工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

悩ましいLED電球の選択:フロアスタンドの場合

ランプ各種
うちには「ディスプレーフロアスタンド」という照明器具を兼ねた家具がある。(最下段に画像)
この光源について少し悩ましく思っている昨今である。
これまでこのBlogでもLEDに関する記事を数回にわたり挙げてきたが、ほとんどが作業環境におけるLED活用に関するものだった。
今日は、「ディスプレーフロアスタンド」へのLED導入の可否の検討を通して、家庭内の一般照明へのLED活用を考えて見たい。
ご存じの方も多いと思うが、先月白熱灯のトップブランド、東芝ライテック株式会社は120年間にわたって製造してきた白熱電球の製造を中止した( 一般白熱電球の製造中止について:東芝ライテック・プレスリリース)。
これは言うまでもなく、地球温暖化防止・環境保護の観点から「電力消費が多く短寿命である白熱電球の生産・販売を今後行わない」ようにとの経済産業省及び環境省からの要請に応えるためのものだ。
こうした照明における動向は日本のみならず世界的な潮流であるようだが、例えばフランスでは昨年来官民一体での販売自粛の運動が展開されているらしい(EICネット 「フランス 白熱球の販売自粛がスタート」
製造各社のWebにはそれぞれLED電球に関する詳細な解説ページがあるので、説明はそちらに譲るが、おおざっぱに言えば白熱電球と較べ、その電力消費は1/10。
ただ光の拡散、光束の特徴、あるいはその方向等、それぞれのメーカーの設計基準によっても大きく異なっているだろう。


LED

さて、省電力、長寿命、発熱無しと、一見良いことずくめのLED電球だが、これまでは高価であったためかあまり普及が進まなかった。
しかし上述の東芝ライテックの白熱電球製造中止のニュースとあい前後する形で、LED電球の値下げ競争が激化している。
エコポイント対象ということも追い風となり、今後普及への勢いが付きそうである。
(毎日jp 「LED電球:競争激化で続々値下げ 本格普及に弾み」
こうした状況を受けて、うちのフロアスタンドもLEDタイプへの切り替えに転じようと検討したのだが、いくつかの問題が楽観を許さなかった。

  1. LED電球の色:フロアスタンドはあくまでも暖かい印象を与える「電球色」でないと困る
  2. 構造上、上向きの取り付けになるので、これまでの電球同様、光の拡散性が必須
  3. 調光ができないと困る
  4. 価格問題

しかし、まずは入手して実地に検討することから始めようと、ともかくも発注することに。
うちだけガラパゴスになるのはまずいしね。
さっそくネットから比較的信頼できそうな、かつ安価に提供してくれるところ、という選択で60wタイプのものが3,000円を切る価格で入手することができた。
東芝の「E-CORE[イー・コア]LED電球」というもの。(Top画像 参照)

LED

調光
〈左の画像について〉
上から:
・フロアスタンドに取り付けた、LED電球6.4W(左)、白熱電球60W
・調光 5%
・調光 50%
・調光 75%
・調光100%
まずLED電球だが、形状は口金側半分がメタルで覆われ、発光部分は上半分。
これは電球には必要がなかった電源安定化電子回路等のための密閉形状なのであろうか。
課題1.の色だが、LED電球にも「電球色」というタイプがあり、この問題はクリア。
実際に点灯してみて言えることだが、シェードを介せば、電球とほとんど変わらない色だ。
(この色はLED素子そのものが発色しているのか、あるいは光源と球形カバーとの間に何らかの色調整フィルターなどで調色している、さらには両方なのかはまだ調べていない)
課題3.の調光だが、一般には調光はできない(というよりも、調光器具のものには使用できない)が、現在では調光可能なモデルも販売されているようだ。
実は購入したLEDは調光してはいけない、という一般の普及タイプのものだが、ロータリー式の調光器で制御されるうちのフロアスタンドに取り付けてテストしたところ、ちゃんと調光できたので驚いた。
確かにロータリー、0 〜 20%ほどまでは全く点灯しないという特性が見られたが、その後100%まではほぼスムースに調光できた。
一方、意外なことだが、電球形状の蛍光ランプで調光可能なタイプを購入してテストしたところ、0 〜 60%までは点灯せず、 それ以降100%までの間にわずかに調光できるという結果だった。
メーカーの調光可否という基準の設定がどうもよく分からないというのが偽らざる感想である。
ただしかし、この「調光機能の付いた器具では絶対使わないように」との警告はLEDならではの素子そのものへ、あるいは電子回路へのダメージを与えるものと解釈すべきとも考えられるので、従うべきだろう。


LED

〈総括的に〉
今年2,010年はLED電球の元年になることと思う。
東芝が白熱電球の製造を中止し、新規参入製造会社も含め、各社LED電球の研究開発、製造販売に猛然と取り組みつつあり、それとともに価格も急速に下がってきている。
残るは一般家庭でのLEDへの認識、さらには環境意識がどこまで進むかだが、現在の3,000円〜4,000円という価格帯が1,000円台あたりまで下がってくれば一気に普及に弾みが付くだろう。
調光問題を含むこれまでの白熱電球とのいくつかの差異も、業界挙げて研究開発に注力してもらうことで、意外と早い段階でクリアしていってくれるのではないかと期待している。
そんなわけで、うちのフロアスタンドではまだLEDに完全に移行するにはいくつかの問題が残っているので簡単ではないが、当面は「白熱電球」「蛍光ランプ」「LED電球」それぞれを用意して、顧客に選択してもらうことにしようと考えている。
いわば過渡的な経過措置ということで理解していただこう。
* Top 画像の説明
 左から:
・「E-CORE[イー・コア]LED電球」6.4W、PDF:728KB
・パルックボール スパイラル(調光器対応形)A形 14W、PDF:152KB
・一般の白熱電球 60W(東芝)


* 参照
LED基礎知識 概要 (LED照明推進協議会)
E-CORE[イー・コア]LED電球
電球形蛍光ランプ「ネオボールZリアル」シリーズ
一般白熱電球の製造中止について(「東芝ライテック」〈一般白熱電球の製造中止について〉2010/03/17)
フロアスタンド

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • さすが、新しい物を取り入れるのが早いですね。
    発熱も少なく安全面でも優れているかもしれません。
    先日のニュースが、どこかの商店街が街路灯をLEDに替えた
    ところFM放送などに雑音が入るクレームがあり、雑音対策を
    施した物に交換することになったと報じていました。
    私が普段使っている電気スタンドの電球型蛍光灯もエアコンをつけるとちらつきます。
    まだ、発展途上でしょうか。

  • LED電球による受信障害は普及しつつあるだけに、いくつか報告も上がっているようです。
    http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100407-OYT1T00468.htm
    技術的な解説は以下のサイトに詳しいようです。
    http://www.led-owell.jp/CCP031.html
    概略、「LEDそのものからノイズを発生することはありませんが、点灯させるための動作回路にノイズを発生させる原因があります」ということですね。
    したがって信頼のおけるメーカーのものを使用することで「「受信障害問題」を回避させるということになるでしょうか。
    今後も注視していきたい問題ですね。

  • うちでは、全部の電球をLEDにしました。
    カインズで、1980円のものもありました>60w同等品
    まずは、効果を期待してます。

  • さすがにkentさん、
    1980円という価格にもビックリ。
    いわゆるプライベートブランドというものでしょうかね。
    そうした意識というものは、心のゆとりを感じさせたり、公共への参加という姿勢にも繋がるものですので、少々の投資にも大きな還元があるということになりますね。
    そのうちturningも太陽光発電パネルからの供給だったりして、

  • LED電球の形状でお困りのご様子なのでご連絡します。
    @当方はご希望の 色・光強さのLED発光素子・回路基板・ドライバーをご提供できます。
    照明器具デザインの自由度が広がりますので、ご協力ができると思います。
    宜しくご検討下さい。

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