工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

雑誌『室内』が休刊

室内雑誌『室内』が次号3月号をもって休刊される。
発行社「工作社」のWebサイトではそのような告知は無い。
しかし「定期購読」ページからの申し込みは「都合により受け付けていない」との記述が見える。
数日前に届いた『室内』2月号は、まだ開封していなかった。
あわてて社告などを探しても,
後付にも、何も記されていない。
今朝の朝日新聞朝刊第3社会面のベタ記事で知った。
いささか唐突の感が否めない。
いずれ、編集発行人「山本伊吾」氏から詳細な発表もあるだろう。
木工、家具、インテリアに関連する業務に従事している方であればこの雑誌に世話になった事が多いと思う。
ボクも訓練校での修業時代からだから20年ほどの購読者だった。
その後、投稿の依頼もあったり、展示会で編集員と話を交わしたり、あるいはスジュール欄への掲載などといったことも含めれば、それなりに深い関係にあったとも言える。
そこまででもなくとも、関連メーカーのカタログ請求などでこの雑誌の広告欄にリンクした一括請求のシステムなどで世話になった人は多いと思う。
確か、ちょうど1年前の2005年1月号は「50周年」とタイトルされた特別号だったように記憶しているが、創刊は1955年。現在の編集発行人、山本伊吾氏の父親、山本夏彦氏によって創刊される。最初は『木工界』という誌名。その後1961年に現在の『室内』と改題。
現在では巷には多くの類誌があふれている。
創刊時は敗戦10年後とはいえ、恐らく類書などは皆無だったろう。
伊吾氏によれば“隙間産業”として創刊させたようなことを「50周年記念号」で記していたが、家具業界の戦後の歩みとともにあったことは誰しも認めるところだろう。
本誌はもちろん、幾冊もの増刊、別巻を発刊し、それらは今もボクの書棚に納まっている。遅れてきた青年だったこともあり、旧いそうした臨時増刊号を入手するために古本屋を奔走したこともあった。
何故かと言えば、それらは木工、家具に関わる有益な情報が満載された辞書のようなものであったために修業時代の者に取っては座右の書として必携だったのだ。
50年にわたる出版活動には大いに感謝したいと思う。
「50年やってきて、雑誌の天寿をまっとうしたと思ったが、まだやりようがある。いったん休刊して考えてみたい」とは言うものの、一度休刊にしてしまうと、なかなか復刊は困難なのが雑誌というこの世界の常。
復刊を期待したいと思う一方、山本伊吾氏の言うように「天寿を全うした…」、ということもその通りかも知れないと思う。
もっと言えば創刊者の父親夏彦氏の死去の時(2002年)に、この雑誌の使命も実は終えていたと言えるのではないだろうか。
これについては次回に書きたい。

インテリア雑誌「室内」休刊へ 創刊から半世紀
コラムニストの故山本夏彦さんが55年に「『室内』」として創刊し、半世紀以上続いたインテリア雑誌「室内」が、通算615号目の3月号で休刊することになった。発行元の「工作社」が明らかにした。
 住宅の実例や新作家具、リフォームのノウハウなどを紹介してきた。編集兼発行人の山本伊吾さんは「50年やってきて、雑誌の天寿をまっとうしたと思ったが、まだやりようがある。いったん休刊して考えてみたい」と話している。
                asahi.comより

asahi.com
■ 追補記事「雑誌『室内』休刊に想う」

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