工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

マホガニーのデスク

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構成としてはシンプルな平机です。
以前、〈エレガント小袖デスク〉というものを制作していますが、このデザインのバリエーションになります。

小袖部分を無くし、大小3杯の抽斗を横1列に並べたものです。

各部位における面処理なども意匠を配慮しつつ丁寧に削りだし、エレガントな装いを凝らしたところは小袖デスクと同様。

また、稀少材、ホンジョラスマホガニーで制作することで、優美さを引きだしたのも同じです。

750mmの奥行きですが、2枚矧ぎという、この材種にしてはかなり贅沢な木取りで納められたのも、嬉しいことです。
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Blog開設10年

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Blogというツールの今

インターネット世界でのコミュニケーションツールとしては、今ではSNSが主流。
それもTwitterからfacebookへと比重が移り、Blog設置者の多くがそちらへと流れているようです。

私も2年ちょっと前からTwitterアカウントを持ち、気になる知人、著名人の呟きに耳を傾け、貼り付けられたURLを探索する楽しみを覚え、時には自分でも投稿するなど、その恩恵を被っている者の一人です。
140文字という制約が持つ独特の文体にも慣れてきたところです。

こうした個人の楽しみを置いても、社会に及ぼすその影響の大きさには無視できないものがあるようで、SNS的社会現象とも言うべきインパクトを与える局面もあるようです。

一方、facebookアカウントも薦められますが、私にはかなりハードルが高い。
勇気が無い、と言った方がが正しいでしょうか。
自分自身もそうですが、周囲の知人関係に迷惑が及ぶのを避けたいと考えるからです。


さて、このようなSNS全盛時代にあって、Blog活用はどんな位置づけになるのでしょう。
SNSはコミュニケーションツールとしては、実に多機能、かつ拡散性は高く、その威力は認めつつも、他方、自由度が高く、汎用性のあるBlogは簡単には手放せません。

2005年2月に産声を上げたこのBlog「工房通信 悠悠」ですが、設置から10年経過したことになります。
起ち上げ時の高揚した思いも、ついこの間のような感も拭えず、これも年のせいでしょうか。
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新たなLinkついて(ろくたる:服部さん)

3.11から4年、ということで記事を上げてきたのですが、関連して、新たにお一人の木工家のBlogをLinkさせていただきます。

〈ろくたる〉こと服部篤さんのBlog「ろくたる工房日誌」です。

他でも無く、3.11緊急災害ボランティアに、いち早く手を挙げ、参加、同行して頂いたガッツな男です。

ガッツというのは、ちょっとイメージが違うかも知れないな。

って言うか、あまり私も良く分からないところがある人ですね。

出会いも2007年(だったかな?)と、さほど古くはなく、その後もめったに会うことも無く推移するという、どちらかと言えばそのような人物がいるという認識程度(ごめんなさい)だったのですが、
そこに突然、3.11をきっかけに1週間ほど寝起きを共にすることに。

詳細は彼自身のBlog、あるいはWebサイトに委ねるとしまして、
私なりに印象を記しておきます。


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3.11が巻き起こした、新たな社会運動と「風化」

昨夜のエントリ(4年目の3.11に思う)を読み返してみたが、どうも隔靴掻痒の感が否めない。
これは3.11を巡る大状況のあまりの過酷さ、日本社会の深層をまるごとひっぺ返すほどのものであったことから、原稿用紙わずかに20枚ほどの分量で語れるわけも無いことも、確かにあるとは思う。

2011.03、石巻市雄勝町

2011.03、石巻市雄勝町

しかしそれだけではもちろんないね。
私自身の切り口、視座、抽象化、普遍化、そして個別具体的な光景への言及、文章化の弱さなんだろうと、我がことながら滅入ってしまうよ。

本人にしてそうなのだから、読者にしてみれば迷惑極まりないわけだw

これを埋め合わせる意味では無いけど、少し追補的に進めていく。


3.11をめぐる大状況の中にも、救いが無かったわけじゃ無い。
震災直後から澎湃として沸き起こったボランティアという名の、社会を揺り動かすほどの勢いを持ったムーブメントのことである。

自身の財布から支援物資を買い集め、周囲の人々に訴え、資金を募り、被災地現地へとわが身を省みずに救援の手を差し延べようと馳せ参じた人々の圧倒的とも言える数、数、数。

もちろん以前からも様々な災害において、同様の動きが見られたわけだが、ただ3.11においては、被災地へ馳せ参じた人々のその規模、あるいは全国各地で被災者への受け入れ態勢が組まれるなど、次元の異なる運動体がわき起こり、社会現象にすらなっていったことは特記されて良い。

これは福島第一原子力発電所過酷事故というものを含む、歴史的な規模での激甚災害であったことを背景にすることからのものであり、過剰にこの現象を評価するのもどうなのかなと思わないわけでも無いのだが、しかし、とかく社会性が希薄だと言われてきた若者たちの決起は、そうしたさしたる根拠の無いイメージを払拭させるものとして、喜ばしい事象であったことも確かだろう。

いわば新しい社会文化というものが生まれてきたわけで、私もここに、日本社会への新たな希望と、未来への夢を描くことができるのではと思わされたものだ。
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4年目の3.11に思う

2011.03:石巻、峠道から雄勝町を望む、津波に洗われた一帯

2011.03;石巻、峠道から雄勝町を望む、津波に洗われた一帯

あの時、そして4年を経て

あの時も今日のように真冬の厳しい寒さだったように思う。極寒の中での逃避行、凍るほどの冷たい津波に洗われ、凍えながら救助を持つ数万人にのぼる人々らが逃げ惑う、想像を絶する震災だった。

震災後の関連死を含めれば、20,000人を越える犠牲者を出した3.11東日本大震災。
あらためて、お亡くなりになった方々、ご遺族の方々に深く哀悼の意を表します。

救出の手が伸びなかった、あるいは震災後の救援が不十分な状態で死を招いた事例も多いと言われ、無念の涙に沈む親族の哀しみは、4年を経てもなお、癒やされるものでは無いと思う。

2011.03:石巻市中心街沿岸部

2011.03:石巻市中心街沿岸部

あの3.11の旬日後、ろくたるさん、ホリちゃんらと、支援物資満載で赴いた石巻だったが、設置したテントも降雪に潰され、あるいは突風にテントの骨が折れるといった、過酷な気象状況の中での支援活動。

熱気に燃えていた私たちはともかく、全てを失い、途方に暮れ、佇むだけの被災者にどれだけ暖かい手が差し延べられたのか、今でもその頃のことを反芻することがあったりと、この時期になると胸が締め付けられるようで心が重くなる。

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苦い話 〈copyright〉(著作権)の無視・続

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承前)

プロとアマチュア、について

私はBlog運営をコミュニケーションツールの1つとして考えており、読者の方々、木工関係者へと、木工関係を基軸としながらも、広い視点から様々な領域に渡り記述してきましたし、今後もそうありたいと考えています。

Blogという性格から、つまらない雑文が多いのもその通りですが、中には数年にわたり、数多くヒットする記事もあったりで、相応の責任を感じつつ、人生の少なく無い部分を、このBlog運営に費やしているといっても、あながちおおげさではありません。

今回の盗作者は、判然としない部分もあるものの、いわばアマチュアの方のようでした。
プロであれば、著作物がいかに大事なものであるかの認識は高い物があると考えられますが、いわばアマチュア、趣味の方々の無自覚さゆえの事案であったとも感じとられました。

この辺りはネットというもののフラット性の悪しき側面が露わになったものとも言え、そのこと事態への思うところはあります。
ただ、どなたが閲覧しても構わないネット社会ですので、こうしたことも起き得るわけです。
防止対策にも限界があります。

今回の無断盗用というのは、私にとりかなりショッキングなことでした。
過去には1件だけ、〈荒らし〉のような、悪意に満ちたコメントが続いたことがあり、それに次ぐ、二度目の問題となってしまったわけですが、Web運用している限り、こうしたことは避けがたく、その後の対処を首尾良く進めることの方が大事なようです。

焦らず、慌てず、しっかりと権利を行使し、著作物を守ることですね。
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苦い話 〈copyright〉(著作権)の無視

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苦い話、もう聴きたくも無いでしょうし、私自身、話したくもない、というのが正直なところ。
しかしWebやBlog運用では欠かせない基本事項に関わる事じゃ、等閑視(スルー)もできないよ。泣;
もう1本だけ、上げさせていただきます。

〈copyright〉の無視、とタイトルしましたが、最近、このBlogからの画像盗用という事案が発覚し、いささか滅入りました(発覚したのは最近のことですが、盗用されたのは3年ほど昔のことだったようです)。

copyright、つまり著作権を無視され、このBlogの画像がパクられ、盗用者のBlogに何らの断り書きも無く貼り付けられていたというわけです。

パクられるうちが花よ、と苛立つことなく、長閑に構えるのも一興ですがね。ハハハ。

このBlog、Web上の木工の世界で、どれだけ読者を獲得し、影響を与えているかは知りませんが、これまでこうした盗用は気づくことも無く推移してきましたので、たいして影響など無いんだろうな、と高を括っていたわけですが、今回の事案で、ちっとは見てもらえているんだなと半ば嬉しくも(へへへ)。

ま、しかし、このBlogも〈copyright〉を宣言していることもあり(このページ、最下段欄外の表記、および,メニュー[about me]内〈リンク、著作権について〉での記述)、違法な物は違法ですので、放置しておくのも、何やら違法を奨めるようで、やな感じじゃないですか。

そこで、この盗用した相手さんと数回のやりとりを経、謝罪、および、今後一切こうしたことはしないとの文言を出していただき、了としたところです。
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新工房および住居の造作、設備(その5:トイレット)

トイレット

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ショールーム脇にレイアウトされたトイレ、化粧室です。

2m × 2mの1坪強のスペース。
ここに大小の便器。壁面には大きめの洗面ボウルが載る、収納付きミズメ材のカウンターを設置。

床は濃青色のテクスチャー感のある磁器質タイルを張りました。(テクスチャー感:ツヤ消しで、ランダムに凸凹があり、石材のようなテクスチャー)

これはイタリア産のタイルですが、クールなイメージでGood !

洗面ボウルは82cm幅というトイレ付設のシンクとしてはかなり大きめのサイズで、オーバーフロー付きですので、安心してしっかりと手荒い、洗面ができます。

壁面にも一部、磁器質タイルを張っています。
衛生面、メンテナンス面で重要な仕様です。

空間デザインとしても、パウダールームとまではいかずとも、快適に過ごせるよう設計デザインしたつもりです。
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新工房および住居の造作、設備(その4:洗面コーナー 他)

ずいぶんと間隔が空いてしまいましたが、〈新工房および住居の造作、設備〉を、残り数回にわたって再開します。

洗面コーナー

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今回は〈洗面コーナー〉。
一般の個人住宅ではバスルームに続く脱衣所などに置かれることの多い洗面設備ですが、
うちでは、リビングに繋がる廊下の北側の突き当たりに配されました。
比較的広い空間ですし、窓からの光もあり、明るく開放的なコーナーになりました。

これは設計士、カーポス工作所の森岡さんのプランによるもので、私としても気に入っているレイアウトです。

開放的な洗面コーナー

この南北方向に配された長い廊下ですが、双方の窓を開け放てば、ここを直線的に風が抜け、リビングを換気させる効果を持ちます。

洗面コーナーはその端っこ。トイレの壁面に設備されています。
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苦い話(框組の飾り棚)

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前回の仏壇のポストへのコメントで、繊維方向と直交、という話がありました。
とても大事なところですので、別稿を上げ、畏れながら、注意を喚起しておきたいと思います。

「注意を喚起」などと、やや大げさな物言いになりましたが、これにはある苦々しい思いがあるからなのですよ。

既に、その作者は物故者ですが、亡くなったとはいえ名誉は遺りますので、ここではあえてIDは特定せず、かつ詳細に分け入ると、より辛くなりますので事実のみをザックリと書きます。

昔のことになりますが、世話になっていたギャラリーの企画で、ある著名な木工作家の個展において栃の飾り棚が買い求められ、これが数年後にトラブルを起こした。

棚板がパックリと割れたのです。
それもそのはず、棚物の框組の帆立の柱、および横桟に無垢の棚板が枘で納まり、ボンドで固められていたのです。

わずかに数年で棚板の収縮が起こり、帆立側で完全に動きを止められていたため、動くに動けず、最後には破断してしまったのでしょう。
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