愛下さい。

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