工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

iPhoneフィーバー(追記あり)

iPhone
6月29日午後6時、ついにiPhoneが全米AppleStore、AT&T店舗において販売開始された。
各AppleStoreでは数日前から寝泊まりで行列を作り、当日は多くのメディアがこれを囲むという異様な雰囲気の中で発売開始を迎えたようだが、この騒ぎは何も米国だけのものではない。日本のメディアの扱い方の大仰ぶりからもその異様さは伝わってきた。新聞各紙、当日の夕刊は一面の2番目での扱い。経済欄ということであれば相応の扱い方と言えるが、一面だからね。
しかし例え日本のユーザーが米国から取り寄せても、日本で使えるわけがない。日本の携帯電話の無線方式とは異なる。
にもかかわらずこのフィーバー。
メディアだけではない。待ち望んでいるAppleファンとしては朗報がある。DoCoMoもauもソフトバンクも歓迎していて、ぜひうちと一緒にやりましょうよAppleさん ! と愁訴しているではないか。
iPhoneの開発が正式に発表された1月9日の「MACWORLD SAN FRANCISCO」会場に参加していたといわれる孫正義氏のソフトバンクが日本におけるキャリアになるのではと噂されてきていたのだが、10日ほど前DoCoMoは有力株主を前にした営業戦略の発表の中でiPhoneへの強い関心を示していたという情報があり、さらにはまさかauまでもが食指を伸ばしてくるという展開までは予測できなかった(asahi.com


さてこんな小さなただのデバイス(端末)がこれほどまでに話題になると言うのは一体どういうことなのか。
携帯市場についてはケイタイ音痴のボクにはさっぱり判らないのだが、いわゆるスマートフォンと呼ばれるジャンルのものについては日本では普及が遅れているらしい。このiPhone発表と同日に、日本のキャリア各社がスマートフォンの新機種をリリースするという、言わば柳の下のどぜう、のような営業展開を見せていることにも今後の市場開拓の見込みについての大きな期待が示されていると言えるだろう。
しかしAppleのiPhoneはスマートフォンの機能についてかなりのところにおいて“かぶる”とはいえ、そうしたものとは異なる全く新しい携帯端末であると言うべきだろう。
Appleに言わせれば「iPhoneで携帯電話を再定義」ということになる(Apple ニュースリリース)のだそうだ。
この言を信ずるならば iPhoneこそが携帯電話の新らしいスタンダードになるということになろうか。
ボクの個人的関心でいえば OS X が搭載され、WebブラウジングもSafariのフルブラウジングだという点にある。単に携帯電話に iPod がくっついた、という程度のものではない。無論Appleならではの秀逸なデザイン、全く新しいインターフェース(全ての操作がタッチパネル)など、あらゆる点での革新性はフィーバーを呼ぶにふさわしいデバイスであると言えるだろう。
Apple社ではiPhone向けのコンテンツの開発をSafariベースで大いにやって欲しい旨の呼びかけを行っているので、予測の付かないほどの新たな機能が付加されていくことだろう。
日本ではiモードという携帯コンテンツが様々なサービスを産んだようにiPhoneコンテンツの開発競争は世界的規模での新しいサービスを産むのかも知れない。
携帯における Web2.0と言い換えても良いかも知れない。
さて日本市場での発売計画は全くの白紙。Appleからのインフォメーションでは欧州市場は今年度中(第4四半期 )。(噂では明日にでも何らかの発表があるとのこと)
アジア市場は2008年中。日本は?
無線方式の違いが大きなネックだが、Apple社が日本市場をターゲットにしないということはまず考えられないし、キャリア3社からの熱いラブコールもあるので、3G対応はもとより(発売されたiPhoneは2.5G)、日本固有の無線方式・W-CDMA形式への対応も戦略の中に入っていると考えたい。
日本語対応などのローカライズ問題、無線ユニットのCPU負荷、バッテリー負荷の問題は思いの外大きいとされ、その解決が容易ではないのは承知の上で、あえてその障害を乗り越えて欲しいと思う。
さて今からこつこつと iPhone貯金を始めようか。
■ Apple社iPhoneサイト
* 追記(07/07/02)
なおiPhoneの価格だが4GBのものが$499、5GBが$599となっている。
確かに日本市場のものと較べれば高い。
しかし待って欲しい。過度に高価であるのだろうか。
ほとんどの人は気づいているだろう。携帯端末が0円、1円というカラクリを。
日本市場の特異性というものがあからさまに示されているのだが、
携帯電話は年々高機能化しているが最新の高機能機種では仕入コストが7万円を超えるものもあるという。それをキャリア(通信事業者)が販売奨励金という手数料を出し安い価格で販売しているのだ。
この販売奨励金はどこから出ているかと言えば‥‥、ユーザーの通信料金からだ。
ボクは買ったら故障しない限り機種変更などしていないが、実は頻繁に機種変更しているユーザーの販売奨励金をボクたちの通信料金で代わりに負担してやっているのだよ。
このおかしな価格制度には総務省もようやく重い腰を上げて日本固有の不正常な市場を改善しようとしつつあるようだ。
したがって iPhoneを日本市場に導入するにあたっては、こうした携帯電話市場の閉鎖性、特異性というものをクリアにしていかねば難しいだろうし、さらに言えばiPhoneのブレークは日本のこうした悪商慣行というものを打破する1つのターニングポイントになるかもしれないとさえ思うのだが、さて‥‥。
■ 参照記事(ITmedia News
■ こんな話題も「iPhone発売、ウーピー・ゴールドバーグやスパイク・リーも並ぶ
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