牧師からの依頼で教会の講壇を制作しました。
この種の聖なるものを制作する機会は決して多くは無く、また宗派などによる伝統であったり、決まり事などもあるでしょうから、どこまでオリジナルな意匠が可能なのかは難しいところで、いくつかの設計案を提示させていただいた結果、このフォルムになりました。
教会からも牧師からも大変喜んでいただき、苦労しただけに報われた思いも強く、1つのエポックになるものでした。
駆体は凸型の断面を持ち、上部のテーブルトップの部分は〈〉の形に傾斜させた枠が特徴的です。
この凸部分に合わせ、台輪もやや様式的に、少しデコラティヴに構成しています。
材種はご覧の通りマホガニーです。
依頼主の牧師は私がホンジョラスの真正マホガニーを在庫してることを良く知る方で、在庫する限りあるマホガニーの中から、最上品をふんだんに用いたました。
いずれも矧ぎ無しの1枚板で構成しています。
この色調ですが、色の名称にもなっているように見事な赤銅色のマホガニー色を醸していますが、これは真正マホガニーの生地にそのまま透明なオイルを塗布しただけでのものです。
いわゆるマホガニーと称して市場に出回ってるそのほとんどはマホガニーに偽装されたものが多く、色もこのようにはならず、したがって生地着色させ、この色調に似せているわけです。
凸型の駆体、および上部の枠も、これらは全て留接合です。
そのことですっきりと端正な趣が醸され、聖なる場にふさわしい落ち着き、荘厳さが出ています。
聖書を置くための書見台も同じくマホガニーで制作しましたが、盤面はマホガニーの枠にローズウッド柾目の厚突きを展開張りしたものを落とし込み、雅味を持たせました。
渋いコントラストが醸され、独特の雰囲気が出ています。
書見台を支える傾斜状の左右の脚部は、それぞれ竣工年と教会のイニシャルを透かし彫りしています。
寸法 | 700w 530d 1,120h |
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材種 | 真正マホガニー |
仕上げ | オイルフィニッシュ |
価格 |