工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

急拵えのショールームを

暑い、暑い、ドシャ降りに次ぐドシャ降りと、異様と形容せねばならない気象に振り回された夏も慌ただしく過ぎ去り、いつのまにか秋も深まりつつあるようです。

昨日訪れた墓参での住職との会話も、この異常気象と、しかし今年もまた、日を違うこと無く咲き出した彼岸花の事でした。

墓には父親と兄が眠っているのですが、私は既にいずれの没年をも超え、こうして生き存えていることを墓を前にしてあらためて想い、そして感謝したものです。

そんな年齢にして、未だに木工に精を出しており、しかも工房施設を改め、リスタートさせるというある種の蛮勇をもって挑む愚か者であることを詫びたものです。

ショールームの整備

さて、この週末、遠方から来客の予定があり、初めてなのでいろいろと見せて欲しいとの要望に応えるべく、まだ十分な準備状況では無かったところ、急拵えでショールームを整理してみたのです。

この夏に機械も運び入れ、少しずつ本格稼働に持ち込み、住まいの什器などと併せ、ショールームのキャビネットなども制作してきましたので、それなりの整備は進んでいたわけですが、接客兼事務用机などは未着工の状態で、やむなく、これまで使っていた小さなスチール机が恥ずかしげに佇んでいるという状況ではあるのです(紺屋の白袴ってわけです)。
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また建築駆体も、一部建具が納まっていなかったり、外構が未着工などと、まだ手を掛けねばならないことだらけでお恥ずかしい限りです。

これらが所定通りに施工が進み、納まれば、晴れて正式Openとなるわけですが、今回の来客のように、制作途上であることをご理解いただければ、いつでもお迎えしますので、お気軽に声を掛けてください。

これは家具制作の依頼だけではなく、若い木工家志願の方、同業者の方々の、工房を視たいという要望についても同様です。
制作現場は、集塵システム、空圧の配管などを除けば、一応は本格稼働の状態にあります。

なお、現在は不定期に留守にすることもあり、ご訪問いただく場合は事前連絡をいただくように願います。

ところで、一部の事例を除きますが、私たち無垢の家具制作に邁進している木工屋の多くは資金繰りも良くなく、それなりの規模でのショールームを併設するというのは決して容易ではありません。
しかしやはり制作依頼を受けるにあたっても、年に1回あるかどうかの展示会だけで、その制作スタイル、品質などを広く一般に知ってもらうのはかなりの無理があり、独自のショールーム展開は必須であるわけです。

私の交友範囲に限っても、威勢良く業務展開しているところのほとんどが、こうしたショールーム展開を充実させているものです。

そうした意味においても、遅きに失したとはいえ、このような展開が叶ったのは嬉しいことです。
もちろん、これをいかに活用させるかは今後の課題ではあるわけですが。

老いにはほど遠く

先ほど、島田の「藪蕎麦宮本」の亭主がお見えになったのですが、彼は私より数年年上の蕎麦打ち職人。
全国からぜひ食したいと蕎麦っ喰いが集う超優良店でもありますので、勤め人のようにある年齢に達したからと言ってリタイアするわけにもいかず、なかなか暖簾を下ろせないとのことで、お互いにガンバロウや、と励まし合ったというわけです。

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  • 作品展示室が良い結果を引き寄せるでしょう。引き出物的な小品があると手ぶらでは帰らないと思います。ライティングと撮影できるロールスクリーンをつければスタジオになりますね。G

    • AQデザイン・阿部さん、コメントありがとうございます。
      ご指摘のように、木工小品を充実させることは課題ですね。

      撮影スタジオとしての活用は当然にも考えていまして、既にスクリーンも整備し、テストしているところです。
      課題を挙げますと、照明設備の充実と技法でしょうか(当面は暫定的にストロボ2灯でのスレーブ:天井バウンス)

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