工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

抽斗システム・センターガイド

抽斗のスムースな作動を確保するためには様々な手法がある。
それらは基本的には駆体の構造、抽斗の構造などに規定付けられるが、今回紹介するのは上げ底の抽斗で、ある程度大きな間口の場合に活用すべき手法の1つになる。
ある程度大きな間口の場合、間口 × 奥行き、のバランスからスムースな作動を確保するというのは意外と難しいもの。
基本はタイトに仕込むことでスムースな作動を確保することが可能であるが、もっと良い方法があるとすれば、このセンターガイドというものを設けることが1つの手法になる。
センターラン


日本の在来の手法ではあまり見られないこのセンターガイドであるが、ボクが最初に気付かされたのは米国から輸入されてきている「ドレクセル」(日本では大丸が代理店の高級家具メーカー)の抽斗のシステムに出会った時だろうか。確か訓練校在校当時、東京・青山のショールームでのことだったかな。
その後海外のキャビネットを見れば、これは広く一般的に用いられている手法であることを知ることになる。
さらには国内の洋家具でも使われていることを知る(戸山家具、ダニエルなど)。
さて、具体的な手法とは言っても決して難しいものでもなく詳しく紹介するほどのものでもないが、いくつかポイントを挙げてみる。

  • センターガイドに用いる材は樺など硬質なもので目の通った通直な柾目を用いたい。
  • センターガイドの嵌め合いはタイトに、かつスムースに動くほどのクリアランスをみる。(0.1〜0.2mmほどか)
  • オス、メス、いずれもど真ん中に固定するように最大の注意を払うこと。
  • 抽斗本体、側板は、通常よりややクリアランスを多めに確保する。(ただし前板部分はあまり隙間を空けないこと)

つまりスリ桟の作動はセンターガイドに依拠させ、側板の方はあくまでも補助的なものとして位置づけること。
このシステムにより、左右のブレが抑えられ、スムースな作動が可能となる。
冒頭、間口の大きな場合としたが、あえて具体的な数値を挙げるのは如何かなと考えるが、750〜900mm以上の場合と、とりあえずしておこうか。
(このようなところは曖昧であることの方がむしろ良い)
なお、このBlogではこれまで抽斗についての解説はほとんどしてこなかったように思うが、いずれまた機会をみて、基本的な考え方について記述しておきたいと考えている。
‥‥ 側板は木表を外側に、末(木上)を前にするとかね。

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