工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

年の瀬に その2


2011年も数時間で終わりを告げ、間もなく新年がスタートする。

思い起こせば様々な事柄が走馬燈のように蘇る。
今年はいろんなことがあった。
いろんな人と出会い、語り、共に働き、共に活動し、ともに笑った。

木工活動においても、新たな木工家との出会いと協働作業もあったし、小海町高原美術館を舞台にした活動も楽しいものだったし、新たな顧客との出会いも創造性を刺激させるものだった。

そしてそれまでにない領域での活動も特徴的なことだった。
3.11から旬日後、騒然たる雰囲気と思考停止の闇をぶち破り、払暁を探すために、他の二人の仲間とともに石巻へと旅立ったのは、自分自身“想定外”の行動だった。

恐らくは多くのボランティアに起った若者、あるいはボクのような前期高齢者も同じ思いだったに違いない。澎湃たる人々が北へ、北へ、と“想定外”の行動に出たのだった。

夥しい命が流され、夥しい瓦礫の山が積み上げられ、夥しい人々の人生がゴロッと転がった。
ボクの人生も、あの震災による震度以上に大きく揺り動かされ、真に大切なモノを掴み取るための日々を送ろうと決したのが3.11だった。
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年の瀬に


午後、週末恒例の買い出しに街に出た。
風は無く、外は12℃と暖かい。

マーケットは通常モードから年越し特別モードへと品揃えが代わり、おせちかと思われる大きな風呂敷包みを抱えた客、バスケット一杯に商品を放り込む客、いずれも顔はほころび、いそいそと正月を迎えるハレのモードである。

今年もこうして穏やかに年も暮れ、靜かに新年を迎えることだろう。
巷間では2011年も何事も無く例年と同じような年の瀬を迎えているかのように映る。

ただしかし、そうでは無い人が数10万、数100万人という単位でいるというのも、この年の瀬の特徴であることは広く共有されていることだろう。
他でも無い、東日本大震災による被災者らが迎えるはじめての年の瀬でもあるのだ。

両親を亡くした子供たちが200人、片親を亡くした子どもらを加えれば1.000人を超えるということだが、華やかなハレの舞台から一人取り残されたように、寒空に光り輝く星を見上げ、親の姿を追い求める姿を想起することも必要なことだろう。

この子らが迎える年の瀬と新年が、少しでも安寧で希望が見えるものであることを願うばかりだ。
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仕事納めの1日・みなさま、お疲れさまでした

うちの仕事納めは、終日機械の整備、メンテンナンスで追われる。

“追われる”が、“終われない”ことさえある。
ま、しかし今年は、終日“追われ”、何とか終えることにした。

自動一面鉋盤は、まずはローラーにこびり付いたダスト、ボンドの残滓と思われる樹脂分とサビ、これらを真鍮ブラシでゴシゴシと削ぎ落とす。
ついで、様々な駆動部の劣化した油をシンナーで洗浄し、その後注油。
メインのスピンドル部には高速回転対応の油を給油。
それらが一通り終えたらば、刃物の交換。

うちの自動一面鉋盤は桑原製ということですこぶる調子の良い機種ではあるが、このところ送り機構に若干の問題が生じつつあったのも、今日のメンテナンスで正常に戻った。
プレッシャーバーの位置調整での修復だ。

機械屋に言わせれば、定盤がへたってくると送りが悪くなる、などとメンテのポイントを指摘するのだが、実は定盤の劣化ではなく、こうした調整で修復できたのだが、この自動一面鉋盤という機械ほど、調整一つでどのようにもなるということは知っておいた方が良い。

以前は二流メーカーのものを使っていて、それはそれは調整のし甲斐があったのだったが、この桑原はそうした“愉楽”を奪ってしまった。
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長野県技専木工科OB、OGの皆さまへ(お願い)

長野県技術専門校(= いわゆる訓練校・松本、上松、伊那、各校)木工科OB、OGの方々へのお知らせがあります。
(下の“More”をクリックしてご覧ください)
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柳宗理さん死去を悼む

今朝の新聞の訃報で知った。
96歳という高齢。
私が氏にお会いしたのは、1997年OZONEでの『柳宗理展ー三角スツールからの展開』レセプション会場でのこと。
二言三言お話ししただけのことだったが、寡黙で静かな佇まいが印象的だった。

今さらボクが紹介するまでもないほどに、日本のプロダクトデザインの黎明期から、今に至るまで時代の先端を駆け抜けてきた、デザイン界の時代の寵児だった。

家具の分野では、あまりにも著名なバタフライチェアはもとより(ルーブル、MoMAのパーマネントコレクション)、晩年もBC工房、鈴木氏が仕掛けた「楽椅子、楽座」プロジェクトに参加するなど旺盛な創作力は見事なものだった(上述のOZONE展は、そうした流れ)。
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Merry Christmas !

全ての子らに
Merry Christmas !

今年の年の瀬ほど、子供たちの安寧と、幸せを願うことはかつて無かったと思う。
切実にそう思う。

例年であれば、戦火の下、生存そのものが危うい環境で暮らすパレスチナの子供たち、あるいはアフリカ諸国の貧しい人々の子ら、そして餓死寸前の子らも多いと言われる、北朝鮮の子供たち、
彼らに一片のパンとスプーン1杯のスープを ! と、サンタさんに願い立てるのだったが、2011年は、大きく様相が変わっている。

この16日、「ふくしま集団疎開裁判」は福島地裁郡山支部(清水響裁判長)により「却下」されてしまった。

福島での「福島除染・回復プロジェクト、実証実験」活動の際にも、現地の方にお聞きしたのだったが、福島地裁ではなくあえて郡山支部へ提訴した理由の1つには、かろうじて郡山の裁判官に望みを託したい、とのことだったようで(福島地裁は期待できる判事がいないだろう、という)、その淡い期待も裏切られてしまった。

体内外の放射線被曝は子どもらに晩発性の癌をはじめとした、様々な疾病、障害をもたらすと言われている中、お母さんをはじめとし、多くの大人達が奔走して自主的な疎開、移住へと踏みきっていたが、それら子どもらへの喫緊の健康被害への必至の対応を、いっさい保護に値しないとばかりに切って捨る日本司法の荒廃ぶりは、言葉を失う。

子どもの未来をこうした粗暴な司法判断で封じてしまうようでは、この国の未来も危うい。
来年度からは、民主党による政権交代の目玉の1つでもあった、子ども手当が無くなる。

今、日本の子供の未来が危うい。

お隣の国から機械探し

電話ベルが鳴り、液晶モニタには“82”から始まる11桁の電話番号が表示されたのでちょっと驚く。
国識別番号が付加された相手先はお隣の韓国。

ハングルはさっぱりなので緊張するが、相手は日本語端麗な女性の声で安心する。
というより、まんま日本人だった。

何かのセールスか、あるいは家具を欲しいという客なのか?

残念ながらいずれでもなかった。
桑原の600mm自動一面鉋盤のことを知りたいのだという。
ある建築現場で、電話主の会社の社長が興味を示し、入手方を知りたいとのこと。
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ミュージックスタンド 更新と課題


ミュージックスタンド、いわゆる譜面台。
既に1つのモデルが作られていたが、これを更新した。

基本的なデザインに大きな違いは無い。
以前、メジャーなオーケストラの常任指揮者をしているN氏宅の食卓セットなどを制作させていただいたのだったが、この指揮者にミュージックスタンドの使い勝手などのアドバイスをもらったところ、いくつかの問題を指摘された。

このNさんからの指摘というわけではなく、実はそのご夫人からのものだった。
彼女はバイオリン奏者。

彼女からの指摘は、曲の練習をする場合、譜面に書き込みをすることも多く、このデザインでは背面が格子状であるために、それができない。

さらには、ペンホルダーが欲しい。
もっと言えば、それは弓を置くトレーぐらいの大きさであればなお良い。
とのこと。

なるほど、いずれの指摘も的を射るもので、
そうしたバージョンを作ることが必要だと感じさせられていた。
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映画『ウィンターズ・ボーン』

忙中閑あり、などと言い訳することもないが、見逃せないものがあれば、仕事ほっぽらかしても出掛けていく。
映画『ウィンターズ・ボーン』(原題:Winter’s Bone)を観る。

隣がそのポスター(アメリカ版)だが、この色調のように、その舞台は鉛色に塗りつぶれされた荒涼としたアメリカ中西部のオザークと言われる高原。

農耕で生きていくのはさぞ難しいだろうと、素人目にも判るほどの困難な地勢。

冷ややかな空気に支配され、ドラマもまた緊張感あふれるものだった。


ボクの感想を一言で言い表せば、アメリカ国土の奥底で、開拓時代を今に生きているルーツたちの物語を垣間見た、といった感じか。
(アメリカ国土の奥底とは、言い換えれば、いかに時代が代わろうが、古層がいまに息づいているアメリカの心臓部とも言える場所なのだろう)
エンターティメント華やかなハリウッド映画とは対極、日本ではほとんど紹介されることの無いアメリアカ社会の闇を描いて実に秀逸なものだった。

監督デブラ・グラニク

監督デブラ・グラニク

また一方、この映画で描き出される特徴として、男たちの頼りなさとは逆に、信頼に足る女たちのたくましさは、女性監督デブラ・グラニクのメガフォンによるものだから、と言ってしまうのは容易だが、それだけではないだろう。女はこうした過酷な世界においてなおたくましいのである。
主役、リーを演じたジェニファー・ローレンスの強さは気高くもあり、聖少女のごとくに印象的なものだった。

インディペンデンス映画のサポートプロジェクトとして有名な、2010年サンダンス映画祭で初公開され、ドラマ部門のグランプリを受賞。
第83回アカデミー賞では作品賞、脚色賞(デブラ・グラニク)、主演女優賞(ジェニファー・ローレンス)、助演男優賞( ジェニファー・ローレンス)にノミネート。
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〈放射能除染・回復プロジェクト〉活動の様子、明日未明TV放映



このBlogで取り上げた〈放射能除染・回復プロジェクト〉活動の様子がNHK BS1で明日未明に放映されます。
ぜひご覧になってください。

取材は「NHK 国際放送局ニュース制作部」でして、海外向けのニュース番組。
したがって放送は皆さん得意の英語版です。(私はからっきし‥‥‥)

  • NHK BS1 12月18日 am4:00 – 4:28(つまり本日深夜)
  • 番組名:[ JAPAN 7DAYS ]
  • 内 容:1週間の海外向けニュース番組
    この中で〈放射能除染・回復プロジェクト〉が行った12月9,10,11日の福島市、二本松市での活動が放映されます。(ニュース枠の中のわずかに数分間でしょうから、見逃さないようにしないといけませんね)
現場の過酷な状況、そして一方では「事故収束」宣言。  
この気の遠くなるほどの乖離は、いったい何なんだ (怒 !!)