工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

職業としての家具作りについて(4)

家具製作に求められるもの

消費社会がもたらした画一的な商品としての家具の氾濫は極限的なまでに進行する欲望社会の到来と呼応する形でより無機質に、デザインされることすら罪であるかのようなミニマルデザインがもてはやされるなどの混迷期に突入しているかのようだ。
そうしたものはインテリア雑誌を飾るとともに都市の先進的な消費空間、カフェ、飲食店などにはお似合いであろう。
これらはしかし、デザインとしての耐久性は低く、次から次へと猫の目のように取り替えられていく宿命でしかない。つまりは消費されていくものとしての制約下での有用性なのだ。

人々が生活する住空間ではどうであろうか。
消費空間、勤労空間において求められるものとは明らかに異なるものを必要とするだろう。
単なる機能主義ではなく、欲望を刺激させるデザインのようなものではなく、やはり1日の労働を終え、一人で、あるいは家族と、そしてまた恋人と、友人と…、決して長い時間でないかも知れないが、しかしそれだけにまた貴重な時間を共有するために求められるものがある。

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ドリルスタンドの世話に…

ドリルスタンド1時としてプロの職人も間違うことはある。
ミラーの枠の軸吊り部へのボーリング径の穴開けのやり直しだ。
当然、組み立てる前にパーツの段階で所定の金具にフィットする穴を穿っておくものだ。
そのように事を進めて、首尾良く組み上げたものの、所定の金具が入手できないことを知る。(廃版になっていた)
仕方なく、新しいタイプのものにフィットする穴を開けねばならないが、組み立てた後ではいささか困難を強いる。一般の“ボール盤”でできないことはないが、なかなか設定がやっかい。
そこで登場するのが、このドリルスタンド。
まぁアマチュア向けのものかもしれないが、これは木工修行する前に求めたもの。
BOSCH製だが、ベースを含む主要部分はアルミダイキャストなので、かなりしっかりした作りだ。また深さ微調整機構なども、あなどれないものを持っている。

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職業としての家具作りについて (番外)

一昨日(20日)の「職業としての家具作りについて (3)」記事へしっかりと応えねばならないコメントが投稿されたので、こちらで記述することにする。

Genji Sugiさんなる人からのものだが、恐らく初コメント。
>私は全くの趣味で木工らしきことをしています
というのだが、どの程度木工について携わってきたかは不明。
しかし全くの素人でもないので、その指摘にも頷かせるものがある。
逆に少し誤解されているのではないかと思われるところも散見されるので、それらも含め見解を述べたいと思う。

あらかじめ断っておかねばならないが、こうしたコメントへの回答は相手が例えどのような方であっても誠実に対応したいという姿勢に変わりはないが、今回のようにかなり具体的な問題への言及であれば、その回答も相応させるべく、かなり専門的、かつ厳しいものにならざるを得ないものになるだろうということ。

またかなり手厳しいコメントを含むものなのだが、個人的にはむしろそうした厳しい評価がないところからは何も進歩はないだろうし停滞するだけだろうから、むしろ今回のようなものも大変ありがたく頂きたいと思う。
この「厳しい見解」もまた、発信者が有すると考えられる資質を担保として可能となると思うからだ。

さてSugiさんの論旨は

  1. 特定の危ない方の好むようなデザイン、
  2. アーリーアメリカン様式家具をカントリー調なとど称して高く売る
  3. 天板のエッジはナチュラル(=ノタ付き、皮付き、)
  4. 塗装はオイルフィニッシュ(何故ラッカー塗装をしないか)
  5. 椅子のシートハイ(お尻の部位の高さ)が低すぎる
  6. 図面を添付させよ

といったところだろうか。
まずは個々にボクの見解を述べよう

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職業としての家具作りについて (3)

家具製作のもう1つの本来の姿

近代産業がもたらした大衆消費社会によって家具というものが住宅の中へとあまねく導入、設置されていく過程において、その供給元は町の木工屋からマスプロダクトの製造システムを整備した家具メーカーへとシフトしていった。それまでの木工屋は細々と商いを続けるか、家具メーカーの下請け、孫請けとして傘下に納まることで糊口していくことになったであろう。

大量生産、合理的製造システムは一定の品質を保持しつつ廉価に販売できることで、住宅の近代化、生活の近代化に寄与していった。
この家具メーカーにより生み出される家具も、時代と共にその品質は向上していったことも確かなこと。
一方この量産製造システムへのシフトの過程というものは、家具の構成というものを大きく変貌させていく過程でもあった。

当然無垢材のように自然有機物そのものを素材として用いることは量産システムには馴染まないことが多く、これに変わって合板という人工的な材料が開発、取り入れられるようになっていったことに典型されるように、材料そのものの変化というものが大きく家具の姿を変えていった。

このことは確かに品質の安定化をもたらした近代工業社会の恩恵ではあっただろうが、実は木という有機素材の姿を借りた全く別物、工業製品としての商品を見せられることになったことも一方の事実だった。
言い換えれば、量産システム=大量の複製(コピー)システムには有機素材としての固有性は阻害要因以外の何ものでもなく、如何にこの不安定性を排除させるか、の闘いでもあっただろうから、家具の素材としての木もまた他の工業素材同様のマテリアルの1つとして(固有の表情を剥ぎ取ったそれとして)解釈されねばならなかったのだ。

また家具の素材は「木のように見せる」方向だけではなく、近代工業社会の主産物でもある石油化学製品を積極的に取り入れることで、木では叶えられなかった可塑性を活かした新たなモダンデザインを開発、製造していくようになっていった。

ここでちょっと脱線させてもらうが…、

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職業としての家具作りについて (2)

2回目の記述を始めるに当たって、少し「職業としての家具作り」と言うものの在り方(存在形式)について考えておきたいと思う。つまり業態によってその捉えられ方も異なってくるだろうから。
しかし実は業態をいくつかの形態に分けると言ってもその線引きは難しいだろうと思う。したがってかなり荒っぽい区分けをせざるを得ないことを断っておきたい。

  1. 資本を市場から調達し、大規模な設備を備えた家具メーカーというものに従事する職人
  2. 零細な規模の木工所に従事する職人
    ・1.のメーカーの下請けとして業務する木工所
    ・大きな家具販売店、問屋などと繋がって受注生産する木工所
    ・一貫生産しつつ、独自の自社ブランドで販売する木工所
  3. 個人が独立経営する木工所(一人親方、あるいは数人のアシスタント、弟子が付く場合も含む)

とりあえずいくつかの形態を挙げてみたが、今回の記述の対象は3であることは自明だが、これはさらにいくつもの形態に分かれるので、まずここで概観しておきたい。

  • 自身のオリジナルなものの制作に特化させ展開する、いわゆる個人家具作家
  • 特定の、あるいは複数の木工所の下請けとして制作することを業務の中心に置き、一方で空いた時間に自身が作りたいものを制作し、展示会などを行う職人兼作家
  • 木工教室などを業務の中心に置き、一方で自身のものを制作する講師兼作家
  • 訓練校、美術学校などの制作助手を兼ねながら、一方で自身のものを制作する助手兼作家
  • 特定の、あるいは複数のデザイナー、あるいは建築家の依頼を受けて制作することを業務の中心に置き、一方で自身のものを制作する職人兼作家

あるいはこれらには該当しない形態もあるだろう。
また一人の職人を対象にしても、時間の推移とともにこれらの形態を様々に移行していくことも多いだろうし、複雑に絡み合っていることもあるというのが実態だろう。
このように個人経営の職人にしても家具製作の態様は実に様々。

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職業としての家具作りについて

家具制作を生業としてから修行時代を含めればはや20年になろうとしている。

これまで工房経営は決して安定したものでもなかったし、家具屋に甘んじていることに悔悟が全くないということでもない。
今回は「職業としての家具作り」というテーマになる。

(テーマは決してお気軽なものではないので、数回にわたったものになる)

最近「職業訓練校」情報提供の記事をエントリーしたばかりなのだが、これに冷水を浴びせかけるような記述になる嫌いをあえてするには理由がある。
本サイト「木工家具の工房 悠」に相互Linkさせていただいている名古屋の宮本さんの今月の巻頭言◆ 家具作りという職業について ◆、という記事に触発されたからである。

詳しくは宮本さんのサイトを読んで頂きたいと思うが、(参照)木工屋として家具作りを職業にすることの経済的側面からの困難性を指摘し、今の時代にあえてこのような職業に就くことの意味について考察してくれているものだ。

内容的には同意せざるを得ない箴言を多く含むものでもあると承知しつつも、しかしそれではちょっと身も蓋もないだろう、というところから少し考えてみたい。

当然にも問題の指摘の先には自身がいることも明らかなのでこの記述は戒めとしての意味も持つだろう。

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菫(すみれ)と墨入れの関係

すみれ1ここ数日日本列島は春の嵐に見舞われた。当地でも雷を伴う強風、大雨をもたらし、可憐に咲いていた庭のすみれを打ちのめしてしまった。
さらに今夕から再び降雨の予報。あわてて撮影していなかったすみれをEOS kiss DNに納める。
数少なくなった元気の良いものを選び、跳ね返しの土で汚れた花弁を筆でやさしく取り除いた後に撮影。
あわてたのには実はもう1つ理由がある。NHKラジオですみれを話題にしてくれたから。すみれの語源についての話だった。
業界の人間ではあるので知っていたことだったが、あらためてメデイアで話題にされると、画像に納めたくなる。
しかし一方の墨壺(「墨入れ」の一般名称)は所有していない。普段使っているのは味も素っ気もないプラスティック製品。
木取りの工程での*1墨付けのために用いられる*2墨壺は大工には欠かせない道具の1つだ。
木工屋でも時折世話になることがある。“時折”であって必須でもないのでこだわりの対象ではなくプラスチックのもので事足りる。

すみれ2
墨壺菫(すみれ)の語源は右画像のように、蜜だまりが墨壺のお尻に似ているところからこの名称を頂いたものだ。
墨入れ(=墨壺) > すみれ
いつの頃からこのような名称が付けられたのかは知らないが、かなり昔、古代に遡るかも知れない。
ここで知ることは、昔は「墨壺」という大工道具もごく一般に知られたものだっただろうということだ。
すみれの咲いている庭先で普請をする大工がまず最初に取り出す道具がこの「墨壺」であることを見知っている人たちは多かったに相違ないだろう。
してみると「Violet」「Viola」という学名、欧米の名称にみられる単なる色調から引いた名称と較べ、日本人の植物への命名のこだわり、特徴というものが感じられる。
墨壺画像は土田一郎著『日本の伝統工具』(鹿島出版)から撮らせて頂いた。

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*1墨付け:切断など加工工程のために目印の線や印を墨糸を用いて付けること
*2墨 壺:壺の部分には墨肉を入れ、糸車に巻き取られている糸を墨池の中を通してぴんと真っ直ぐに張り、先についた小錐、仮子(かりこ)を材木に刺す。これを垂直に軽く弾くと墨線が材面に印される。
職人は装飾的な彫刻を施したものを工芸品として尊ぶ。
メンテナンスが面倒なので、今ではプラスティックなものに切り替わっている。

訓練校(木工)関連情報 LINK集

技専


木工技能の修得のために、「職業訓練校」(技術専門校、テクノセンターなどとも呼称される)の情報を探している人へ向けたネット情報Linkページです。

《木工志願者で「職業訓練校」をめざそうとする若者へ》
木工という工芸の修得には基本的技法を学ぶことが重要です。

そのために様々な教育機関、講座が開かれています。
木工加工技能の修得のためには「職業訓練校」という行政機関の制度、施設を利用するということが選択肢の重要な1つになっています。

この頁では各地域にある木工のカリキュラムを持つ「職業訓練校」のネット上の情報を集約し、また関連する情報を持つBlog、Webサイトも合わせて紹介し、皆さんへの「職業訓練校」選択に寄与させるべく公開するものです。

なおその情報取得、Linkの性質上、情報の確度、および現在のカリキュラムの実態などはご自身で直接確認されることを前提とするものです。
あくまでも基礎的な資料を提供するものであることをお断りします。

またここに記載されている情報は優劣を示すものはありません。同様にここに記載が無く他に重要な情報がある可能性も十分にあり得ます。
特にBlog、個人運営のWebサイトはあくまでも各々の管理者の下で全く任意に記述されるものですので、それらの情報としての確度、信頼度の評価を保証するものではありません。

Linkしている対象サイトの管理者に問い合わせすることは自由でしょうが、当管理者が「問い合わせに応ずる」確認をしたものではありません。

関係者でBlogを運営されている方、あるいはWebサイトを運営されている方、さらには他にも良いWebサイトがあればそれらも含め積極的にアクセスしていただき、より豊かな「訓練校」情報ページに作り上げていきたいと考えていますので、ご協力をお願いします。

具体的なアクセス方法については「訓練校(木工)関連情報提供へ向け(お願い)」をご覧いただきたいと思いますが、Blog運営者はトラックバックをしていただき、Webサイト紹介(自薦他薦)にはコメント欄に数行ほどの概要とURLを書き込んでください。

《訓練校のWebサイト 他関連情報サイト》(順不同)

《訓練校情報のあるBlog》(順不同)

《訓練校情報のあるWebサイト》(順不同)

なお不適切なLink、およびLink切れなどありましたら情報をください。
*追記 「平塚高等職業技術校」(06/04/20)

訓練校(木工)関連情報提供へ向け(お願い)

暦も卯月、4月となり新たな人生を歩み始めた人も多いと思う。
このところボクのところへは木工をめざすための基礎技能の修得へ向けた相談が相次いでいる。

先に本ブログで訓練校について少し詳しく触れたということもあるが、先々週末に突然訪ねてこられたのは、以前展示会をやらせて頂いたギャラリーの関係者だった。

アート系の業務に携わってきたものの、今後は木工技能を修得してその方面のデザイン、商品開発をしたい、ついては木工の基礎技能を修得するについてのアドバイスを欲しいというのだ。
「木工家になりたい」などというのであれば頭の上から冷水を浴びせてやるのがオトナとしての正しい対応だろうと思ったが(笑)、デザイン、商品開発へ向けての1つのステップとしてチャレンジしたいということであるし、かなりの実務を踏まえての決意と見たので、提供できる情報及び考え方などについて話をさせていただいた。

数日前その方からあらためて電話があり、「ハローワーク」に出向き訓練校について調べたようで、その内容についての評価を尋ねるものだった。
こうした情報提供は少しばかり先輩としての務めなので、可能な限りしていきたいと思う。

さてそこで考たのは、国内の「木工の職業訓練校」についてのデータベースをBlogを活用することで作成し、的確に情報提供することは木工志願者にとって有益ではないだろうかということだ。

先にエントリーした【木工をめざす若者たちへ(職業訓練校とは)】でも一定の有効性はあるだろうが、全国に点在する訓練校に就学体験をされた方にその実態を伝えて頂くことで、より客観性を帯びるし、これは志願者の選択における有益な情報に成り得ると思う。

《データベースの作り方》

【Blogの場合】

Blogにはトラックバックという機能がある。記事内ハイパーリンクと共にこれを活用したいと思う。
まずGoogleなど検索エンジンで「木工 家具 訓練校 技術専門校」などのキーワードで検索し、ブログ サイトの情報を探す。
これらから訓練校選択に当たって少しでも有益と思われる記事をリンクするとともに、その記事へトラックバックをする。
これで相互の情報の共有ができるだろう。

また今回探し出せなかったBlog運営者でこの企画に同意いただければ、対象頁にトラックバックして頂きたい。

同様にBlog運営者で、訓練校体験者、あるいは指導員、あるいは関連情報をお持ちの方など、本企画に同意いただければ、あらためて関連記事を作成していただきトラックバックしていただきたいと思う。
それらは随時エントリー記事内へと反映させていこうと考えている。
■ 対象頁、TB URL:http://blog.artisan.boy.jp/trackback/464493

【一般のWebサイトの場合】

Blogではなく一般のWebサイトの場合、関連記事へリンクをする。
可能であれば、これらWebサイト運営者にリンクさせていただいた旨報告させていただき、本ブログへのコメントを求めるなど個別に連絡させていきたいと考えているが、これは後日のことになってしまうだろう。

【その他】

Blog、Webサイト運営者でなくとも、関連情報をお持ちの方はコメント、あるいはメールにて情報提供いただければ大変ありがたい。
適宜、エントリー記事内へと反映させていこうと思う。

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Googleで「木工 訓練校」で検索すると20,000件がヒットする。
今回確認させてもらったのは上位300件ほどでしか無い(これだけでも内容確認に数時間を要した)ので、皆さんのご協力が欠かせない。

一方Blogとなるとわずかに10数件しかヒットしなかった。
残念ながら、指導員と思われるような方のBlogは見当たらなかった。(Webサイトでは1件)

対象頁は本エントリーに続いてupする。(訓練校(木工)関連情報 LINK集
また本件のために改めてカテゴリー分類を1項目設けます
〈木工 訓練校関連情報 LINK集〉

地域生活のお付き合いと水仙

すずらん水仙1
昨日は異常気象に見舞われた。荒れそうだということは予報でも言っていたようだが、台風直撃のような降雨、強風、雷鳴。
あわてて電話線を外し、モデムを切り分ける、など大童。
夕刻に外出すると、地域一帯が煙っている。まだ沈むには早い太陽も雲がかかっているのでもないのに奇妙な輝きを放ち、幻想的だ。土埃に覆われているためだ。
時ならぬ低気圧が運んできた黄砂であることは間違いないだろう。

中島みゆき - 回帰熱 - 黄砂に吹かれて
「黄砂に吹かれて」 (^^ゞ
すずらん水仙2今朝は地域一帯の農業用水確保のための“川ざらい”というボランティア行事で駆り出され一汗かく。
昨日とうって変わって穏やかな日和で日射しも一段とその輝きを増してきている。
茶産地の当地だが新芽の伸びも著しいようで茶畑一帯は柔らかな黄緑色に光彩を放っている。
画像はスノーフレーク(すずらん咲き水仙)と、八重咲きの水仙。
川ざらい終了後、隣組の菜園で撮らせてもらったもの。
このお宅では職場退職後園芸に熱を入れていて季節ごとに様々な花を咲かせてくれ地域のボクたちを楽しませてくれている。塀などで遮らせていないところが好感を持たせる。 
作業打ち上げ後の飲酒の後なのでピンが少し甘いかな。
 
八重水仙さて現在このBlogに「職業訓練校」に関するサイト情報をネット上から取得すべく試みているがBlogでの発信は以外と少ないようだね。
暫定的ながらも数日中には取りまとめるつもり。