工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

小型インパクトドリルドライバーの反撃

インパクトドライバー
先に「小型のインパクトドライバー TD020DSW」という記事をエントリしたが、ここで触れた「マイハンド 4.8V EZT640」が修理をせずに戻ってきた。
購入価格対比での修理代が高すぎために修理を諦め、戻してもらうよう手配していたものだ。
故障の状態は逆転のSWは効くものの、正転のSWが入らないというもので、スイッチの経年劣化(購入後7年)によるものと推察していた。
戻ってきたこのインパクトドライバーのSWを操作するも、全く駆動しない?
なるほど、充電池の容量が空っぽ。半日ほど掛けて充電する。
しかし当然にも正転はダメ。
前回内部にアプローチした際に確認できたことは、SWの部品をアッセンブリで交換しなければ恐らく回復しないだろうとの判断であった。
さてどうしたものか。一旦あきらめかけた修理であるが、充電池を交換してさほどの使用履歴があるわけでもないといいうこともあり、このままお釈迦にするのはあまりにも忍びない。何とか元気にしてあげたい。
インpクト内部また懲りずに内部へとアプローチすることになった。
しかしこのSWの物理的、電気的構造は良く分からない。
シーソースイッチではあるのだが、スイッチそのものが完全に封印された状態。
まずは外部に出る樹脂部分のシーソー機能を与えているスプリングを外す。
そして電池から配線の端子を外す。
次に恐る恐る、この8×15×10(mm)ほどの小さな封印されたSW部分の上蓋を小型ドライバーと小型のラジオペンチでこじ開ける。かしめをドライバーでテコを利用して強引に開ける。
するとカニ脚のような2枚のシーソー駆動しつつ、マイクロスイッチ機能を果たす銅片が見えた。そしてこれに力を伝える樹脂の部品が転がり出てきた。
その大きさ、6×2×4(mm)の細〜い樹脂で出来たレバー状のもの。
なるほどこれだ。
この樹脂をルーペで確認すると、正転側がかなり摩耗変形していることが確認できた。
さて、どうしたものか。
まず変形したところを小さなヤスリで成形修正加工し(本当は摩耗したところに樹脂を盛り上げるように付けたかったのだが、そこまでやる価値は認めなかった)た。さらに剥がれたメッキで汚れたそれぞれの端子部分を取り出し、シンナーで洗浄し、あらためてグリスアップし、戻す。
そして慎重に、慎重に、原状回復し、SWオン。
?? 全く動かなくなってしまった。あちゃ !、あかんわ。
インパクト 内部2めげずに再度組み直す。
再度SWオン !! ビューン。回るではないか。正転、逆転とも OKダ。
ニマッとしたのは良かったが、少し状態が芳しくない。
正転側が指を放しても復帰しない(offにならない)。逆転側に一旦戻してやらないと止まらない。
ま、この程度はがまんしよう。
シーソー部分の樹脂のへたりがあるので、この後どの程度生存できるかは予測困難だが、1〜2年は持つだろう。まずは良かった。今夜もビールが美味いだろう、と一人ほくそ笑んだのだが、この後が悪かった。
ではこの後は次回に‥、なーんてくだらないことはしない。


生き永らえさせるのは結構なことだよな。
しかも6,500円掛かるよ、と言われたことを考えればタダで直せたんだからここは素直に喜びたいところ。
しかし後が悪かった。
この機種の故障ということで既に新規更新したのだった。
この機種マキタの「TD020DSW」については過日紹介したところだが、戯れにパワーの比較をしてみたのだった。このいたずら心がいけなかった。
先の紹介では「最大締付けトルク」の数値ははマキタがほんの少し上回る、ということであった。また電池も片や4.8Vのニカド。マキタの方はリチームイオンでしかも7.2V。どう見ても新しくスペックアップしているマキタが勝ちだろうと疑わなかった。
結果は逆。ヘタレのはずの「マイハンド 4.8V EZT640」に軍配が上がった。
楢材に3.5×32mmのステンレスの木ねじを締め付け切る時間を測定してみた。
マキタ:25秒ぐらい掛かり締め付け近くまでいったが、最後のふんばりが効かない。
松下電工:20秒ほどで締め付けが完了。
いずれもバッテリーフル充電状態でのテスト。
数回繰り返すも、ほぼ同様の結果。
全く意外だった。リチームイオン二次電池の起電力の高さは、トルクと粘りに大きな力を期待したのであったが、電圧も低く、7年も使い続けてきたヘタレ松下電工の方が勝つなんて。
ボクにはこの説明はつかない。考えられることはモーターそのものの性能差ぐらいか。
こんなことであれば買うことはなかった。あくまでも扉つり込みなどの時にお出まし願うぐらいだから使用頻度は低い。しかもだ。ピストル型とはいえ、マキタは中折れタイプでモーターハウジング部分が長すぎる。
使い勝手も悪いときている。
結果、今夜のビールはあまり美味しいものではなかったというだけの話なのだがね。
修理したことが良かったのか、ビールを不味くさせる結果をもたらしたことはやはり余計なお世話だったのか。まことに人生は難しい。

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  • 何でも出来てしまうって…?!
    思わず嬉しくて笑ってしまいました。
    比較してしまうところまでやってしまうのですね〜。

  • aiさん、笑い転げてやってください。
    ま、要するに器用貧乏、というところですね。
    何事も中途半端で、まともなものは木工だけ。
    最近はPCに典型的なように何でもかんでもブラックボックス。
    内部へのアクセスなど御法度。修理屋も半田コテを持って‥、なんてことはせずに計測器で不良箇所を見付け、基盤を交換するだけ、というのが当たり前の時代。
    ラヂヲ少年だった昔が懐かしいナァ (>y<;)

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