工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

続く木工関係者からの制作依頼

コスモス
このところ、木工に関わる方、あるいは深い興味を持つ方からの家具の制作依頼が続いている。
その一人は木工を志して地域の訓練校で木工技能を修得した人。
過日の個展会場に母親を伴い観覧してくれた。
物静かな中にも強い意志をもたれているような好青年だった。
妹さんのいわゆる婚礼支度を検討したいとの希望を持って来訪。
今は他の職業に就かれているようだったが、木工を志し、少なからぬ研鑽を積んだというだけあって、木工家具への鑑識眼をお持ちと見えて、特段こちらが解説するまでもなくご覧いただくだけで、その作風、品質、こだわりというものも理解いただけたものと思う。
以前よりWebサイトはチェックしていただいていたようで、余計な説明は不要であったかもしれない。
木工家具をよく知り客観的評価のできる人が、多くの家具制作者の中からあえて工房悠の家具を選択していただくというのは、とてもありがたく制作者冥利に尽きるというものだ。
そして今日、新しい顧客が訪ねてこられた。
永いキャリアを持つアマチュアの木工家と、その母親。
アマチュアと言うにはしかし形容矛盾な人。
最近難関なことで知られた木工の公募展に入選された人。
つまり余技とはもはや言えない押しも押されぬ立派な木工家。
これまで人を介して数回挨拶程度に会話をする関係でしかなかった人だが、お部屋の調度品のいくつかの制作を依頼してくれた。(ちょっと驚いたね)
当然にも木工と家具制作をよく知り、また良質なものを手がける人でもあるのだが、餅は餅屋と言ったらよいのか、あえて工房悠へとお母様を伴いやってくるという覚悟には、ただただ頭が下がる。
この場合もあまり説明を必要とせず、依頼されたものに近い在庫品をご覧いただくだけで、後は細かい調整の打ち合わせぐらいで済ますことが出来た。
気品を漂わせるお母様も、子への信頼を介した安心感があるのか、終始にこやかに、また積極的に希望を出されたのでありがたかった。
ちょっとうらやましく思えたのは、この親子関係のこと。
双方が信頼に裏打ちされていると言えばよいのか、交わす言葉の端々から伺えるのは相手への思いやり、慈しみであり、そこからは暖かい家族の風景というものがほの見える感じだった。
さてやはりここで強く意識せざるを得ないのは、こうした制作者への信頼というものは、期待以上のクォリティーの結果を残し提供するということへの責任。
つまり彼らにははったりや、ごまかしは一切無効で、真っ向勝負でいかねばならないということでもある。

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