工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

iPhoneのマイナンバーカードの朗報と、マイナ免許証の憂鬱(4)

マイナ免許証

さて、最後になってしまいましたが、マイナ免許証についてです。

マイナ免許証 ポスター(警察庁)
マイナ免許証 ポスター(警察庁)

多くの老若男女の方々が持つ運転免許証ですが、2025年3月24日から、マイナンバーカードを運転免許証として利用できるようになったことはご存じの通りかと思います。

このマイナ免許証については、6月末時点(運用開始から3ヶ月)で約86万人以上が取得しているとのことです(MotorFan「マイナ免許証の運用開始から約半年で保有者数は約86万人に! 普及の背景と今後の課題」)。
この数値の評価としては、多いとも、まだそれだけなのかなとも取れ…、難しいところですね。

マイナ保険証の方は、紙ベース保険証の発行停止(資格確認書という回避措置があるとはいえ)の施策ゆえ、かなり強制的に移行しつつある(登録率:81.2%)のと較べ、マイナ免許証の方は任意であるところから、「意識高い系」に留まるのも必然とも言えます。

私個人としては、iPhoneのマイナ保険証のようにスマホに搭載できるのであればいそいそといち早く登録手続きするでしょうが、物理カードとしてのマイナンバーカードに紐付けされただけでは、あえて登録しようとは考えないでしょうね。
紛失のリスクを抱えたまま、日々携行する蛮勇など、私には考えられません。

しかしまぁ、、ここではそんなネガティヴシンキングは一端 横におき、冷静に考えていくことにしましょう。

マイナ免許証のメリット

  • マイナンバーカードと運転免許証を別々に持ち歩く必要が無い
  • 住所・氏名の変更手続がワンストップ化され、市町村に届け出れば警察への変更届出が不要となる
  • 更新時講習をオンラインで受講できる(優良運転者講習・一般運転者講習)
  • 居住都道府県外の公安委員会の窓口で行う免許証の更新手続(経由地更新)が迅速化され、経由地更新の申請ができる期間が延長される
  • 更新時の手数料が免許証と比べて安い

マイナ免許証のデメリット

  • マイナ免許証には運転免許証としての情報(免許番号や有効期限など)が券面に記載されておらず、ICチップ経由でしか確認できない
  • カードリーダーでの確認には暗証番号の入力が求められ、忘れたり、デジタル機器に不慣れな高齢者にはハードルが高い。
  • 紛失リスク(マイナンバーカードとマイナ免許証を同時に失効することになる)
  • 紛失時には再発行にかなりの日数を要する(通常の運転免許証では即日再発行が可能)
  • 個人情報の漏洩(ICチップに様々な情報が集約されていますので、セキュリティ対策が不十分だと漏洩による被害は甚大)

と言ったところでしょうか。

さて、私は本件タイトル、最初の記事の冒頭に書いた通り、この度、運転免許証の更新を機に、この〈マイナ免許証〉を取得しています。

「紛失のリスクを抱えたまま、日々携行する蛮勇など、私には考えられい」とした前述の謂いと矛盾するかもしれませんが、
私は、このマイナ免許証とともに、以前からの運転免許証も発行してもらっています(いずれか 一方の他、両方を保有することもできるのです)。
次の3つの選択肢から任意に選ぶことができるのです。

  • 運転免許証の免許情報が記録されたマイナンバーカード、
    いわゆるマイナ免許証のみを保有する
  • マイナ免許証と運転免許証の双方を保有する
  • 従来の運転免許証のみを保有する
※ 自動車等の運転の際は、免許証又はマイナ免許証のいずれかを携帯する必要

こうしてマイナ免許証を取得したとはいえ、日々携行しているのは以前からの運転免許証の方で、マイナ免許証のデータが保存されたマイナンバーカードは自宅の然るべきところに置かれた状態です。

これは、やがて〈iPhoneのマイナ免許証〉が実効認可されることになった暁、〈マイナ免許証〉が必須になるだろうと考え、前もって取得、登録しておいたというところです。

なお、マイナ免許証を登録済みの私の〈iPhoneのマイナカード〉には、右図のように、既に〈運転免許〉というメニュー項目があり、これを開くと運転免許証の券面表記を確認することができます。(下図がそれ)


マイナ免許証に記録される情報は以下の5つ

  • マイナ免許証の番号
  • 免許の年月日及びマイナ免許証の有効期間の末日
  • 免許の種類
  • 免許の条件に係る事項
  • 顔写真

これらがマイナ免許証のICチップに記録されており、目視で確認できます、

マイナ免許証・券面表記
マイナ免許証・券面表記

上画像は、私のiPhoneでの、マイナ免許証の券面表記のスクショです。(左から始まり、右が下にスクロールし、表れる各項目)

この券面表記で面白いのは、本籍と顔写真はマスキングされた状態で表記され、必要に応じ、タップすることで、正しいデータが表れるものとなっています。

iPhoneのマイナカードは本人確認の方法として法的にも認められたもので、この確認には、警察など事業者による読取機器が必要となります。

なお、こうした読み取り機器を整備していない、例えばイベント会場、美術館などでの年齢確認の場合、このマイナ免許証の券面表記を視てもらう事で確認が取れますので、有効性も高いと思われるのですが、実際はどうなのでしょうね。
機会があれば、トライしてみたいですね。

運転免許証としては認められない、マイナ免許証

しかし、この状態であっても、運転免許証としては認められないのです。

現行の運用ですと、運転する場合は旧来の運転免許証を携行するか、マイナ免許証と一体化されたマイナカードを携行するか、いずれかが必要です。

マイナ免許証を取得したものの、私のようなマイナカードの紛失を怖れる小心者はマイナカードを持ち出すことを嫌うことから、マイナ免許証の取得も、ほぼ実効性が伴わないということです。

現在、デジタル庁は〈マイナカード〉と連携した〈マイナ免許証〉をiPhoneからも利用できるよう警察庁に働きかけ、鋭意協議しているとのことですが、その見通し、ロードマップさえまったく分からない状況。
どんな事情があるにせよ、1日も早い運用が望まれます。

以下は6月6日の、デジタル庁・平大臣の記者会見でマイナンバーカードのiPhoneへの搭載の他。マイナ保険証、マイナ免許証などに言及した会見になります。
マイナ免許証については、10:18あたりからです。

デジタル庁、平大臣の会見(2025.06.06)
話の途中ですが、1つ余談を。
私のような高齢者には、多くの施設で〈シニア料金〉とかいうカテゴリーがあり、割安で利用できることも多いのですが、これって、何かヘンだと思いませんか。

確かに、老いぼれた高齢者への社会からの慈しみは美しい制度なのかも知れませんが、例え私のようにビンボー生活をしているとは言え、若き非正規労働者らの未来無き暮らしぶりに較べれば、多少はマシであって、施(ほどこ)しを受ける側は、むしろ彼らの方じゃ無いかとさえ思うところがあるのよね。

彼らにこそ、割安な芸術鑑賞、映画鑑賞などの機会を与えるべきと思うよ。
そろそろ考え直した方が良いのじゃ無い?
年寄りを甘やかすな! 笑

マイナ免許証の登録手続き

このマイナ免許証の登録手続きですが、免許更新時に出向いた地元の警察署の窓口などで行うことになります。

私はこの際、マイナカード発行時に登録した、6〜12桁の暗証番号を失念していて、いったん、自宅に舞い戻り、この暗証番号を記憶に留め、あらためて警察署に出向き登録を進めるという、やや恥ずかしい失態をしてしまったのですが(単なるボケか)、警察署の窓口は手慣れたもので、思いの外スムースに手続きを終えることができたのでした。

なお、実はこうした警察署での発行手続きで登録が完結するものではなく、数日後(警察署、窓口の説明によれば)、iPhoneからマイナンバーのポータルサイトにアクセスし、その環境から、いくつかの認証を取る手続きが残っていて、最初は手続きの途上、エラーとなり、警察庁の担当窓口からのサゼスチョンを受け、エラーの解決後はスムースに登録手続きを終えることができたのでした。
(エラーですが、意外にも、ブラウザがプライベートモードになっていたこととか、キャッシュが阻害していたのでした)

インターネット上にも、かなり詳細な登録手続きのプロセスを案内するデジタル庁のサイトもありますので落ち着いてアクセスすれば問題無いでしょう。

私が参考にしたのはデジタル庁から提供されている〈マイナポータルによる運転免許関連サービスの利用マニュアル〉というPDF書類です。

マイナ免許証の保存領域に関して

なお、少し専門的な話しになり恐縮ですが、マイナンバーカードと一体化されるマイナ免許証の保存について少し調べてみました。

以下はマイナカードの発行元、総務省のWebサイトで公開されている「マイナンバーカードの3つの利用箇所について」と題された図です。

マイナンバーカード 3つの利用個所について (総務省)
マイナンバーカード 3つの利用個所について (総務省)

〈マイナ免許証〉はこの IC チップにある空き領域に、警察庁が用意する「免許証カード AP」というアプリケーションとして登録されるようです。(図には〈マイナ免許証〉の記載がありませんが、総務省の作成時にマイナ免許証は想定されていなかったのかも知れません)

私も経験したところですが、もよりの警察署での〈マイナ免許証〉の登録手続きでは、専用機器からマイナカード、ICチップへの書き込みが行われていました。

なお、ここで問題になるのが、マイナ保険証も同じ事ですが、マイナカードそれ自体では、マイナ免許証の券面情報は視ることができません

しかし、マイナ免許証が登録済みのスマホのマイナカードには、右図のように〈健康保険証〉などとともに、〈運転免許〉という項目があり、ここをタップすることで、免許情報の券面が表記されます。

マイナ免許証の読み取り用のアプリも提供されてるようですが、これはiPhoneのマイナカードがある環境下では無用となりますね。

なお、〈マイナ保険証〉と〈マイナ免許証〉はマイナカード ICチップでの実装のされ方や、運用の方法は異なるということも知っておきたいところです。

〈マイナ保険証〉の場合は、前回述べた通り、〈健康保険証〉の情報そのものが記録されているのではなく、あくまでもオンラインの先にある「国保中央会」に保存されている〈資格確認システム〉のデータを参照しに行っているということになります。
その確認のため、マイナンバーカード内の電子証明書の鍵を使っているというイメージです。

対し、〈マイナ免許証〉の方は、警察庁の管理下で、券面情報がマイナカード ICチップ内の空き領域のAP内に格納されているということになります。

したがって、例えば、キャリアの電波も届かない山中の場合、たぶん〈マイナ保険証〉は使えませんが、〈マイナ免許証〉の方は、警察官が保持するであろう、読み取り機器があれば、問題無く券面情報は読むことができるということです。
どうせ電波も届かない山中だからと言って、無謀な運転はダメでっせ。

レンタカー貸与手続きのケース

免許情報の確認が必須のレンタカー貸与の場合などは、マイナ免許証の読み取り用のアプリを用いるようですが〈セキュリティーコード〉の入力が求められるなど、煩雑な手続きを伴うようで、困りますよね。

ただ、「マイナンバーカードから運転免許情報が読み取れない場合は、マイナポータルから運転免許情報を確認させていただくことでレンタカーをご利用いただけます」との記載もあるところから、
前述のように、iPhoneからマイナポータルへとアクセスし、そこから読み取り可能な免許情報さえ呼び出されば構わないとのことですので、iPhoneにマイナカードのアプリさえあれば、問題無いとの理解で構わないようです。(ニッポンレンタカー

また、年齢確認などが求められるケースで、しかしその事業者がスマホのマイナカードの読み取り機器(iPhoneの「対面確認アプリ」)を備えていない場合にあっても、このスマホのマイナ免許証の免許情報の表記で確認を取っていただきたいところですが、
しかし事業者の認識がそこまで至らなければ、無理かも知れないですね。
結局は、物理カードの「免許証」の提示が求められることになります。 やれやれ・・・


今回のリポートは以上になりますが、ともかくも、iPhoneマイナカードのマイナ免許証が実質的に運転免許証として使えるよう、警察庁には鋭意、努力していただきたいものです。

さて、これで当初、考えていた、iPhoneのマイナカードと、マイナ保険証、マイナ免許証の記事は一端 終えたいと思います。

なお、今回の記事をまとめる過程でいろいろ学習させられたところが多く、マイナカードとスマホへの搭載を巡るいろいろな課題を認識させられもしたところから、その中から大事な事柄だけでも補論として記事にしたいと考えています。

次回をお楽しみに 〜


余談を一つ。

先週末、国勢調査の書類が届けられました。
5年に一度の、総務省統計局からの依頼ですね。

今回の調査からインターネットで回答できることとなり、そのようにしました。
10分も掛からずに書き終えたところです。


書類Top頁にあるQRコードをiPhone カメラで読み込み、開いたブラウザのURLをコピーし、
これをiMacに転送。この27″モニターのiMacから快適に記入、送信するというスタイル。

インターネット送受がなぜ良いかと言えば、記述の曖昧さが無く、正しく書き込めること。
瞬時に総務省統計局に送信され、国勢調査関係者の手間やコストを省くこともできますからね。

加え、私はこのような重要な手続きをスマホで完結させるというのは無理。
視認性が高く、記述ミス、読み込みエラーの少ない、大きなモニターで行うに限ります。

カネの動きが絡むオンライン買い物を始め、多くの人がスマホ決済しているようですが、
私は怖くて、とてもできません。
スマホはスマホで、スマホならではの利便性は高く買っていますが、カネなど信用が絡むやり取りはMac、PCで行うのがよろしいかと思います。

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