工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

コーヒーテーブル(HASHIBAMI)

端ばみ
今日は夏至。
一昨日19日はとんでもない陽気だった。それまでの雨があがったのは幸いであったのだが、一転乾燥した大気に取り囲まれた。湿度計の針は40%の下を指している。
こんな状況では木はめちゃ動いてしまう。(画像の1部、ピーカンの太陽が写り込んでる)
でもしがない木工家はぶつくさ云いながらも仕事に励む。
先日来制作していたテーブルの1台が完成。
もう1台はメチャ乾燥問題で、作業中断。
【仕様】
■ THE 端嵌(ハシバミ)なんちゃって。コーヒーテーブルだ。
■ 材種 ブラックウォールナット
■ 寸法 850 × 850 × 700 mm
■ 仕上げ オイルフィニッシュ
名称は天板の構成そのものを表しただけ。
450mm幅ほどの良材を本核(ホンザネ)で合わせ、これを共木で端嵌して天板を構成。
前回エントリー記事内画像にあったように円弧のデザインのクロスした貫で固めた4本の脚部、その頂部に施した2枚ホゾを天板部端嵌に指す。
このような端嵌で構成するというのはめったにはやらない。今回幕板無しにすっきりと構成したいと思い、このようなデザイン、構造にした。
ここでテーブルなどの端嵌の考え方について記してみたい。
今回のように2枚の板で構成するテーブルTopなどの場合では端嵌は外側1/3位までのほぞ部分にはボンドを与えるが、中央部、および剥ぎ部分にはボンドは与えない。
これは環境変化による板の伸張、収縮を中央部に逃げさせ、外側の接合部位は固定させ影響を及ばさないと云う考えによるもの。
端嵌のほぞは40mmほど入れた(分割で)ので効いてくれるだろう。
ほぞもう1つの注意点は接合部の面処理について。
基本的には面一(ツライチ or サスリ、などと呼称)にするが、この接合部位にはあえて面を施す、ということが重要だろう。
伸張、収縮が起きるということが前提にされた仕口であるので、あらかじめこれを想定したところで納めねばならない。
指物的な仕口においては、木口側のハシバミを見付側から見えないように内部に施す、という手法を取ることが一般的だが、このようなテーブルにおいてはそのようなことはしない。
面は今回は0.5分(=1.5mm)ほどの角面を取っている。ハシバミ部位、および矧ぎ部位も同様。
優れた木工をする人には、こうした「逃げ」を忌避する傾向があるのかもしれない。板の接合部をガッチリ固めてしまっているがために収縮によって切れてしまっているところを見かけることは屡々。こんなところはあらかじめ本核(ホンザネ)で納め、面を取っておくことで、切れても決して見栄えが悪くなるということはなくなる、という手法を取るべきだろう。
全体的なデザイン、バランスとしては脚部の傾斜角度がもう少し欲しかった。
貫はやや重たく感じるので、もう少し細身にすべきか。
              画像下は天板、端嵌部位と脚部ホゾ

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