工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

FIFA W杯、日本代表、決勝T進出おめでとう

決勝トーナメント進出をかけた対デンマーク戦。完勝だったね。すばらしい戦いだった。
ボクはいつもより早めの11:30頃に床につき、3時に早起きして、MacのTV映像にかぶりついて視ていたのだが、家人の睡眠を妨げないよう、叫声を上げることもできず、いつになく苦しい観戦ではあった。
終了のホイッスルが鳴り、3:0の完勝で決勝トーナメント進出の確認をし、ふたたび床に着こうとしたものの、その時間、既に外は明るく、新聞配達もやってきて、軽い興奮を諫めてもなお寝苦しく、夏至が過ぎたばかりの夏の朝は熟睡できようもなかった。
この勝利は日本代表にとって、快挙といって間違いない“事件”だ。
テストマッチ4連敗をひきずったまま、南アフリカへ乗り込んだチームがここまで戦えるチームに変身していようとは誰が予想しただろう。


第1戦、対カメルーン戦、1:0、続く優勝候補としてリストされているオランダに0:1の惜敗、やはり第1戦の勝利がこのチームを勢いづけたことは間違いなく、何よりも「勝つ」という経験、自信というものが短期決戦における最高の強化策であったに違いない。
しかしなお、日本チームの弱さはFWにあるという定説は、残念ながら現在もなお反証すべき論拠も、実績も無いことに変わるものではない。
一方中盤の強さは並み居る強豪チームに十分比肩するだけの力量がある。
デンマーク戦でもこれが生き、攻撃の厚みが増し、組織として戦うというシステムが機能した。
そして本田と遠藤の直接フリーキックは実に見事だった。
開始17分に訪れたフリーキックのチャンス、本田の左足からの30mを超えるミドルシュートが美しいスロープを描き、名GKと定評のあるThomas SORENSENの手も触れさせることなくゴールネットを揺らした。
ボクは絶句した。
それほどに意外性のあるゴールだったが、これは各国メディアも同様のコメントを出してきているようでもあり、本田の名は一気に世界に轟いたと見て良いだろう。
早くも欧州クラブチームから来シーズンに向けてのオファーが殺到するだろうなといった風だ。
無論、前半30分の遠藤のFKもすばらしかった。デンマークチームも観戦者もほぼ本田が蹴るだろうとの予測を外し欺き、横からさっとボールに近づき蹴り込んだ遠藤のキック力とコントロールは逸品だ。

サッカーボール1

さて、決勝T、第1線はパラグアイ。南米チームは強い。
南米出場チームから決勝T進出したのは、ウルグアイ、メキシコ、アルゼンチン、パラグアイ、ブラジル、チリ。敗退したのはホンジョラスのみ。(ホンジョラスは中米か)
相当激しい戦いになることは必至。
本田は完全に押さえ込まれようとするだろう。FKのチャンスを与えないように、ペナリティーエリア近くでのファウルは極力避けるだろう。
そうした当然にも考えられる対応策を突破する鍵は何だろう。これは中田ヒデも言っていたことだけれど、新たなラッキーボーイの登場だろうとボクも思う。
デンマーク戦の際、長谷部と大久保にかえ、玉田と岡崎を投入したが、残念ながらあまり機能したとは言えない。岡崎の最後のゴールは本田からのバックパスによるお膳立てされたようなもので、岡崎本来のシュートといえるものではなかったしね。
大久保も積極的にゴールに迫ったが、そのコースも、パワーもゴールに繋げられるほどの美しさはなかった。これは朝日新聞にコラムを寄せているオシムからは散々な評価だった。
長友もサイドから勢いよくドリブルでゴール前に突き進んでいくものの、今1つパワーに欠ける。もっと本田 → 岡崎のように他の選手を信頼し、チームとして戦う姿勢も必要だろう。
まだまだ成長過程にあるというのが日本チームの実態。
口を開けば「下手くそな俺たち」とシニカルに語る闘莉王だが、彼我の力量差に踏まえつつも、今大会の1つ1つの試合での熟成に自信を深めつつあることの裏返しの物言いでもあるだろう。
ファンタスティックで、美しい試合運びを夢想するのは、まだまだ遠い彼方というのが正直なところなのかもしれない。
しかし2本のFKの威力は世界を震撼させたことだけは間違いなく、この成長を自信とし、本田がそれまでは自分の前に選手がいないことなかったので、何かヘン、というようなポジションの変形で対応するのではなく、1トップでも2トップでも、然るべきFWがその役目を果たすというあり得べき姿に成長させていかねばなるまい。
つまり未だに日本チームに求められるのはファンタスティックで美しいプレイをするFWの存在なのだ。
森本が見てみたい、と思った。ラッキーボーイが現れるとすれば君か。
そしてぜひ決勝T、対パラグアイ戦を勝ち抜き、真に成熟したと思わせるパフォーマンスを見せてもらいたいと思う。ここまで成長の証しを見せてくれているのだから、決して無謀な課題ではなく不可能ではない。
本田を楽しませろ。
サッカーボール1

1つ付け加えさせていただこう。
ボクもそうなのだが、にわかサッカーファンとしては絶好の機会なので、日本チーム絡みだけではなく、多くの他国の試合も見るのがお薦め。
国際試合とは、スポーツを通して普段あまり感心の無い国々のことを見知る良い機会となるものだからね。
フランスの自滅も、イタリアが1つも勝てなかったのも“事件”だが、アジア勢の韓国(パク チソンがすばらしい)が実に強いこと、アメリカが1位進出したこと、残念なことにホスト国、南アフリカが敗退してしまったこと、等々、話題には事欠かない。
そうそう、ゲームキャプテン、長谷部は良い選手だね。今や日本代表の不動のボランチ。対デンマーク戦では強気のシュートシーンもあったが、チームリーダーとしてのメディアへのコメントがすばらしい。バランスが取れ、相手チームを思いやり、アジア全体への感心も高い。
やはり海外へ出るというのが人を育てるのだね。関係ない話しだけど、長谷部はボクの出身中学校の後輩なんだけどね。
土曜日恒例のYouTube、今日はAbdullah Ibrahim(アブドゥーラ・イブラヒム)
ケープタウン出身のジャズピアニスト。70代半ばにしてニューヨークを拠点として演奏活動中。
自国での FIFA W杯開催はさぞ誇らしく、またうれしいことなのだろうね。反アパルトヘイトの曲なども積極的に作る愛国者の側面も見せてくれている。
Abdullah Ibrahim Trio – Leverkusen 2007

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