工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

機械、電動工具をその性能、品質から考える(海外メーカーとの比較において)

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はじめに

このBlogでは最近upしました木工専用のドリルプレス(日本国内での一般名称は「ボール盤」)をふくめ、以前より幾種類もの電動工具のレビュー記事を上げてきました。

その品質、革新性、あるいは製造メーカーの開発設計、さらにはそれらから見え隠れする企業理念などを個別に評価してきたところです。

ここでは、そうした記述を踏まえ、敷衍させつつ、木工機械、電動工具の現況を浮かび上がらせてみたいと思います。

その具体的な方法としては、日本の関連企業の開発姿勢を海外のそれらと比較対照しつつ、機械、工具選択におけるささやかなるサイド的な資料となれば良いでしょうし、またそれを越え、開発姿勢における問題の在り様にも迫ることができればと考え、重い腰を上げてみることにしました。

なお、大型木工機械について考えますと、私が所有しているものは専ら国内のメーカーのものがほとんどで、海外のものでは知人が導入したものを見知るほどですので、評価対象とするには適しません。

ただ、私の愛用する木工機械は、その製造メーカーの多くが廃業してしまっているという現状を鑑みれば、これからの若い方々としては、当然にも海外メーカーのものを選択対象にせざるを得ないという問題も既に現実的なものになってきており、この分野への言及も必要となってくるでしょう。
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2015年 ー コンピューター導入から20年、

新年も明け、旬日を超え、この週末の阪神大震災20周年を迎えればすぐにも大寒です。
天気予報を見る度に、当地は全国でももっとも温暖な地域の1つであることを確認させられるわけですが、しかしそうは言っても寒いです。

作業中はボア付きのGジャンが離せず、夜間のデスクワークはフリースを重ね着しても、なお寒い。
二十四節気、来週の大寒を越し、その2週間後は立春。それまでの辛抱というわけです。


今年の2015年ですが、上述のように阪神大震災20周年であるとともに、思い返せばWindows 95がブレークし、パーソナルコンピューター元年と言われたのも20年前の1995年でした。

私はと言えば、天の邪鬼、というわけでもないのですが、この年に初めて買ったコンピューターはMac(Macintosh)でした。
IBM PowerPC搭載のPerformaと言う機種。
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2014年を超えて

今日は大晦日。2014年から2015年へと暦が替わります。

若い頃は地方の鄙びた温泉宿とか、都心のホテルとか、旅先で迎えることも多かったものですが、ここ数年は静かに自宅で迎える年越しになっています。

また、仕事納めも、昨日いったんすべきことを終え、1日残しての年越しのつもりだったのですが、結局は今日も半日仕事になってしまった。

それというのも、工房の玄関ドアのリニューアル、設置に関すること。
これは年越しさせるわけもいかず、賀状作成もそっちのけで奮闘。

大きな建具の吊り込みは、「奮闘」と形容するにふさわしい難行です。
このドアについてはまだ画像も無く、稿を改めてご紹介したいと思いますが、普段、さほど言葉を交わす人でも無い隣人が「さずがに木工屋さんらしい、良いドアですね」と話しかけてくるなど、まずまずの出来映えです。
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ウォールナットの両袖デスク

BW デスク

BW デスク


ブラックウォールナットの両袖デスクです。

実はこれは〈Gallery 悠〉のショールームに置かれるものとして設計されたデスクです。

ショールームでの接客用のカウンターでもあり、管理者の事務用デスクでもあるというわけです。

Wideが2,400を超えるという、デスクとしてはかなり大ぶりなもので、必ずしも一般的に需要があるものでは無いかも知れませんが、企業の重役クラスでは、広々とした空間で事務を取るというケースもあるでしょう。
エグゼクティヴ デスクとでも命名しましょうか。

構成

ブラックウォールナットの700wを超える幅広の一枚板の良材(2寸板)を甲板とし、重厚な4本の脚部(120w 75tの断面)で支えるという基本構成です。
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バンドソーなどでの曲線加工は?(ドイツのテキストから)

バンドソーでの曲線切削

いきなりで恐縮ですが、バンドソー(帯ノコ)での曲線切削は皆さん、どうされているのでしょう。
うちの椅子の定番に《座布団チェア》というのがあり、これには1,200rのラダー(背の部分の格子状のパーツ)が12本もあり、作るのはなかなか面倒な工程になります。

【BGHM】 Berufsgenossenschaft Holz und Metall決まっているわけではありませんが、一度のLot数は10脚以上です。
1脚ごとに作っていたのでは埒があきません(≒生産性が上がりません)。
10脚とし、このラダーは120本。半端な数ではありませんね。

私はこれを設計した際、いかに効率的、高精度にラダーを作るかを考え、1つのジグを作ったのですが、それを未だに使用しています。

また、この120rだけではなく、正Rの曲線切削、加工でも、同様のジグを作っているのは当然です。

なお、バンドソーでの加工と同じように、その次の工程である仕上げ切削を行う、ピンルーター(ルーターマシン)でも兼用できるものとして活用しています。

本テーマでは余談になりますが、次の工程になるホゾ付けは、ホゾ取盤で行うことになります。
既に曲線加工を済ませている部材へのホゾ加工は至難です。
その難易度を解決してくれるのが〈ホゾ取り盤〉というわけですね。

5〜6本のラダー部材を一気に①総丈を決め、②胴付きを付け、③ホゾをカットしてしまいます。
正確無比に、ホゾが付いた部材が産み出されます。

さて、ところで、うちに訪ねてくる若い木工職人に、こうした正R切削工程の方法につき「あなたならどういう方法で作るか」と訊ねると、多くの場合「墨付けし、バンドソー、あるいはジグソーで挽くんじゃないですか。その後ルーターで仕上げるのであれば、型板を作り倣い加工になるのでは?」と答えます。
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高速縦軸面取盤(SHAPER)の安全フェンス

面取盤 安全フェンス

面取盤 安全フェンス

〈高速縦軸面取盤〉という木工機械は決して特殊なものでもなく、ごくありふれた機械です。
中規模の木工所、特に椅子や、複雑な造形を伴うような業種のところでは、むしろ必須の機械と言っても良いほどのものです。

ただしかし、私のような個人工房では導入しているところは少ないのが実態のようです。
機械の導入にあたっての思考基準、ポリシーは、制作スタイルから、求める品質等で決して一様ではなく、様々なわけでしょうから、導入しない相応の理由もあるのでしょう。

またさらには、ピンルーター(ルーターマシン)さえ導入していないところも多いのが実態であれば、ましてや面取盤など、といった感じでしょうか。

高速縦軸面取盤という機械

高速縦軸面取盤は様々な加工能力を持っています。

まず、名称通り、被加工材に面取り加工をすることができるマシンです。
ピンルーター(ルーターマシン)も同様の能力を持っていますが、ルーターは一般には1/2”(≒12mm)シャンクですので、刃物径も30φほどが限度になります。

これに対し、高速縦軸面取盤は1”(25.4mm)シャンクですので、100φ〜125φほどまでのカッターが使えます。
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新工房および住居の造作、設備(その3)

和室

昨今、住宅の間取りにおける和室の比重はずいぶんと蔑まれていると言うのは、やや大げさかも知れませんが、それほどに顧みられなくなっていることも確かなようです。

あったとしても、広く取ったリビングの間取りの一角に、床を1段高くし、全体の居住空間のアクセント的な位置づけであるかのような佇まいであったりというのが住宅デザインの流行のようです。

確かに核家族化し、畳の間が恋しい高齢者もいなければ、子どもを正座させ、説教垂れる親は嫌われるタイプの筆頭であるかのよう。

先に多くの家具を納入させていただいた個人宅には、由緒正しき和室があり、漆の座卓を置かせていただいたわけですが、その八畳間には炉が切られ、ご婦人とともに茶の湯を嗜まれるという人でして、そうした限られた人々に受け継がれて行かざるを得ない宿命の住空間なのかもしれません。


そんな絶滅稀少的な和室ですが、由緒正しきとまではいきませんが、1部屋和室を設けました。
私は思考スタイルとともに、生活スタイルはモダンであろうと努めている者の部類ですが、制作する家具の中には、私自身は決して意識的では無いのですが、いわゆる和のデザインとしてカテゴライズされるものも少なく無く、そうしたものを展示するスペースとして必要でもあったわけです。

もちろん、たまにはゲストルームとしても活用する積もりではありますが。

和室・床の間

和室・床の間


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新工房および住居の造作、設備(その2)

キッチンキャビネット

キッチンキャビネットとは言っても、現在完成しているのは、前回触れたシステムキッチン背部、リビング側カウンター下のキャビネットと吊り棚のみ。

この後、キッチンコーナー、背部壁面に沿わせ、食材収納キャビネット、サブ調理台、などを作らねばなりません。
まだ途遠し、です。

吊り棚

前回も触れたように、この吊り棚はダイニングリビング側に調理に伴う異臭、排煙などを回さないための効果をねらった処置でもあるわけです。

富士工業のレンジフードは機能性もさることながら、その排気性能はとても良いものがありますので、吊り棚の効果の程は如何ほどのものかは分かりませんが、物理的に遮断するわけですので、無いよりはましでしょう。

こうした対面式キッチンのカタログなどを視れば、ほとんどフルオープンのスタイルが多いようです。
間取りとして広くは取れないダイニングを、より開放的に、すっきりと美しく見せるためでしょう。

しかし、設計士の推奨のまま、あるいは格好良いショールームのスタイルをそのまま真似した施主の少なく無い人たちは後悔しているかもしれません。

ダイニング側に油煙が周り、天井、照明、家具などに油がこびり付くということもあるでしょうし、またあるいは調理場は常に美しく装わねばならず、これが日々の重い課題になってしまっている、などと嘆きの対象になってしまうかも知れません。

キッチンキャビネット・吊り棚

キッチンキャビネット・吊り棚


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新工房および住居の造作、設備

新装なった工房兼住宅につき、これまで建具の一部につき紹介してきましたが、引き続き、ショールーム、住まいの造作など、私自身が関わったところを中心とし、また関連して設備周りなどを紹介していきます。

リビングダイニング

まず住まいのリビングダイニングから。

現在の日本家屋では、狭隘な国土、土地政策の貧困のためもあり、狭い敷地を家族構成に無理やり合わせたような間取りが多いのが一般的ですが、ご多分に漏れず我が家も同様です。

また全体の床面積では比較的余裕のあるものの、ショールームに大きく譲ったこともあり、さほど余裕のある間取りではありません。

したがってリビングだけを独立させて設けるわけにもいかず、ダイニングキッチンと同一空間とし、ダイニングテーブル、TVボード、ソファなどが置かれるという、良くあるパターンの間取りです。

妻と二人という家族構成でもあり、またリビングとは言っても仕事以外での居宅は、二人ともそれぞれの書斎(私の場合はショールーム一角の事務コーナーでしかありませんが)で過ごす時間が多く、これで過不足無いでしょう。

このリビング、実はまだ完成していません。画像左の壁面、穴ぼこがあるのは、この部分に納まる予定の、収納キャビネットの制作が未着手。
このままでは断熱が効かず、あきませんので、寒くなる前に何とかしなければいけません。

リビングダイニング1

リビングダイニング1


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今時のドリルプレス〈DELTA:18-900L〉

〈ドリルプレス〉、日本では一般にボール盤と呼ばれる機械です。
なぜ、ドリルプレスという呼称なのか、はたまたなぜボール盤という呼称なのか、
産業技術における日米の比較文化の対象にもなりそうな微妙な差異ですが、今日は我が工房にとり10数年ぶりとも言えそうな木工機械の新規導入のお話しです。

〈ドリルプレス〉、つまり穴を開ける小型の機械のことです。
木工には必須のマシンですので、これまでも使ってきたわけですが、このマシン(日立B13という最も普及しているタイプ)が昨年故障し、工房を改めたこともありますので、新調を迫られていたところでした。

導入したのはDELTAの〈18-900L〉という機種。

まず、機械の画像とスペックから見ていきましょう。

DELTA:18-900L

DELTA:18-900L

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