松坂屋 展示会場でのこと
隣の画廊から流れてきたご婦人がこのテーブルの前で足を止め、つぶやいた。
「‥‥ これ、120ぐらいでしょ」
どうして分かったのか、甲板の直径をほぼずばり当てた。
実際は1,250mmであるが、誤差の範囲。
先を急いでいる風でもあったので、立ち話のまま続ける。
「うちにも同じ寸法のものがあって、6人が食事を取っているのよ。
カリモクだったと思うわ。昔のことではっきりしないけど。
丸は良いのよ。主婦としても皆の顔が見えて体調なんかも分かるしね‥‥」
道理でずばりと当ててくれたわけだ。
毎日そのテーブルで食事を摂り、お茶を楽しみながらの談話、新聞を読み、アイロンがけをする。‥‥ その住まいの中核的な調度品との濃密な関係性が身体にしみこんでいるのだろう。
‥‥住まいにおける家具とはそういうものだ。
とりわけ食卓となると家族が日常的に集う“場”というものを与えてくれる、というわけだ。