扁平丸太、期待以上の製材結果
件のふらふら右往左往のミズナラ、今朝製材に。
懸念されたヤケ(褐色腐朽菌)の影響もさほど現れず、綺麗な板が獲れた。
画像は製材後のトラック積載から。
最上部は板目、丸っ挽き。3尺幅近い2寸板を4枚。
残りはは柾目で34〜45mm。
これだけのボリュームで丸太1本分。ワォ、デカッ。
板の上になんか変なものが載っかってるって?
帰路、良い製材ができたことのお祝いとして買い求めた扁平(正確には三角形なんだけれど)ボトルのスコッチと記念撮影。
重量は変わらずとも、製材、桟積みしたことで、安定した走行で戻ってこられた。
とは言っても急ブレーキ、急ハンドル厳禁じゃ。
昨日、所用で出掛けた名古屋で原木の見立てには定評があり、普段から世話になっている材木屋に撮影画像を示しながら、この扁平の丸太をどう挽くかアドバイズをもらっていたので、それに従ったまでだが、挽いた状態では期待以上の良質な板が獲れた。
あえて欠陥を挙げれば、端節(ハブシ=ほんの小さな生節)が数個、元に若干の入り皮があるが、これも数10cmで止まっている。
懸念されたヤケは気になるほどではなかった。
扁平のところに縄目(交錯木理などの複雑に絡んだ木目)が認められるのは仕方がない。
製材所の親方も、ほとんど欠陥がないじゃん。すんばらしい、ですって。
半分は板目に(上の材木屋に言わせれば、楢を板目だなんてとんでもない、という頑なな見識を持つが、あえて甲板用に数枚の板を獲る)
扁平の方の残り半分は全て柾目に。
のはずなのだが、半分まではなかなか綺麗な虎斑が現れてくれなかった。
つまり扁平であることで、成長過程は複雑。その結果、いわゆる縄目(木目が絡み、独特の杢を醸す)が醸す。
この縄目、心配ではある。
楢の怖さは乾燥過程での変形であり、縄目では顕著に影響がでると考えておいた方が良いだろう。
しかし、道産のミズナラに近い、強いピンク色をした目の詰んだ板が獲れたことは確かで、3〜5年後の乾燥が待ち遠しい。
材木屋のMさん曰く、標高1,400mで90cmでしょ、これは400年はいっている、との見立て。
確かに年輪を数えて見れば10本でその幅約12mmほどだから、300年は越えているのかも知れない。
今夜は扁平ボトル「Grant`s Family Reserve」の栓を開け、じっくりと製材、桟積みの疲れを癒そう(家人曰く、そんな強い酒じゃ、かえって疲れるでしょ、と言うが、酒の嗜みとはそういうものでもないからね)。
ストレート、あるいはロックで味わえる、すばらしいスコッチだ。
今日は途中から降雨。明日あらためてランバーメイト(木口割れ止め樹脂)を塗り、土場に設営だ。
* Grant`s Family
nam
2009-6-3(水) 23:32
ニッカのフロム・ザ・バレル お買い得で、おいしかった記憶があります
(なかなか見かけないかもしれませんが)
グランツ、調べてみるとそれ以上にお買い得ですね、
一度試してみようと思います、
ニッカの余市は飲まれましたか?ちょっと気になるお酒です
桟積みお疲れまさでした
artisan
2009-6-4(木) 00:10
namさん、ですね。コメント感謝であります。
ボクは若い頃はもっぱらニッカ党でした(というよりも、アンチサントリー。現在国産ビールはもっぱらモルツです。ヘタレで済まないと思う)
シングルカスクウイスキーは、未だテイスティングしていません。
余市も、シングルカスクではなく、シングルモルトでは頂きましたよ。
これも良い酒です。竹鶴氏に乾盃 !!
最近の若い人たちはウィスキーは好まないようですね。
Jazzクラブに入り浸って、ウィスキー、ちびちび飲るなんてのは遠い彼方の話しですか。
namさん、また今度お手合わせ願います。
acanthogobius
2009-6-4(木) 09:12
地産地消できそうで、良かったです。
うまく乾燥できれば利益率の向上にも寄与してくれる
ことでしょう。
ところで、少し教えてください。
「楢を板目だなんてとんでもない」というのは、やはり
乾燥時の割れや変形を心配してのことでしょうか?
それと、今回の柾目は所謂、追い柾と見てよろしいので
しょうか?
みかん割りによる柾目にはなっていないように見えるので。
artisan
2009-6-4(木) 13:49
acanthogobiusさん、こんにちは。
ミズナラ丸太製材も経験されたでしょうかね。
生木が発するあの甘酸っぱい香りは独特です。
楢の板目製材は御法度?
いろいろな考え方がありますね。
名古屋での製材方法の検討の席にはアメリカ人の木工家もいましたが、彼は丸挽きを主張。
一方材木屋の主張も、楢固有の性質を考えれば十分根拠のあるものです。
大きく反張するリスクがありますし、また中心部に内部亀裂が入るリスクも高いです。
ただ今回はかなりの樹齢もあり、2寸という厚みでの製材ですので、これらのリスクはかなりの程度に回避できるかなという判断です。
柾目取りも仰るように正確にはミカン割りしたわけではなく追い柾〜本柾、と様々です。
今回は縄目が明らかでしたので、例えミカン割りしても本柾が取れる期待はできませんでしたからね。
nam
2009-6-4(木) 23:03
私もニッカが好きですね、余市、グランツ、フロム・ザ・バレル
と飲みたいものが3本になってしましました(笑)
お酒は好きですが、なめるようにチビチビ飲むヘタレです
そんなのですので、まずは軽くお手合わせ来年名古屋で出来ればいいですね
よろしくお願いいたします
mu-
2009-6-5(金) 00:29
artisan さん こんばんは
広葉樹の製材、桟積をするのに適した時期は
いつごろがいいのでしょうか?
今後自分も丸太を購入してみようと考えているので、
参考にさせてください。
artisan
2009-6-5(金) 07:51
mu-さん、こんにちは。
製材時期のお尋ねですか。
05/26付けのBlog記事でも触れていますが、梅雨入り前の今の時季はホントは良くありません。
まず原木の伐採には“切り旬”というものがあるということはご存じかも知れませんね。
木という植物の活動が休止する11月〜翌3月頃の期間に伐採するというのが基本です。
因みにこの丸太は昨年11月に伐採されたことを確認しています。
またお尋ねの製材時期(桟積み時期)ですが、あまり丸太の状態で放置されるのは望ましく無いと考えるのが基本です(木口割れ、あるいは干割れへの懸念)。
今回は伐採から製材までかなり間が空いたことで、木口割れ、干割れが進んでいることが懸念されましたが、ほとんど無視できる範囲でしたので安堵しています。
しかし一方、針葉樹では伐採した山中で数ヶ月放置し、“葉枯らし乾燥”という手法(水分を葉から蒸散させる)が取られていることも聞きますが様々ですね(ちょっとした流行になっているらしい)。
いずれにしましても、梅雨入り前の乾燥した大気の時季に桟積みを終わらせ、いわゆる初期乾燥を済ませてしまいたいというところでしょうか。
今日も朝から雨模様でお天気キャスターは「梅雨の予行演習」などと解説していましたが、今年の梅雨入りは少し遅れそうで、それを期待しています。
(お名前、手塚治虫ワールドからのネーミング?)
artisan
2009-6-5(金) 07:57
nam さん、酒の飲み方も人それぞれですね。スコッチなどはガブッと飲っていたのでは、Wでも一口、二口で納まってしまう分量です。
香りと味を堪能し、そして相手がいれば会話をを楽しみながらチビチビ飲るのが良いようで‥‥。
acanthogobius
2009-6-5(金) 09:11
材の乾燥の話が出たので、ひとつ教えてください。
artisanさんの木材倉庫は、屋外(土場)と屋内が
あるようですが、どのように使い分けているのでしょう?
材は自由水が抜けると収縮が始まると聞いています。
自由水が抜けるまでは土場、抜けてからは屋内でゆっくり
乾燥、というような使い分けをするのでしょうか?
artisan
2009-6-5(金) 12:31
acanthogobiusさん、なかなか難しい領域のお話しですね。
まず製材後の材木管理方法の一般論を以下に記します。
(1)天然乾燥:屋外で桟積みをし、所定の含水率まで下げる
その期間は置かれる環境、材の厚み等で様々
(2)人工乾燥:天乾後、人工乾燥を施し、目的とする含水率まで下げる
(3)シーズニング:人工乾燥を終え、桟積みの状態で大気に晒し、一定期間のシーズニングを施す
(4)倉庫保管:桟をばらし、平積み、あるいは縦積保管
言ってしまえばこんなところでしょうか。
仰るような、乾燥工程を屋外、屋内と2段階で行うということは一般的には無いでしょうね。
なお人工乾燥についてひと言。
人工乾燥のメリットは乾燥に掛かる時間を短縮するというだけではなく、外気に晒すことでの損傷を避け、所定の含水率を獲得するための合理的手法です。
また乾燥後は含水率も大気の影響から避けがたいものですが、人工乾燥を施したものはそうでないものと較べ、影響を受けにくくするということが分かっています。
なお、これは判断が分かれるところかも知れませんが、ボクがよく使うウォールナットのような濃色材は人工乾燥は注意が必要です、色褪せのリスクがあるからです。
今回のミズナラは人工乾燥をする予定で考えています。
材木の乾燥はなかなか難しいところがあり、このコメント欄ではこの程度の解説が限界ですね。
mu-
2009-6-5(金) 23:33
artisan さん
ありがとうございます。
来年の製材桟積の参考にさせていただきます。