工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

テーブル製作(その2)

claroテーブル
画像はセンターテーブル(CLAROウォールナット1枚板)の仮組をしているところ。
いくつか制作上のポイントを記そう。

  • このタイプのものは既に過去数度製作している。これまでは脚部を異種材のカーリーメープルでやっていたが、今回は主材と同じウォールナット(これは顧客の要望による変更)
  • デザイン的には、天板がCLAROウォールナットという重硬で存在感の強い材種なので、脚部としてはあまり重硬にならずに軽やかに、モダンなラインでまとめたいということが主たるポイントだ。
  • そのために脚部柱はロクロ成形で、これを四方転び(それぞれ6度の傾斜)で動きを出し、この脚部を円弧状成型による貫で接合させた。
  • 脚部 畳摺りも断面上部はかまぼこ面、側面は4度のテーパーに削り込むことで、軽やかさを出している。
  • それぞれは相欠き、および蟻ホゾで接合(ノックダウン構造をも兼ねる)
    (上の桟は、送り寄せ蟻の吸い付き残になる部材だ(まだ天板を加工していないので、桟も未加工の状態)

テーブル脚部cボクはキャビネットにしても脚ものにしても特段の事情がない限り、あまりというかほとんど仮組みをすることはない。1発勝負を旨としている。
仮組をすることでほぞの緩みが出たり、打ち込みの時の傷が増えることを忌避するからだ。
しかし今回は別。

テーブル脚部b何故ならばロクロ脚の四方転びという手法なので、貫の胴付き長さ、組んだときの高さの確認、といった微妙な要素を確定するための必要性に迫られるものだからだ。
結果は、貫の胴付き長さは設計通り。ただ高さは数mmの誤差が出ていた。
さて仮組してみてやや反省すべき事もある。全体のバランスなど。
ディテールで恐縮だが、ろくろのホゾ穴は2段に掘ってある。
どういうことかというとホゾ穴の内部に胴付きを設けているためだ。つまり四方転びのために胴付き部分が傾斜するので、納まりを良くさせるための手法だ。
なお仮組する前にオイルの捨て塗りをしているので、濃色になっている(組んでしまう前に1度捨て塗りしておくとその後の塗装での処理がラク)。
さて次回はもう1種のテーブル脚部の紹介、あるいは天板製作工程を紹介する予定。

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • 今回の話題と直接関係ないかもしれないので恐縮ですが
    「ホゾ穴は2段に掘ってある」で気になることがあるので
    コメントさせていただきました。
    最近、Thomas Moserのcontinuous arm windsor chairの写真
    を見ているとスピンドルがアームとの固定はもちろん
    座板との固定も通しホゾの割クサビになっているのです。
    アーム側の固定はさることながら座板の方はホゾ穴を2段に
    しないと割クサビがうまく効かないような気がするのですが
    どんなものでしょうか?

  • acanthogobiusさま 
    >Thomas Moserのcontinuous arm windsor chair
    については恥ずかしながら良く分かりません。
    ただお話しの内容の限りでは、少しコメントできるかも知れません。
    2段のホゾ穴でなくとも割りクサビというのは効果的ですので、ウィンザーチェアでは必須の技法です。
    ホゾを外に出したくない場合は地獄ホゾということをやったりもします。
    しかし2段のホゾ穴との差異は大きいです。
    ・板面に対しては傾斜していても、穴の内部で胴付き面が確保されますので、堅牢性(対ねじれ、剛性など)は高まります。
    ・部材のホゾ部分が完全に包まれますので、納まりが綺麗です(強度的にも高まる効果もある)
    回答として適切なものであるかは自信がありませんが…(笑)

  • コメントありがとうございます。
    暇な時にThomas MoserのHPをのぞいてみてください。
    http://www.thomasmoser.com/home/index.php
    トップページにwindsorが表示されればその中の小さな
    サムネイルに座板を下から写した写真が出ています。
    もし表示されなければブラウザの更新ボタンを1,2度押すと
    表示されます。
    ちょっと印象深い写真だったもので。
    失礼しました。

  • 過去に2度ほど、
    各一週間づつくらい工房悠にオジャマしましたが
    (本当にオジャマしてしまいました)
    今度はこういうお仕事中に 伺ってみたいです。
    私達は、職人、と思える方の良い仕事を 
    もっともっと見ていかなければいけませんね。

  • Thomas Moserキャビネットメーカー、サイト。
    更新ごとにTopページが切り替わるので、対象の画像を探すのに苦労しました(笑)
    ごくありふれたWindsorチェアのホゾ+割りクサビですね。
    スピンドルだからこんなもので良いのでは?
    近いうちにこうしたホゾについての記述をしてみましょう。
    > ユミさん その節はお世話になりましたね。
    その後、仕事も人生も充実の一途。ジジはもうそろそろだけれど、あなたの木工人生はこれからだー。
    PS:コメントするときは、あなたのURL添付するように。

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