工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ウォールナットの両袖デスク

BW デスク

BW デスク


ブラックウォールナットの両袖デスクです。

実はこれは〈Gallery 悠〉のショールームに置かれるものとして設計されたデスクです。

ショールームでの接客用のカウンターでもあり、管理者の事務用デスクでもあるというわけです。

Wideが2,400を超えるという、デスクとしてはかなり大ぶりなもので、必ずしも一般的に需要があるものでは無いかも知れませんが、企業の重役クラスでは、広々とした空間で事務を取るというケースもあるでしょう。
エグゼクティヴ デスクとでも命名しましょうか。

構成

ブラックウォールナットの700wを超える幅広の一枚板の良材(2寸板)を甲板とし、重厚な4本の脚部(120w 75tの断面)で支えるという基本構成です。

BW デスク

BW デスク


甲板と脚部の結合ですが、甲板の左右に通された吸い付き桟(寄せ蟻)を脚部フレーム横桟にボルト結合させました。

背部(この場合、接客側になりますので、実質、正面になります)には、これも27mm、幅広の一枚板をドーンとシンプルに納めました。
この一枚板は左右脚部の上下にホゾ差しされた太い貫(横桟)に嵌める、という構成になっています。(下の貫は内側に隠れています)

中央部に補助的な脚を配してあります(これだけの厚い甲板であれば、中央が沈むことも考えにくいものの、経年変化に対応するには、やはり必要かなと考えたわけです。

脚は上下方向でテーパーに削りだしました。
120×75mmというデスクとしては重厚な脚部断面になるわけですが、やや軽やかに見せるための処理です。
また四方の角は、大きくなだらかな面を取ることで、重厚ながらも、柔らかいラインを出しています。

※ こうした面処理ですが、全体のフォルムにも、意外に大きく影響を与える要素になります。
ただ坊主面を取れば良いというわけではなく、エッジを効かせるため、鎬面を活かす、あるいは全体のフォルムとの関係で、柔らかなイメージを出すための面処理として、見付け側はなだらかに、見込み側にはシャープに、といった風に、造形処理として面処理を位置づけ、意識的に削り込むことが求められます。
BW デスク

BW デスク

抽斗駆体

手前(事務を執る側ですね)には左右に抽斗の駆体を配しています。
この抽斗の駆体は脚部、および甲板に密着、吊り下げていますが、デスク本体とは別に制作し、それぞれ完成後に結合させています。
脚部上下の横桟、および甲板に通した吸い付き桟(寄せ蟻)、計6ヶ所でボルト結合させるという方式です(ボルトは10mm)

また中央下部、奥まったところに250mm幅の棚を配し、これは左右袖駆体に寄せ蟻で結合されています。
もちろん、棚としての機能(様々なIT関連機器、オーディオアンプ等が納まる場所になっています)もあるわけですが、それに留まらず、デスク全体の構成を考えた場合、剛性、堅牢度をより高めるための必須の部材でもあるわけです。

そうした要請に応えるため、ここは蟻桟という仕口で結合させるわけですね。
決して抜けもしないし、縮まりもせず、寸法安定度は極めて高くなります。
なお、この蟻桟も寄せ蟻です。前後、蟻溝を見せるのはクールじゃありませんからね。

〈抽斗 仕様〉
寸法:420w 560h 515d
構成:板差し(全ての部材、矧ぎ無しの一枚板)
   上部は7枚組手(見付は留)
   下部は10mmほど散らし、面腰でのホゾ差し
抽手:ローズウッドの工房 悠オリジナル

この抽斗の前板ですが、左右ともに、一枚の板からそれぞれの深さ(幅)で割り付けています。
そのため(木理が連続していることもあり)上下、一枚の板として見せるよう棚口は隠しました。

さらに前板、面処理ですが、一枚の板の如く、全体の外枠のみに片銀杏様に施しています。
またそれらを、少し強調すべく、駆体側はなだらかな坊主面を施し、凹凸の奥行きを強調してあります。

左右とも、全ての抽斗が施錠できます。

ローズウッド 抽手

ローズウッド 抽手

抽手は工房 悠のオリジナルですが、デスクには度々用いるデザインです。
ディテールなど、やや凝った作りですが、硬質なロースウッドということもあり、昇降盤+ピンルーターなどで挑まないと難しい加工になります。

用いた材料

このデスクに用いたブラックウォールナットですが、全ての部材が同一の原木丸太から穫られたものです。
ブラックウォールナット材では決して多くは無いのですが、縮み杢がきていまして、全ての部材にこの縮み杢が観られます。

そうした意味あいでも、すばらしい構成と言えるでしょう。

工房 悠のショールームに置かれており、ご覧いただくことができます。

《関連すると思われる記事》

                   
    
  • こういうデスクで仕事がしてみたいものですが
    隣には、やはり美人のセクレタリーが必要ですね。
    自分ではパソコンなど打ちません。セクレタリーが全て聞き取って
    レターに起こします。
    今この手のデスクを買うのは案外中国人かな。
    日本の会社の経営者も最近中国人が多いようですね。

    • >美人のセクレタリー
      良い方がいらっしゃったらご紹介くださいな。
      業務に秀で、私のワガママ受け入れ、Web更新もやってくれる人。

      中国人、いいですね。
      台湾でも、香港でも、北京でも Welcomeです。
      ・・・ただ、支払い能力あっても、近代化をスルーしちゃってるお国の人ですので、
      こうしたデザインは好まないでしょう。

You can follow any responses to this entry through the RSS 2.0 feed.