工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

大型の帯ノコを導入

CB 100FA、CB 75F

CB 100FA、CB 75F

改められた作業所は以前のほぼ倍の広さがあり、機械のレイアウトには余裕があるのですが、これ以上の機械設備の強化は必ずしも意欲的ではありません。

しかし、やってくるのですね。
今回は日立工機の《CB 100FA 》という、鉄車タイヤの本格的帯ノコ。

日立工機 〈CB 100FA 〉

起業時には、この〈CB 100FA〉の弟分の〈75F〉(画像右)、という機種を導入していたわけですが、較べれば、何と〈75F〉の小さきことか。弟分というより、まるで子ども。

しかしながら、75Fでも硬質材、315mm厚までも問題無く切削できましたし、細帯ノコでの曲挽きなどにも活躍するなど、決して侮れない働きをしてくれていたことも確かです。

今回、大型の帯ノコ導入に踏み切ったのは、決して75Fの調子が悪いからというわけではありません。
ただ少しだけ不満が。
挽き割りが315mmまでしかできないという、その絶対的な能力においてです。

どうしても400mmほどのものを割きたいケースがあり、県立工業試験場に借りに出向いたり、菓子折ぶら下げ、大型帯ノコを設備している知人木工所を訪ねたりと、心苦しい思いもしてきたというわけです。

例えば、キャビネットの帆立の部材であったり、扉の鏡板などを挽き出すケースです。

1つの部材を1枚の板では無く、複数枚で矧ぎ併せ、構成するというのは可能な限りに避けたい。極力避けたいわけです。

一般に入手可能な材料で、かつ一般に個人でも設置可能な機械により、獲得可能なものであれば、それを追求すべきであろうと考えるのです。

厚板を薄く挽き割り、求める部材を獲得するという今回の場合とは異なりますが、
例えば、テーブルの脚部に90mm角材が必要とされた場合(これはとても一般的な構成の木取りになりますが)、
私は105mmの角材をストックできるよう、あらかじめ製材し、乾燥管理し、あるいは市場に一般的に流れているようなミズナラ材の様な場合では、材木屋から購入しておきます。

しかし家具の市場を観れば、薄い板を数枚で矧いで、90角に構成しているケースを見掛けることは少なくありませんね。

私たちのような工房家具といった制作スタイルでは、それは避けたいわけです。

量産家具のように、生産性を重視する企業理念で作られた“消費財のような家具”では無く、あり得べき基本の姿を持ち、耐久性のあるものを、丁寧に作りたい。
そうしたある種のストイックな精神を自覚的に課さねば、私たちのような社会的存在価値は新自由主義経済が支配する市場からは吹き飛ばされかねません。

可能な限りに、将来にわたって、矧ぎ切れしてしまうような構成では無い、当たり前のフツーの家具を作りたいという飽くなき追求であるわけです。

帆立の鏡板、あるいは扉の鏡板などでも、矧ぎではなく、1枚の板で構成することを望むのも、同様に、そうした意味合いから追求したいと考えるわけです。

75Fと100FAの能力差、わずか100mm足らずの差でしかないのですが、こうした私たちのような、あり得べき姿で家具を作りたいと欲望する要求に応えてくれる機械でもあるわけです。

以前の旧い工房では、設置面積の制約上、無理であったものも、タイミング良く、こうして前オーナーが手放されたものが、新たな持ち場を得て、活躍してくれることになったというわけです。

CB 100FA、および 75F の仕様

項目CB 100FACB 75F
切断寸法・最大挽割高400mm315mm
ふところ寸法540mm260mm
モーター3.7Kw1.5Kw
帯ノコ寸法102幅 4,450mm長75幅 2,824長
ノコ車直径650mm410mm
ノコ車回転数780 rpm(60Hz)860 rpm(60Hz)
定盤サイズ825w 700d525w 490d
機体サイズ1,435w 1,200d 2,000h936w 740d 1,533h
重量660kg150Kg

わずかに100mm満たない能力差ではあるものの、仕様における数値差は大きいですね。


さて、このマシンですが、数ヶ月前までは前オーナーが使っていたものと思われ、特段、オーバーホール等が必要というものでもなく、パイロットランプ切れがあった程度。

挽き割り用のフェンス付近

挽き割り用のフェンス付近

ただし、ドリフトは相当なものがありました。
刃が100mmもあれば、フェンスの長さにもよりますが、少しのドリフトでも大きなブレーキが掛かるし、もちろん挽きムラが生じ、都合悪いです。

ドリフトの調整と刃の研磨

ドリフト補正のため、フェンス設定を見直し、さらに2枚のノコの再研磨を。

単に切れ味が悪いだけでは無く、回転すると前後に大きく振れる状態。
明らかに腰にかなりの歪みが生じている証拠。

超1流の帯ノコ研磨屋、河村帯鋸加工所さんに事情を話し、来訪して頂き、設定のアドバイスをいただきつつ、刃の研磨を依頼。

再研磨後の切れ味

再研磨後の切れ味

研磨から戻ってきた帯ノコ、当然とは言え、400mm近い挽き割りも、スイスイです。
画像、右の板が、研磨する前の挽き割りの状態。左が研磨後の状態。

これは挽き割り作業において、顕著な差で感得できる違いがあります。
切れ味悪く、腰の悪い状態の作業では負荷が重く、力で押し切る感じが強いものですが、
再研磨した刃物では、「軽く押すだけで切れていく」と言った感じで軽快なものです。

なおフェンスですが、余り意味なく長くするのは良くないでしょう。
一般に帯ノコにおいては、ドリフトは避けがたいものがあるという意味からも、刃物の位置より先に長くフェンスが伸びているのは良くありません。

また、セリの設定も重要であることは言うまでもありません。

セリの調整

取説などで刃物を挟むスペースは、はがき1枚などと記載させていることが多いと思いますが、このCB100FAの場合、前後2個所の押さえがあり、手前は軽く接触する程度に設定し、後ろはフリーにした方が良いと思われます。
つまり後ろは「逃げ」ておいた方が、刃の横方向の動きを規制させることなく、軽快に運行させることに繋がるからです。

CB 100FAのセリ付近

CB 100FAのセリ付近

手前のセリで規制させておけば、ノコの踊りを規制させるに十分です。

これは上下、同様です。
(このセリですが、CB100とCB75では全く機構が違っています。CB75ではベークライトの板をセンター1個所で固定するという簡易な機構ですが、CB100では前後にスプリングのついた前後調整ボルトがあり、より容易に高精度の設定が可能な機構になっていますね)

また言うまでもありませんが、作業を終了したら、テンションは緩めておきましょう。
常に張力を掛けておきますと、余分な緊張で刃にダメージを与えてしまいます。

河村さんも良く語ることですが、鋸にもいろいろあるけれど、帯ノコほど過酷な状況に置かれた鋸は無い、と、先代から強く言い伝えられてきたそうです。

つまり高速回転で廻る車輪に装着されることにより、切削能力を発揮するわけですが、この装着もあくまでも自由な動きを前提としたもので、張力によって固定されているに過ぎず、また他の鋸と決定的に異なるのが、鋸の腹が上下2つの車輪に接触しつつ回転するという運動がもたらす、鋸刃へのストレスの過酷さです。
この特性を帯ノコ管理者としては自覚しておきたいところですね。

これまでの75Fでの作業では、75mmの刃物と細挽きの刃物とを掛け替えたりする煩雑さがありましたが、今後はこうしたことからも自由になりますので、ありがたいです。

余談ですが、私は細帯の管理は、クル、クルッと3回りさせ、畳んでいたのですが、研磨屋さん、100mmの刃も同様にクル、クルッとやるんですね。びっくり 笑
無論そうでもしないと、彼らは整理がつきませからね。
私は怖くてできません。(慣れれば、やがてはやっちゃうかもしれませんが)

最後になりましたが、今回この帯ノコの導入にあたり、斡旋および自車への積み込み等で大変世話になったTさんには心より感謝いたします。yuh.rakkan

hr

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • 小さいのいらないっていわないかな
    でべそモータを何とかして欲し
    デザイン以前の押っつけ仕事
    家庭200Vで動くモータの
    改造できる人あれば
    おねがいしたい
    手押しあり。
    4649

    • 申し訳ありませんが、ご希望には添いかねます。

      「いらない」とは言えないのですよ。
      記事にも書きましたが、新規導入したCB100FAは鉄車で、細帯は装填できません。
      したがって、これまでのCB75Fは細帯を装填した曲挽き用として、今後もなお働いてもらわねばなりません。
      どうか悪しからず

  • 小さい方でも巾75mmってすごいですね。
    うちの会社では通常25mmで使ってます。
    場合によっては19mmあるいは13mmに交換します。
    長さも4470mmです。
    よそ様の機械を拝見するのも楽しいですね。

    • ユマニテさん、お久しぶりですね。
      お変わりなく、お元気にお過ごしのようで慶賀

      帯ノコ、椅子屋さんでは大活躍でしょう。
      長さからして、かなりの大型。

      大型の方が安定した切削ができます。
      刃へのストレスも少ない。

      細帯ですと、製材(挽き割り)ではなく、曲挽きが主体ですよね。
      タイヤは鉄車ではなく、ゴム巻き。

      J・クレノフの帯ノコはもっと小さいけれど、器用に単板を挽いていますよね。

      閑話休題

      まだ若い頃、切れ味が落ちた帯鋸で、指先削ってしまったことがあります。
      注意なさってください。
  • オニグルミも浮かばれる制度かな
    裁つ人の面取り軸ヘッド当り
    合板ベース沖スライド
    会心改心感心仕事
    おがみませう
    無理なく
    無駄

    • ABEさん、またまた読者が戸惑う投稿。

      たぶん、というか、間違いなく、私の次のTwitterポストへのコメントですよね。

      ↑は、うちの定番、「座布団椅子」のラダーを示したものです。
      1,200Rの切出し、仕上げ加工精度を自画自賛してるわけです 汗;

      1台あたり11本。今回は全体のフォルムを見直し、Ver.2.0の試作を行っているところで3台分の木取り。
      したがって、35本程度を並べ、R部分の重なりが寸分の隙もなく密着しているところに、我ながら感動してしまい、ついTwitterに投稿しちゃった、という経緯。

      これは帯鋸75Fで、1,200R規制しつつ、荒木取りし、ルーター盤で1,200R規制しつつ、仕上げ切削したところです。

      枘加工は、ホゾ取り盤です。
      曲線のパーツへの枘は、通常一般の昇降盤での加工は難しく、精度が出しにくいため、
      ホゾ取り盤の能力が活きてきますね。(*^^)v

  • 1200Rは、人間工学的にも椅子背のベストカーブの一つです。
    研究室時代の曲率数値が一致、職人経験値は、意味深です。
    なんか、人の寸法系はいろいろ整合性あり
    オニグルミさんも喜んでおます。
    1200R 1500R to 900R 700R の設計用を仕事婆に吊してくださると
    有り難みが増幅されます。
    この段階では、BMのHunter Chair を彷彿させましが
    あーむれすと面とる・後脚ジョイントが品格に影響、
    よい材料のおかげでスキルが上がるって
    本当ですね。

  • こんにちは 杉山さん
    以前、他の記事で質問させて頂き大変助かりました。
    実はまたどうしてもわからない事がでてきてしまい、
    知恵をお借りできないかと投稿させて頂きました。

    バンドソーにて角材を鋭角に切りたいので、画像↓のようにジグ(斜線部)を設置し、材を送り込むようにしました。
    https://gyazo.com/126aa3344fdc87b48f170885b76092ae

    ところが、刃が入った瞬間から内側に入り、まっすぐ切ることができません。ドリフトも調整し、初めは材の重みで刃が横から押されて曲がるのかと思ったのですが、尻にガイドをおいているので重さがかかっているとは思えません。

    大きなバンドソーの幅広の刃で問答無用に削り取っていけばまっすぐ切れそうですが、私の機材ではそこまで幅広の刃をつけることができません。

    この刃が内側に入ってしまう現象について何か解消法はご存知ないでしょうか。どうか知恵をお貸しください。

    • aikoさん こんにちは。
      お変わりなく木工愉しんでいらっしゃるようで嬉しいです。

      さてご質問の傾斜角での挽き割り方法。

      こうした作業は、やはり帯鋸で行うしかありませんね。

      ところが、切削負荷が大きいためか、鋸刃が湾曲し、上手くいかない。
      私も屡々経験し、良くある事例だと思います。

      その前に、まずこの治具での切削方法ですが、帯鋸盤には定盤(ワークトップ)を傾斜させる機構が付いているのが一般的ですが、これは使えないのでしょうか。
      ま、これはフェンスが直角か、傾斜角にあらかじめ加工しておくのかの違いでしか無いので、本質問には直接的には関係しませんね。

      そこで本質的な問題について考えましょう。
      いくつかの原因が考えられますので、検討してみてください。

      ▼鋸刃の歪みが強い場合、まず考えられることは刃の切削能力です。
      つまり切削能力を超え負荷を掛けると、当然にも刃は歪み、ドリフトも強くなります。
      これを避けるには
      ・良く切れる鋸刃を用意する(切れ止んだ鋸刃では、負荷の大きな切削は無理です)
      ・刃の研磨が正しく行われているかも重要です(歪みなどを除去してくれているのか)
      ・傾斜切削のため、正しい方向で送り込むのも難しいものですが、フェンス等の平滑性、ドリフトを回避する角度等、注意します。
      ・刃の切削能力を超え、負荷を掛けない。
       被切削材を送り込むスピードを適切にコントロールする
       (送り込む圧力で切るというより、刃物の切削力に委ね、材を移動させていくといった感じ)

      ▼ドリフトが生じないよう、あらかじめ調整を済ませておきます。

      ▼ セリーの設定ですが、もし刃幅が広のものの場合、セリーは前後2個所あると思います。
      加工材を切削する鋸刃のアサリ部分が肝心ですので、セリーの前部は軽く接触させる程度(一般にはハガキ1枚開けましょうとありますが、軽く触れる程度で良いでしょう)に設定します。

      後部の方は、刃にあまり接触させぬよう、余裕を持たせてください。
      ここをあまりタイトに設定しますとドリフトの影響などで材を締め付ける応力が働き良くありません。
      フリーにし、負荷を軽くしましょう。

      また、上のセリー位置ですが、被切削材が当たらない程度に下げましょう。

      ▼負荷を軽くするため、あらかじめ上下の木端を昇降盤等で可能な範囲に切れ目を入れておくことも有効です。
      今回の場合は、一方向だけしかできませんけれど・・・

      いずれも決定打に欠けるものでしか無いかも知れず、申し訳無いです。
      しかし、いずれかが、あるいは複数の要因が当てはまるかも知れませんね。

      J・クレノフ氏は、この帯鋸での挽き割りがとても上手だったそうです。
      (彼のキャビネットの構造は、ランバーコアに単板を練るというのが基本であったためでしょうね)

      トライ&エラーでがんばってください。
      また結果を教えてください。

  • 返信ありがとうございます。細かい分析で改めて考えさせられます。
    定盤傾斜させると機構がひっかかるなと思っていたのですが、よく考えるとそんな事はなく思い込みでした・・・。傾斜でも試してみます。

    切削能力:切れば切るほどに歪みがひどくなるので、切削能力以上の負荷をかけているのは間違いなさそうです。堅い材なのでここも調整してみたいです。

    切れ目:そうですよね。どうにかもう一方からも切れないかと思ってましたが一方向だけですね。その一方だけでも切ることにします。とにかく負荷軽減が重要ですね。
    本当にありがとうございます。

    と、ここでさらに気になる事が出てきてしまいました。
    Jクレノフはランバーコアに単板、つまり合板を使用していたという事でしょうか。(世間で流通する合板とはニュアンスが違うかもしれませんが)
    海外の、ましてや古い人達は総無垢で仕上げているものと勝手に思い込んでいました。
    この場合、材料費というより箱の歪みを避けることが目的だったのでしょうか。机等はどうしていたのかなと思います。

    • キャビネットの帆立部分にベニアリング(合板)を用いるというのは、欧米では至極一般的なスタイルです。

      ベニヤというのは工業生産物というイメージを持たれるのが普通ですし、確かに日本の家具産業におけるベニヤを用いた量産家具は安かろう、悪かろう、というものかもしれません。

      少し具体的に見ますと、日本の家具産業、住宅産業におけるベニアのFace(表の部分)は、わずかに0.15〜0.18mmという厚みで、透けて見えるほどのものです。
      あまりに薄いため、鉋掛けができないのはもちろん、仕上げ塗装では芯材との接着溶分が滲み出る障がいを懸念しなければならないほどです。

      対し、欧米の良質の物は1mmほどの単板を使うことが多いようです。
      私も当地の突き板工場で最大の厚みという条件で加工してもらい、結果0.7mmという厚みの単板を作り、キャビネットの帆立に使うこともあります。

      これはもう無垢材と全く遜色の無い表面精度、無垢材と何ら変わらぬテクスチャーを残しています。

      なぜ、こうした合板を用いるのかと言えば、aikoさんの想像通り、無垢材の弱点である反張、伸縮といった障害から自由になるためであり、銘木の風合いを残し、コストダウンするという目的もあるでしょう。

      確かに日本では無垢材は高級で合板は安物という固定的なイメージがつきまといますが、本質的に言えば、そんな“観念”は無意味で、無垢材使った家具でもヒドイ物もあれば、合板のもので高い品格を感じさせる素晴らしいものも多くあるというのが、この世界です。

      画像はJ・クレノフの〈The Impractical Cabinetmaker〉からです。
      Krenov 〈The Impractical Cabinetmaker〉

    • そういうわけですので、どこまで高精度に単板を突く(挽き割る)ことができるのかが、帯鋸に課された1つの命題というわけですね。

      私の場合、3〜5mm程度に挽き割り、これを手鉋で平面出しを行い、ランバーコアに練り付け、両面サラサラとプレナーで削り、結果2〜3mmほどの厚みを残し、1枚の板にします(クラロウォールナット単板)。

      画像はその1つの事例です。

      ここでは扉の板にこの単板で構成されたものを使っています。

      一般的な扉では框に組んだり、ハシバメなどで構成するわけですが、
      ハシバメにするには大きすぎる扉ですし、框の枠を意匠的に嫌い、シンプルな平面で構成したかったわけですね。

      Claro 飾り棚

      今回の傾斜角で挽き割る、という主旨から少し離れてしまいましたが、
      この挽き割りという工程は帯鋸ならではの有力な工程ですので、傾斜角で首尾良くいけば、こうした単板制作もうまくいくと思います。
      がんばってください。

      なお、本件、傾斜角挽きに関し、他の有為なアドバイスをお持ちの読者もおられるかと思います。
      ぜひご教示ください。

  • >そんな“観念”は無意味で、無垢材使った家具でもヒドイ物もあれば、合板のもので高い品格を感じさせる素晴らしいものも多くある

    カーンと頭を撃ち抜かれました。考えてみれば至極当然の事ですね。自分の視野が狭くなっていたのを痛感します。
    それにしてもやはり単板部分(片や板とは呼べませんが)の厚みがこれほど違うとは。海外はその薄さにできないのではなく、分かっていてしないのでしょうね。ランバーコアの質も大きく違いそうです。

    杉山さんの作られるものはデザインと理屈とが合致していて素晴らしいです。「なぜこの部位はこの形でこの厚みでこの仕上げをしているのか」隅々まで説明できない所は無い、といったプロポーションで、私もその高みを目指したいです。

    傾斜挽きから思わぬ話に発展してしまいました。
    傾斜の方は何とか頂いたアドバイスで改良していけそうです。
    ありがとうございます。

    • 突板をどこまで薄く加工できるのかは、日本の木工家具産業にとっては大変重要な課題だったと思われます。
      一方、薄くしすぎますと様々な問題がでてしまいますので、芯との間に和紙を挟むなど工夫がされています。
      (静岡では毎年突板産業組合が、見本市を開催するのですが、それはそれは気合いが入り、全国からバイヤーが集まり賑わうようです)

      なお、ランバーの芯材ですが、一般には南洋材が用いられますが、えてして品質の悪いものが使われる、あるいは乾燥不十分なものが用いられ、やがてはこの障害が板面に現れ、凹凸にうねったりすることがあります。

      私がランバーを用いた際には北海道材のエゾマツでしたが、やや乾燥が不十分だったようでした。
      比較的良質なものでは米材のスプルースのものが入手できるかと思います。
      南洋材は避けた方が良いかも知れません。

      ランバーコア材は合板と異なり、枘を立てる事も可能です(南洋材の芯材では無理かも知れませんが)ので、活用方は拡がると思います。

      芯材を購入するさいには含水率計で計測した方が良いでしょうね。
      錬り付けは専門業者がありますので、そうしたところに依託します。

      私の作品への過分な評価ですが、恐れ入ります。
      ご指摘のように、モノのフォルムにおいて、バランスは重要かも知れませんね。

      また何なりとコメント頂ければ嬉しいです。
      aikoさんも大いに木工楽しんでください。

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.