工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

木工房の工具等の収納を考える(その2)

電動工具の収納:Systainer®対応キャビネット

Systainer®キャビネット

Systainer®キャビネット

このところ、電動工具の活用場面ではFestool社やLamello社の電動工具が主流になってきたこともあり、Festool社の独自開発の工具箱・Systainer®の筐体を収納するための使い勝手の良いキャビネットを1つ作り、ワークベンチ脇に設置しました。
Systainer®については、過去詳述した記事がありますので参照してください(こちら)。

この記事でもで記述してきたところですが、Systainer®はFestool社の親会社を同じくするTANOS社が製造する筐体ですが、欧州ではこれが電動工具の標準的な筐体になりつつあるようです。
ドイツの隣の国、スイスに製造拠点を置くLamello社も同様ですね。
欧米のMakitaなども一部採用しているようですが、なぜか本国日本では見掛けません。

Systainer®

Systainer®

このキャビネットの特徴は Systainer®の収納部位は総てをスライドレール方式にしたところです。
Systainer®そのものが筺ですので、ここでは単にこのSystainer®を置く底板だけを施しただけの引き出しです(底板も60mm幅の枠で組んだだけ)。

個々のSystainer®からの工具の出し入れですが、スライドレールで軽快に引きだし、その場で上蓋を上げれば、工具にアプローチできるというものです。
いちいち、個別のSystainer®をキャビネットから下ろし、工具にアプローチするというのでは無く、キャビネットに置かれた状態で内部にアプローチできるますのでスマートで快適な収納と言えるでしょう。


多彩なメーカーに提供されるSystainer®

多彩なメーカーに提供されるSystainer®

今回、このキャビネットの収容機能への評価からSystainer®をさらに2つほど増強し、大小8個+αを収納することに。黒いボデーがそれです。

Festoolブランドのものは usa amazonからは入手できませんので(日本にはHÄFELE ジャパンという正規代理店が展開されており輸入障壁があります。ただ代行会社通せば可能です)、同一のものですがTANOS社のものを導入。
TANOSブランドのSystainer®は Festoolブランドのものと較べ若干価格は安価です(ロゴの有無が関係している?)。

因みにSystainer®ですが、TANOS社のWebサイトを拝見すれば、この機能性、拡張性から、最近では医療現場での収納システムとしても活用領域が広がっているようです。

前回取り上げた壁面収納のエレメントシステムも同じですが、こうした機能性、拡張性、汎用性、ひと言で言えば「合理性」を追求していくと悔しいけれどなぜかドイツ製品に収斂されていくようです。

このSystainer®の引き出しの上、中央部はフリーの空間を置き、上部には金具などを収納する9×3個のプラスチック、ツールケースなどを設置。

なお、このキャビネット脇、帆立側にはBESSEYのF型クランプの他、数種の削り台なども吊り下げ、整理しています。

クランプ収納スタンド

クランプ ストレージ

クランプ ストレージ

600mmのハタガネから2mのクランプまで、他種品目のクランプを収納させる可搬型のスタンドです。

横を台形とし、外側にポニークランプを中心とした20本ほどの大小のクランプを掛け、内部には600〜900mmのハタガネ、約60本を収納。

このハタガネの本数ですが、通常はほぼこの数量で足りますが、大きなボリュームの仕事では足りなくなる場合も。
しかし、個人工房であればこの程度が標準でしょうか。

このクランプ収納スタンド、もっと余裕を持たせ、収容力を大きくすべきだったかと思いますが、あまり大きいのも設置面積や、可搬性を考えれば如何かなと思います。

収納しきれない2mを越えるBESSEYボデークランプ、PONYクランプなどは別途、部屋の隅に立て掛けてあります。

柱の活用

丸鋸傾斜盤の最寄りに設置したジグ類

丸鋸傾斜盤の最寄りに設置したジグ類

H鋼に矧ぎクランプなど

H鋼に矧ぎクランプなど

直定規など、長く細いいものを整理するには垂直に置くに限りますが、壁面の他、柱の活用は有用です。

うちは重量鉄骨造りですので、このH鋼にL字金具などを溶接し、矧ぎ専用のハタガネなどを吊しています。
これは角ネジと鉄製の丸棒などで溶接屋に作らせたもので、かなりの重量ながらガッチリとぶら下がり、整理されています。

この矧ぎ専用のクランプですが、これは起業する際に近くの鉄工所に設計図面を渡し製作してもらったもの。強力、簡便、かつ高精度に締め付けることのできるクランプです。
松本民芸家具などで使われているものと同じ設計です。

次ぎは機械室の丸鋸傾斜盤、およびプレナー近くに天井付近からぶら下げた、プレナー集塵ホースの固定のための合板ですが、その裏側に丸鋸傾斜盤などでの作業に必要とされるジグ、サシガネ、スケールなどを吊り下げ、整理しています。

こうして作業室の空間を巧みに活用することで作業性に寄与するとともに、容易に整理がつきます。

2回にわたり工房の収納設備につきご紹介してきましたが、おおよそ、以上のようなところです。
(他には木工機械ブースでは、丸ノコやカッターの刃物、あるいはルータービットなどの収納もありますが、開陳するだけの品質では無いので取り上げません)

hr

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