工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ローズキャビネット on Base

rosecabinet on base
ローズウッドという樹種名の語源がどこにあるかは寡聞にして不明なるも、木工職人であれば体感的に知ることが可能だ。
その名称が“薔薇”から来ていることは明らかだが、ローズウッドが固有に持つどの要素が薔薇であるのか?
確かに花の女王、薔薇と同様に樹種では銘木中の銘木。その誇り高いところを評価してのものなのか?
いえ確かにそうした尊称としての解釈は理由のあることだが、やはり体感から受けるイメージが“薔薇”としか表現のしようがないというところから来ているものと考えたい。これは誤解であろうか。
切ったり削ったりすることで、その木材固有の香りというものが立ってくる。
概して日本の木材は良い香りのものが多い。その代表格は欅ということで否定する人はいないだろう。楢はやや芳香というにはほど遠く臭い。
このように樹種は様々で固有の香りを持つ。
対して、南洋材の多くは刺激臭のものが多い。マスクをしなければくしゃみが止まらなくなるだろう。
さてローズウッドはどうだろう。
そうなのだ、薔薇のあの特有の甘い香りに似た香りが立つ。残念ながら材木そのものに鼻を近づけても、その香りを感じることは難しい。やはり切って、削って、という生業に従事する職人ならではの特権だ。
余談が過ぎたが、少し工場を片付けて先にエントリーしていたローズキャビネットをベースに載せて作業台の上で撮影してみた。
うむ…、この左の空いたスペースに北欧の広口の硝子の花器に生けた花を置いたりすればベストだね。(○○さん、貸してください)
しかし撮影は難しい。最大の問題はライティング。それにもちろん撮影スペース。うちは工房が手狭でそのようなスペースを確保することは困難。
照明設備も無い。デジタル一眼に外部ストロボがあるだけ。
rosecabinet det

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  • 九月に入り、だいぶ凌ぎやすくなってきました。
    artisan さんも、本来の仕事に精が出る季節になりましたね。
    さて、
    >ローズウッドという樹種名の語源がどこにあるかは寡聞にして不明なるも
    と書かれたので、調べてみました。
    http://www.fuchu.or.jp/~kagu/mokuzai/88.htm
    を引くと、
    「新鮮な木材には、バラのような香りをもつものもあり、ローズウッドの名の由来となった」とあります。
    おそらく、薔薇の特徴的な成分(よく知りませんが、モノテルペンアルコールの類かな)が、含まれているんでしょうね。このあたりは、豊玉香料のF君の専門領域かな。
    >木工職人であれば体感的に知ることが可能だ。
    >切ったり削ったりすることで、その木材固有の香りというものが立ってくる。
    いいねえ。まさに、artisan 冥利に尽きるところ……。
    やはり、手に職を持っている artisan という職種は、ただのサラリーマンとはそこが違う。決定的に異なる。
    ところで、Rose Wood の別名が「紫檀」って、ほんとう?

  • 風に吹かれて さま コメントありがとうございます。
    蘊蓄を感謝します。
    >Rose Wood の別名が「紫檀」って、ほんとう?
    “ほんとう”、でもあり、必ずしも“そうでは無い”とも言えるようですね。
    どういうことかと言いますと
    「紫檀」はコクタン、タガヤサン、と並んで唐木三大銘木ですが、熱帯アジアのローズウッド類の木材の1つというのが分類学上の名称です。
    ただややこしいのですがこうした狭義の分類とは異なり、それこそカリンなども含めローズウッド全般をマーケット戦略として「紫檀」と位置づけられる場合もあるというのが実態です。
    他にも「本紫檀」「手違紫檀」「印度紫檀」「紅木紫檀」などとその産地、樹種の違いで別称されることもあるのでなかなかやっかいです。
    なお薔薇の香りですが、気管支炎を患っているボクにはいささか刺激が強すぎ、アレルギー物質を含むなどとも言われていますね

  • 今回の写真は光線の加減かもしれませんがローズウッドの
    色や模様が良く出ていると思います。
    私は桜材を切っている時に時々ほのかに香ってくる桜餅のような香りが好きです。
    欅や楢はもちろん、センやタモそれにケンポナシにも特有の
    香りがありますよね。

  • 唐木の仲間は良い香りとともに
    危険な物質が>苦笑
    やはり、甘美なものには毒が、でしょうか。
    必ずマスク着用しています。ちょっと高性能の。
    りんごの香りやさくらんぼの香りのほうが
    優しくて好きです。

  • acanthogobiusさま コメントありがとうございます。
    撮影は様々な要素がありますが、やはり照明は重要ですね。
    これは自然光80%+ストロボ光20%というところでしょうか。
    kentさん コメント感謝です。
    >高性能の
    ではないためか、ちょっと気管支炎が悪化の一途のartisanです。
    確かに果実をもたらす樹種はそれぞれ固有の芳香がしますね。

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