ディテール 脚部+甲板接合部(送り寄せ蟻)
端正で美しい座卓です。
実はこれは2008年、東北のギャラリーを介し、個人の顧客から受注、制作したものだったのですが、
2022年にテーブルトップの再塗装を依頼され、工房に戻ってきたものでした。
制作時は写真撮影を行っていなかったため、あらためて撮影、保存したデータです。
制作から14年経過しますので、甲板部分は改めて削り直しの作業を含め、再塗装が必要になるかと覚悟していたものの…、驚きました。
確かに経年使用による甲板部分の風合いの劣化などは観られたものの、850mm幅の甲板の反りも全く無く、脚部に至っては、再塗装も不要なほどに往時の状況を留めるものがありました。
無垢材である以上、反りは避けがたいものがあるわけですが、脚部ディテールをご覧いただければお判りのように、〈吸い付き寄せ蟻〉という手法で、甲板を緊結していますので、長期に渡る使用にもかかわらず、反りは起こっていなかったようです。
加え、経年使用による甲板の痩せ(自然有機物であることで、大気に曝されることから少しづつ縮んでいく)も、この〈吸い付き寄せ蟻〉の内部で吸収され、外部への影響は与えてこなかったということです。
無垢材を用い、伝統的木工技法を投下し、丁寧な制作による木工家具がいかに耐久性が高く、高品質な価値を長期に留めるかの証しのような再塗装の依頼でした。
もちろん、この顧客のモノへの接し方、愛情を注ぎ、使い続けて来られたことゆえのものですので、あらためて感謝せねばいけませんし、また作者冥利に尽きる一件でした。
寸法 | 1.300w 800d 350h |
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材種 | ミズナラ |
仕上げ | オイルフィニッシュ |
価格 |