工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

逞しい仲間たち


活動拠点を、より深刻な場所へとフォーカスしようにも、現地との連絡が取れない。
県の災害対策センター、あるいは社会福祉協議会、およびボランティアセンターなども状況は全く分からないとのこと。
一方では報道がその深刻な地域を取材し、深刻な状況を伝えている。

行政ネットワークが完全に破断し、その間隙をメディアがスクープしていく。
メディアは電源供給可能な大型トラックで被災地へと乗り込み、サッと被災者の前にマイクを突きだし、カメラを回す。

ボクたち個人の支援は機動力もなければ、情報も少なく、したがって効果的な支援内容と、それがもっとも望まれている地区へのアクセスも困難という隔靴掻痒の感が強い。

そんな中、まずは活動拠点の見通しはついた。
Welcom ! のメールも届き、明後日、物資と燃料と、満載された支援物資、および地震・津波による被災からの復興へ向けてのお手伝いをするための機材を搬送していく。

この度の支援活動は、大地震から遅れること、4日目の15日に「エスペランサ 木工隊結成へ向け」とのアドバルーンを上げることから始まった。
必ずしも当初はその支援内容、あるいはそのための準備の膨大な内容、および現地へと向かう行動の難しさというものを十分にイメージし尽くしたものではなかったことは、恥ずかしながら幾分あったかもしれない。

いくつもの困難を1つ、1つ俎上に上げ、分析し、これを解決し、打開していく作業は延々と続いた。
この作業をより困難にしているのが被災地のあまりの広域性、さらには壊滅的なまでの深刻な被災状況、そして頭から離れがたいのが福島原発、メルトダウンをめぐる状況の推移だった。

この最後のアポリアこそ、かつてのそれらとこの度の震災を峻別する全く新たな要素であることは論を待たないだろう。

ボクはまだ死にたくない。
原発から、離れて、離れてコースを取り、しかし最後に辿り着く支援拠点は、結局米国政府が自国民退避のメルクマールとした80Kmのライン。

ままよ、といった感じとでも言おうか。どの程度のリスクを負うかは、神のみぞ知る、というところ。
男性の生殖機能へのダメージが大きいというので、そのおびえは深刻なものとなるが、同行する若者曰く、杉山さん、まだ子供産むつもり(?_?)

さて、こうした困難を共に乗り切っていく仲間がいる。
うちに家具制作の勉強にきている若者、Kさん。
そして03/15発のBlogに応え、手を上げてくれたのが、関西の木工家集団、「木の仕事の会」の重鎮、服部さんである。

これはどう考えても、ボクの不甲斐なさというものを埋めることなくしては、この企みは成就しがたいと思い悩んだ末の決断であったに相違ない。

ボクとすればとんでもない企画に引っかけてしまったかという悔悟もあれば、運命共同体としての近しい関係性の新たなはじまりに心の高まりがあったりと、なかなか複雑な思いが交差するここ数日だった。

彼は阪神・淡路大震災でもボランティアを経験している先輩にあたる。
また建設業を含む様々な経験を踏まえた働きができる人材である。
そして何よりも洞察力に優れ、社会性においても大人の風格を持ち、それらを支える背骨には鍛えられた知的リソースがある。

ボクとバランスが取れないって?
それを言っちゃぁおしまいよ‥‥‥、

お会いしたのは確か二度ほどでしかなかったはず。しかも大勢の会議などでのクロスでしかなかった。
しかし思いの共有というものは数を重ねることでできることもあれば、1度で十分に交歓できるものもあるだろう。

多くの彼を知る人は、彼の参加によって、この企みは無事に遂行されるだろうと安堵したに違いない。

さて、Top画像は今日の機材テストのシーン。

ロケットストーブ

ロケットストーブ

神戸の気鋭の木工家から提供頂いた「ロケットストーブ」
ここ数年使っていなかったコールマン2バーナー、あるいはモンベルのムーンスターV、
本人のボクが忘れていても、若いKさんはさっさと組み上げてくれる。

ボクを除けば有能でよく働く人材たちだ。
それぞれに良いコンビネーションで動けるだろう。

*画像右が「ロケットストーブ」
はじめて見、はじめてTestさせてただいたが、怖ろしく高効率な木質燃料を熱源とするストーブであった。
大いに現場で活躍してくれることだろう。
hoopさん感謝に堪えません。 _(_^_)_

*物資支援、義援金をいただいた方に

みなさま方にはそれぞれお礼の挨拶、mailへの返信をしなければならないところですが、いくつものエンドレスな作業に追われ、不義理をしています。
誠に申し訳ありません。この場を借り、あらためて皆さまの尊い支援に深い感謝を述べさせていただきます。
ありがとうございました。

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