工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

CLARO (クラロウォールナット)

CLARO1
写真は2mを越える大きなテーブルです。天板には1枚板のクラロウォールナットという樹種が使われています。
入手しましたのは10年以上も昔のことです。原木に出会ってから製材にいたることについては「工房 悠サイト」の参照)の項にコラムとして記してありますが、写真のものはこの時の製材で最大にして、無欠陥の板です。
木末(上部)の部分、中央に節のように見えるのは、接ぎ木された痕跡ですね。その上部は色調が異なることが視認できると思いますが、これは台木(木元側)とは明らかに細胞が異なることを示しています。
下の写真はその後に入手した原木のほうです。こちらは残念ながら長さがあまりありませんでしたが、しかし太さは1.2mを越え、木味はご覧のように様々な杢を醸し、CLAROの特性を十二分に示してあまりあるものでした。
完全にこのCLAROにいかれてしまったボクはその後数回原木を求めました。今に至るも様々な材種を求め続けてきましたがこのCRALOに勝る材種には出会っていません。
CLARO2

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花粉飛散ときどき黄砂飛来

すみれ
写真は庭のそこかしこにたくましく咲いているすみれ。気を付けているものの足で踏みつぶすことも無くはない。ゴメンナサイ。
今日は風が強い。駐車中の自動車のウィンドーを見るとびっしりとほこりのようなものが張り付いている。
これは?、花粉、はたまた反日騒動でかまびすしい中国本土から運び込まれた黄砂?
以前、信州松本に在住していた今頃の季節の話し。
静岡から松本へと向かう車中、塩尻峠(当時は高速道はまだ途中までで、塩尻峠はR20号を越さねばならない難所だった)から松本平野を眺望すると、春の霞にしてはあまりにも濁った空気に覆われていることに驚いた。平野全域がダークグレーの帽子を被せたように暗く覆われていた。
松本に帰り着き降車して気づいたのです。それは紛れもなく黄砂でした。

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落ち着かない日々

ここ数ヶ月あることで気を揉んでいることがある。
物欲に関わることなので恥ずかしくて口外できるものでもないのだが、他でもないMacの機種 更新の時期、そしてデジカメ1眼レフの購入に関すること。
まずMacのほうだが、新OS “Tiger” の発売は4/29と決定した。
しかしウワサ サイトによればMac本体の方もいくつかの機種で近々更新があるようだ。時期は新OS発売の4/29か、それ前後。
PowerMac、 iMac、 eMac 、iBook、 PowerBook、などほとんどが更新されるとか、本当かな ?????。
Mac OS X v10.4
Mac OS X v10.4

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アドビシステム社がマクロメディア社を買収って?

Adobe社
いやぁ、昨日の「アドビシステム社がマクロメディア社を34億ドルで買収」のニュースには震度5以上のオドロキでしたね。
ライブドアによるニッポン放送買収問題は一応の決着を見たようですが、米国の巨大ソフト産業の買収劇は一瞬の早業と言いますか、スマートですね。
両者とも普段から世話になってるソフト会社なので、無関心ではいられません。
画像処理、イラスト作成、ブラウジング、Webオーサリングなど、コンピューターを扱う人であれば、多かれ少なかれ世話になっていると考えて良いでしょう。
個人的にはWeb作成ソフトの「Go Live」がどうなっちゃうのか、

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おが屑の行方

空豆
今夕は初夏の旬菜で軽く一杯。空豆(器は棚岡二三四さんの白化粧)と、ほたるいか(器は鈴木正彦くんの伊良保)です。
さて、木工をされている皆さん、たまりにたまったおが屑はどう処理しますか。
大きな工場などでは集塵機によって大型焼却炉へ自動的に送られそのまま焼却しているところも多いと思います。
ボクのところではそのような大型焼却炉もありませんし、また焼却炉での焼却処分の規制も施行されていますので、そのようなことはできません。
昔から近隣の牧場で引き取ってもらっています。
牛糞と合わせ発酵させることで、とても良い堆肥になるのですね。
このようにおが屑を牧場で引き取ってもらうことは資源の循環に繋がることですので、とても気持ちよいものです。
工場は綺麗になり、牧場は喜び、野菜も喜び、そしてヒトも美味しい野菜で胃袋が喜ぶ。もちろん焼却しませんので環境へのインパクトは低い。
加えて、いつもこの牧場のオーナー婦人からは様々な野菜を頂くので、美味しくいただけ、家計も助かる。
四方、良いことずくめ、ということですね。
ただ、これまで開業してからというもの、現在の牧場に至るまで5個所ほどの牧場に世話になってきたのですが、つまり、後継者がいなくなり廃業したり、またおが屑のチップの大きさの問題があったりと、たらい回しにされてきた経緯もあります。
現在の牧場では既に3年ほど世話になっていますが、まだ若い経営者ですので、当分は良い関係で推移してくれることでしょう。
ボクたちの使う材種はいわゆる雑木(広葉樹)ですが、牧場主のお話では針葉樹(杉、檜など)のおが屑は堆肥には良くないんだそうです。雑木ですと、にこっと笑ってもらってくれます。
どういうことかと言いますと、針葉樹はなかなか発酵してくれないのだそうです。そのため発酵促進剤(薬品)を混入させることなども必要になり、あまり良くないのだそうです。
ボクのところではブラックウォールナットのおが屑が多いものですから、最初は「何じゃ、これは ?! 」と、日本の木にはないあまりの黒さに驚いていたのですが、良く発酵してくれるようで安心してくれました。
今日もトラック満載でおが屑を牧場まで運びましたが、とても気分の良い作業なのでした。
帰りに頂いたのは食べきれないほどの量のねぎでした。どうしよう、こんなに。ちゃんと根も付いているので庭の小さな畑に植えます。そして毎日、毎日、焼いて食べます。(1本のママ焼くんです。焼くと甘みが増し、食欲増進、あっちも増進)

職業訓練制度の新たな試み

グランシップ
昨日の納品行ドライブ過程でラジオから流れてきた(トラックは残念ながら iPod は接続できませんので< 笑> )ニュースで注目されるものがありました。
これは県内の清水技術専門校(いわゆる訓練校)の木工科で、新たな職業訓練制度を導入する、との話しでした。
静岡というところは地場産業としての木工業が盛んな地域ですが、ご多分に漏れずやや斜陽産業といわれかねない状況を呈しているようです。このため若年労働者の雇用も思うように進まないという問題を抱えているといいます。
これを改善させるための行政側の新たな試みとして「日本型デュアルシステム」なる職業訓練施設と企業側の相互乗り入れというような官民一体型の人材育成システムを立ち上げようということのようです。(参照

家具製造の人材育成 来月から木工科でデュアルシステム 清水技術専門校
県は職業訓練施設と企業での実習を組み合わせた「日本版デュアルシステム」として、清水技術専門校(静岡市)の木工科で地場産業の家具製造業の人材育成を始める。同システムの木工科での実施は全国初。県は「地場産業の人材育成も全国的に珍しい」(職業能力開発室)としている。
 同システムはフリーターやニートなどの若年層の職業的自立を促し、雇用のミスマッチ解消を目指す。若年者の雇用対策とともに後継者不足に悩む家具製造業の活性化を狙う。
 訓練期間は5月18日から来年3月15日まで。家具製作に必要な材料や製図の基礎知識と、木工用各種機械器具を使った加工技術を身につける。清水技術専門校で6カ月間の基礎訓練を行った後、静岡市内などの協力企業10社で2カ月間の現場実習を経て、パートとして3カ月間働く。訓練を終えた段階で、合意すれば正規雇用となる。
 おおむね35歳以下で就職希望者が対象。定員10人で適性試験と面接で選考する。5月6日まで応募を受け付ける。

決して悪くないシステムと思います。ぜひ成功させていただきたい。

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陶芸家 棚岡二三四さんと、産科医 吉村先生

棚岡二三四
春の山々も良いものですね。まだまだ桜花も残り、萌えだしつつある若葉の淡い緑が高速道上のドライバーの眼を奪います。ホンワカ気分で納品走行です。
途上、友人陶芸家の個展を表敬させていただきました。
毎年開催している蒲郡プリンスホテルです。トップの写真はいやがる本人を無理やり撮らせてもらいました。下は焼き締めの壷です。
最終日とあって、既に多くの作品が買い取られた後でしたが、新しい作風のものも含め楽しませてもらいました。
会場には最終日とあって、多くの女性ファンが集い、とても和やかで暖かな雰囲気でした。
この人は身を削りながらの作陶活動という表現が決して誇張ではない風貌を湛えています

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LINKのはなし

このブログのアクセス解析は、必ずしも十分な機能を有していませんので、どのような人から読まれているのかは解りません。
サイト運営をビジネスとして考えるならば、客にアピールさせるような記述、仕掛けもすべきでしょうが、ブログではそのようなことは考えないようにしています。
木工を生業としている職人の周辺雑記、仕事の合間にふと頭を去来する事象などを記述することで、ボクのものづくりのバックボーンを投影させることができれば了としたいと考えています。
少しばかり木工のことも記述していますので、木工に興味のある方々からの訪問も多いと考えられますのでLINKも関連業界の人が多くなります。
新たに「DAYS OF CHAIRS」をLINKしました。森下 真さんのブログサイトです。
既にWebサイト(DISCREETCHAIR)のほうもLinkしていますので、ご存じの方も多いと思います。

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新茶の季節

茶畑
週明けからの花散らし雨もようやく止み、春らしい暖かい日和でした。
写真のお茶畑は工房近くの牧ノ原台地のものです。拡大写真のように茶葉はぐんと伸びています。
この「牧ノ原台地」は全国有数規模の一大産地です。
天候回復してきましたので、県下の初摘み(ハウスものではなく、露地もの)は今日だったようです。早いですね。しかし平年に較べると1Weekほど遅いようです。
しかしまだまだ一部の畑だけで、大規模の1番茶の摘み取りは初取引が4月21日ですので、今週末あたりから本格化されるはずです。
新茶
今日はお茶についていくつかの情報と気になることなどについて・・・。
皆さんは普段どのようなお茶を飲んでいるのでしょうか。またギフトなどでも使われることの多いお茶ですが、どのようなものを求められますか。

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木工技法とデザイン

木工芸の特徴の一つとして、素材としての木は他の工芸素材にみられるような可塑性には制約があるということを挙げることができます。
そのために「指物」という呼称にも見られるように、木の造形の多くは「組んで」、「指して」、という組み手、仕口の技術を駆使することによってはじめて成立するのです。日本においてはこうした技術体系が世界に誇るべき物として、古来より歴史的に形成されてきています。
またこの素材は有機素材ということでの特殊性、すなわち木は置かれた環境、また経年変化で、反り、暴れ、伸縮しますので、木工芸はこうした有機素材ならではの困難を解決することなくしては成立しません。これも日本の木工技術体系にふまえるならば、見事に解決してくれます。
従って木工芸を展開するためには、こうした技術体系を豊富に修得し、自家薬籠中のものにすることが、ひいてはデザインの自由な展開を保証するものになるのです。
「デザインの自由な展開」について地元の家具展に出品された水屋を対象に簡単に一つの例証を上げましょう。

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