「木」の大学講座「樹木と人間・動物のかかわり」〜ブナの時間・トチの時間〜
はじめに
私たち家具職人が家具を制作するにあたり重視する事柄の中にあって、その主たる素材としての木材はもっとも大切なものであることは言うまでもありません。
フラッシュ構造のものであれば、フェイスにプリント合板を持ってくれば、そうした課題は回避できますが、広葉樹の無垢材をもっぱらとする私たちには「逃げ」は効きません。
また国産広葉樹の多くの樹種の需給が逼迫する状況下というものは、いよいよ無関心でいることが許されないものとして制作現場の私たちに突きつけられていることも事実でしょう。
しかし、こうした家具制作における持続可能性が危ぶまれる現状を眼前にしながらも、私自身も含め、この問題に深く検証を試みるなどということは少なく、ましてや広葉樹林の生態系へと足を踏み入れることは、実に稀なことであるのが実態と言うわけです。
この度、タイトルの講座が開講され、これに参加させていただくことができ、上述のような問題回避の日々を脱し、1歩、大きく足を踏み入れることで、日本の森の豊穣さと出逢い、多くのことを学ぶ契機となり、そして家具製作者として何某かの展望と可能性、そして勇気を掴み取ることに繋がったように思います。
More »