工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

LEDは未来を拓く(続)[追記があります]

LEDの現状

LEDがノーベル物理学賞の受賞対象となったことで、製造メーカー関連株が急伸といったニュースが流れましたが、この受賞のインパクトは大きく、一段とLEDの普及は進むと思われます。

今回の受賞を機に、一般家庭や、公的施設への照明設備としてさらに普及していくことは製造現場としても大きな期待を寄せていることでしょう。

LED需要は前回お話ししたように照明の分野での省電力効果からの普及とともに、ここ5-6年は液晶ディスプレーのバックライトとしての伸びが著しかったことは、あまり一般には知られていない事かも知れません。
ただ、これらの需要が一巡した今、スマホのディスプレー用として製造システムがシフトしているようです。

ところで、ご存じかも知れませんが、国内製造のトップはこの度のノーベル物理学賞受賞者の中村修二氏が在籍し、研究していた日亜化学です。いや、国内Topであるとともに世界Topのはず。
特許権を巡る司法の場での争いをよそに、その研究結果がもたらす圧倒的な稼ぎを見れば、いかにすごい研究成果だったかが分かります。
今回の受賞にあたり、同社からのコメントは素っ気ないものでしたが、これを機に需要拡大を見込み、恐らくは巨大な設備投資に着手していくことになるでしょう。[1]

LED

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❖ 脚注
  1. 日亜化学工業のコメント「大変喜ばしいことです。とりわけ受賞理由が中村氏を含む多くの日亜化学社員と企業努力によって実現した青色LEDであることは、日亜化学にとっても誇らしいことです」(朝日新聞2014.10.08 ) []

LEDは未来を拓く

はじめに

あなたの周りには、LEDはどれほど使われているでしょうか。

住宅内ではLED電球、夜間の足下灯、玄関灯、あるいは自転車のヘッドライト、尾灯。
懐中電灯にヘッドランプ、さらにはキーホルダーにもボタン電池で駆動する小さなLED照明器具が付いているかも知れません。
最近、新車に替えられた方は、ヘッドライト、テールライトがLEDであった可能性が高いかも知れません。

さらには、大型液晶TVのバックライト、そしてPC、Macのモニターの液晶バックライトも徐々に蛍光管からLEDに切り替わりつつあります。
スマホは恐らく、ほとんどがLEDバックライトを採用しているのでは無いでしょうか。
なお、こうした液晶バックライトの場合は単にLEDの省電力性だけではなく、それまで液晶バックライトに用いられてきた蛍光管には必須の水銀使用が避けられる意味も大きいです。
また、私たち木工職人にとり欠かせない充電式の電動工具の多くには、手元照明として欠かせないLEDランプが内蔵されていることは知っての通りです。
今後開発される電動工具には必須の付属機能になることは明らかで、これが搭載されない電動工具は見向きもされなくなってしまいかねませんね。

一歩外へ出れば、交通信号も雨の日などの視界の悪い環境でも強い輝度を出せるLEDに徐々に切り替えられつつありますし、新設の街路灯にも取り入れられるなど、こうした公共空間の照明設備には積極的に導入設置されているようです。

LED

事ほど左様に、LEDは現代社会の生活の隅々にまで普及しています。
昨日スウェーデン王立科学アカデミーから発表された2014年度のノーベル物理学賞は青色発光ダイオード開発の3名の科学者、中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授天野浩・名古屋大教授赤崎勇・名城大教授に授与されました。
この3名の科学者による世界的で歴史的な貢献は、誰の目にも明かで、また実に分かりやすい受賞対象であったことは疑いようが無いですね。
スウェーデン王立科学アカデミー、2014物理学賞発表の席(公式Webサイト、動画から借用)

スウェーデン王立科学アカデミー、2014物理学賞発表の席(公式Webサイト、動画から借用)


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建築資材の「進化」と流通の激変

建築資材の進化

昨今、建築資材の進化が著しい。
恐らくは今回のような建築に直接関わることが無いかぎり、そうした変化に気づかずに過ごしていたかも知れません。

新しい様々な金属素材(例えば、当工房の壁面はガルバリウム鋼板での施工)、化成素材(メラミン樹脂の化粧板、ポリカーボネートの多様な商品化など)、建築金物(ネジから機能金物まで)等々。
あるいはまた前回触れたルナファーザなどもそうした新素材の1つとカウントできるでしょう。

こうした様々なジャンルの素材の新規展開に加え、工具などの新製品展開もめざましいものがあります。

無論、こうした進化は、実は一方では伝統的な資材の衰退という問題と対になっていることであるとか、加えて伝統的工法の担い手が消えつつあるといったことなどとも裏側で深く関わっていることについては、私たちも自覚的であらねばと考えています。

これは、合理的、省資源、コストカットで、といった方向での進化であることは当然としましても、用いられ、作られる目的の建築物本来の価値を、より高めるものであれば良いのですが、必ずしもそうとは言い切れず、チープなもの、うわべを装うだけの、美しさとは逆方向のもの、そして耐久性の劣る方向に堕してしまいかねないものもあるでしょうから、選択には注意したいところです。
選択肢が増えた分だけ、施工者側としては、商品知識とともに、その開発意図まで深く理解する識見がより高く問われるということになります。
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新工房 建具について(3)

建具、その3:展示室玄関のドア

前々回に上げた工房2階の居住スペース玄関と、同じ空間に展示室の入り口があります(画像 左手に見えるのが居住空間への玄関です)。
本来、それぞれ別のアプローチが良いわけですが、建物の構造上、やむを得ない選択でした。

ドアの構成と仕口

ここも親子での構成です。

展示室の玄関

建築内部のドアですし、展示室へのアプローチと言うことで開放的なデザインにすべく、框の外枠のみで構成し、大開口部には10tのポリカ(ポリカーボネート板)を嵌めています。

これも框材はタモです。
ただ縦框は他と同様、極東ロシア材(柾目とり)ですが、実は横框は国産のタモ材。
私自身が10年以上昔に競り落とし、製材管理してきた木材です。
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新工房 建具について(2)

建具、その2:展示室ー居住スペース、仕切りドア

建具に用いる材種について

建具に用いられる材種は様々でしょうが、国内では広葉樹ということでは、広く一般にタモ材が用いられていると思われます。
理由はいくつかあるでしょう。

建具という性格上、機能上において支障をきたさぬよう、その材種は物理的特性において反張(反ったり、捻れたり)を嫌うということから、通直性の良い素材であることを条件とします。

この条件に叶うのは、他でも無く日本の木材を代表する杉であり、ヒノキということになります。
ただ、この2種は、日本の建築分野において古来より伝統的に用いられてきた材種で、日本人の古層に深く刻印されてきた木材のアイコンのようなものです。

したがって、これらを用いる事で伝統的な日本家屋の様式にストンと納まる一方、そうした様式から脱し、モダンな様相をねらう場合、どうしても避けた方が良いという選択になります。

あるいは、この建具に要求される物理的な強度を考えた場合、杉、ヒノキのような針葉樹を避け、より堅牢である広葉樹に材を求めるという合理的な判断にもなり得るわけです。

その点、タモ材は長尺なものでもストンと真っ直ぐに成長するのが特徴で、通直な材を確保できますしすし、杉、ヒノキに較べても、より堅牢ですので、洋風の建築空間での建具には最適とされているようです。

またこれに加え、より反りを抑えるため、板目を避け、柾目の木取りとするのが良いということになります。
展示室ー居住スペース、仕切りドア
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「HeForShe」エマ・ワトソンの国連演説から

エマ・ワトソン(UN Womenサイトからいただきました)

エマ・ワトソン(UN Womenサイトからいただきました)

24歳の若いアイドルのような女優のスピーチに、まさか我が耳を奪われ、心臓をわしづかみにされようとは思いもしなかった。
去る9月20日、NY国連本部「UNウィメン」の「HeForShe」キャンペーンでの女性親善大使・エマ・ワトソン(Emma Watson)の演説のことだ。

ボクは彼女の映画の1つも観ていないので、普段の容貌、立ち居振る舞いも分からない。

しかしWeb上、あちこちに貼り付けられている画像を見る限りに於いて、まだあどけさが残る、かわいい笑顔が素敵な女優で、演説の様子を伝えるYouTubeでは、やはりどことなく緊張し、時に会場の反応を気にしているのか、ぎごちなさはあるものの、だが堂々と、格調高く、自身の言葉で「フェミニズム」の再定義とでも値するよう演説をぶったから、驚き以外の何ものでも無かった。

【翻訳者、「備忘録√y」の松本優真氏による印象的なフレーズ】

“…the more I realized that fighting for women’s rights has too often become synonymous with man-hating. If there is one thing I know for certain is that this has to stop.”
(…女性の権利を叫ぶことが、男性を敵視することとほとんど同じになってしまっているケースもあまりに多いことに気付き始めました。確かなのは、そのような流れは絶たなければならないということです。)

“Gender equality is your issue, too.”
(性差別の撤廃は、男性のみなさんの課題でもあるのです。)

“In my nervousness for this speech and in my moments of doubt, I told myself firmly: if not me, who? If not now, when?”
(このスピーチをするにあたって感じてきた緊張と迷いの中で、ずっと自分自身に堅く言い聞かせてきたことは、私でなければ一体誰が、そして今この時でなければ一体いつ声を上げるのか、ということです。)

※ ぜひ、全文に目を通していただきたい

▽Emma Watson HeForShe Speech at the United Nations | UN Women 2014

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新工房 建具について(1)

昨年来、工房を新しく設備してきたのですが、家具制作を専らとする者としても、普段あまり経験することの無い建築施工の一部を担ったり、設備什器の多くを自身でセットするなど、楽しい思いをさせてもらいました。

これらの中から、木工に関わる個所などを数回にわたり紹介していきたいと思います。

建具、その1:居住スペース、玄関ドア

建具というジャンルは、建築エレメントにおいても、その住宅のイメージ、品格、デザイン嗜好を端的に表すものとして重要な要素になります。

その中でも玄関は外部に面することから重要な建具になりますが、実は未だに旧い既製のものが使われ、着工できていない状態。妻からもその制作を急がされているものの、優先順位は必ずしも上位ではなく、少し先になりそう。

ただ工房と居住スペースが一体の我工房、居住スペースへの玄関ドアだけは引越後(?!)に最優先で制作しました。(引越は昨年末でしたが、ドアが完成するまでの数週間は、仮の合板打ち付けという侘びしさではありました)

そのドアがこちら。建物駆体の2階部分を居住スペースと展示スペースで2分し、それぞれに建具を嵌めてあり、そのうちの居住スペース側の玄関です。
玄関ドア
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急拵えのショールームを

暑い、暑い、ドシャ降りに次ぐドシャ降りと、異様と形容せねばならない気象に振り回された夏も慌ただしく過ぎ去り、いつのまにか秋も深まりつつあるようです。

昨日訪れた墓参での住職との会話も、この異常気象と、しかし今年もまた、日を違うこと無く咲き出した彼岸花の事でした。

墓には父親と兄が眠っているのですが、私は既にいずれの没年をも超え、こうして生き存えていることを墓を前にしてあらためて想い、そして感謝したものです。

そんな年齢にして、未だに木工に精を出しており、しかも工房施設を改め、リスタートさせるというある種の蛮勇をもって挑む愚か者であることを詫びたものです。

ショールームの整備

さて、この週末、遠方から来客の予定があり、初めてなのでいろいろと見せて欲しいとの要望に応えるべく、まだ十分な準備状況では無かったところ、急拵えでショールームを整理してみたのです。

この夏に機械も運び入れ、少しずつ本格稼働に持ち込み、住まいの什器などと併せ、ショールームのキャビネットなども制作してきましたので、それなりの整備は進んでいたわけですが、接客兼事務用机などは未着工の状態で、やむなく、これまで使っていた小さなスチール机が恥ずかしげに佇んでいるという状況ではあるのです(紺屋の白袴ってわけです)。
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機械の稼働へ向け

機械の搬入設置を終え、遅れていた電力供給も繋がり、とりあえずは稼働できる状態に。
続いて工具、資材などを収納するキャビネットも移設。
四半世紀にわたる使用歴がもたらした状態というものは、新しい器に似合うほど立派なものではないが、汚れを落とし、再塗装することで再び鎮座してもらうことに。

それでも不足する収納力を補うため、いくつかは新たに作ることになるが、それらは仕事の合間を縫ってのものとなり、しばらくは段ボール状態だ。

ところで、今回の工房起ち上げにあたり、新たに数種の機械を増強した。
1つは〈クロスカットソー〉というもの。
要するに横切りのことだが、馬鹿デカイ丸鋸で荒木を断ち切るというもの。
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機械のお引っ越し

梅雨の晴れ間を縫って

梅雨の晴れ間の暑い一日、木工機械の引越作業に精を出す。
2tトラック+1tトラックをそれぞれ2便。明日、ほぼ同量の物量で終える予定だ。
起業時はこの1/3ほどの機械設備でスタートしたと記憶しているので、その増量は1/4世紀という時間の蓄積を表す指標であるかも知れない。

これまでは機械室は全体の半分、わずかに20坪ほどでしかなかったので、これらの機械は所狭しと設置され、作業環境は決して良いものでは無かった。
今後はそれもわずかに改善され、少しは清々とした作業環境になるはずだ。

またこれまでは手作業場こそフローリングの床にしていたものの、機械室はコンクリートのままだった。
新たな工房は機械室も床を張ったので、冬季の寒さへの対策も万全。
これについては経費との関わりで少し悩んだのだが、後悔しても機械設置後はどうしようもないので、やっておいて良かった。
大工の棟梁と二人で張り上げ、いささか腰を痛めたのだったが、その苦労は十分に報われるはず。

また床を張ることで、機械への電源供給も床下配線が可能となり、電源ケーブルが隠れ、すっきりとした環境になった(Workbench=作業台に付設したコンセントへの100v供給も同様だ)。
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