工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

ミュージックスタンド 更新と課題


ミュージックスタンド、いわゆる譜面台。
既に1つのモデルが作られていたが、これを更新した。

基本的なデザインに大きな違いは無い。
以前、メジャーなオーケストラの常任指揮者をしているN氏宅の食卓セットなどを制作させていただいたのだったが、この指揮者にミュージックスタンドの使い勝手などのアドバイスをもらったところ、いくつかの問題を指摘された。

このNさんからの指摘というわけではなく、実はそのご夫人からのものだった。
彼女はバイオリン奏者。

彼女からの指摘は、曲の練習をする場合、譜面に書き込みをすることも多く、このデザインでは背面が格子状であるために、それができない。

さらには、ペンホルダーが欲しい。
もっと言えば、それは弓を置くトレーぐらいの大きさであればなお良い。
とのこと。

なるほど、いずれの指摘も的を射るもので、
そうしたバージョンを作ることが必要だと感じさせられていた。
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映画『ウィンターズ・ボーン』

忙中閑あり、などと言い訳することもないが、見逃せないものがあれば、仕事ほっぽらかしても出掛けていく。
映画『ウィンターズ・ボーン』(原題:Winter’s Bone)を観る。

隣がそのポスター(アメリカ版)だが、この色調のように、その舞台は鉛色に塗りつぶれされた荒涼としたアメリカ中西部のオザークと言われる高原。

農耕で生きていくのはさぞ難しいだろうと、素人目にも判るほどの困難な地勢。

冷ややかな空気に支配され、ドラマもまた緊張感あふれるものだった。


ボクの感想を一言で言い表せば、アメリカ国土の奥底で、開拓時代を今に生きているルーツたちの物語を垣間見た、といった感じか。
(アメリカ国土の奥底とは、言い換えれば、いかに時代が代わろうが、古層がいまに息づいているアメリカの心臓部とも言える場所なのだろう)
エンターティメント華やかなハリウッド映画とは対極、日本ではほとんど紹介されることの無いアメリアカ社会の闇を描いて実に秀逸なものだった。

監督デブラ・グラニク

監督デブラ・グラニク

また一方、この映画で描き出される特徴として、男たちの頼りなさとは逆に、信頼に足る女たちのたくましさは、女性監督デブラ・グラニクのメガフォンによるものだから、と言ってしまうのは容易だが、それだけではないだろう。女はこうした過酷な世界においてなおたくましいのである。
主役、リーを演じたジェニファー・ローレンスの強さは気高くもあり、聖少女のごとくに印象的なものだった。

インディペンデンス映画のサポートプロジェクトとして有名な、2010年サンダンス映画祭で初公開され、ドラマ部門のグランプリを受賞。
第83回アカデミー賞では作品賞、脚色賞(デブラ・グラニク)、主演女優賞(ジェニファー・ローレンス)、助演男優賞( ジェニファー・ローレンス)にノミネート。
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〈放射能除染・回復プロジェクト〉活動の様子、明日未明TV放映



このBlogで取り上げた〈放射能除染・回復プロジェクト〉活動の様子がNHK BS1で明日未明に放映されます。
ぜひご覧になってください。

取材は「NHK 国際放送局ニュース制作部」でして、海外向けのニュース番組。
したがって放送は皆さん得意の英語版です。(私はからっきし‥‥‥)

  • NHK BS1 12月18日 am4:00 – 4:28(つまり本日深夜)
  • 番組名:[ JAPAN 7DAYS ]
  • 内 容:1週間の海外向けニュース番組
    この中で〈放射能除染・回復プロジェクト〉が行った12月9,10,11日の福島市、二本松市での活動が放映されます。(ニュース枠の中のわずかに数分間でしょうから、見逃さないようにしないといけませんね)
現場の過酷な状況、そして一方では「事故収束」宣言。  
この気の遠くなるほどの乖離は、いったい何なんだ (怒 !!)

sisyphusの如くの終わりなき戦い(福島での除染実証実験は続く)

二本松、田んぼでの農家との除染方法協議(NHK 国際部による取材も)



下の画像、ガイガーカウンター(GM菅)、Terraは60μSv/h以上の数値を示している。
高性能のサーベイメーターの方は、測定限界(30μSv/hを超えてしまい針が振り切れた)
こんな怖ろしい数値を吐き出すのは、福島第一原子力発電所から60kmと離れているはずの、福島市内のとある大型ショッピングセンターの駐車場の一角。
計画的避難区域や特定避難勧奨地点でもない、通常の暮らしを営んで良いとされている福島市内、中心街からわずかに数kmの場所である。

大人でさえ近づくのはヤバイ。
このポイントは一般道路から手が届く距離のところであるので、子供たちの通学途上に遭遇してしまう、そういう場所だ。

福島市内でも市主体の除染活動が行われはじめたらしいのだが、どこまで厳しく計測
調査し、どれだけ効果的な除染ができるのかは、はなはだ心許ない感じがしている。

数泊、駅前のホテルを取ったのだが、館内、部屋では、ここ静岡の地と変わらない低い数値を示してくれるおかげで、熟睡させてもらった。
前回宿泊させていただいた関係者宅では線量計のアラームが鳴り響き、慌てさせたのだったが、冒頭の駐車場の状況と併せ、このように汚染状況は同一市内、同一地域でも、大きなばらつきがあり、一様では無くまだら模様だ。
周囲の地形、土地利用状況、舗装、未舗装の別、等々、様々な要因でその現れ方はまちまちだ。

駐車場は一般には舗装されており、雨が降れば張り付いたセシウムは流れだし、低い個所へと容易に移動する。暗渠へと流れ落ちるところに土や雑草があれば、そこに吸着、固定する。
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フット 二態

music stand FOOT

music stand FOOT

これはミュージックスタンドのフット部分、塗装中。
以前はフラットな形状だったが、このようなカマボコ面に替えてみた。
この脚部は先端に向かい、高さも厚みも徐々に小さくなっていくので、面取成形もイージーでは無く、手鉋シコシコの世界となるが、果たしてそれだけの効果はありや?

などと、考えてしまうのは修行が足りない証拠か。

しかし、手を掛ければ良いというものでは全然無く、シンプルに納める方が良い場合も多い。
ディテールを考えるのは楽しいが、デザインは難しい。

music stand FOOT裏

music stand FOOT裏

ひっくり返せば、このような構造だ。

左右一対の円弧状のズリ脚は、アレーの雇い核で強く、堅く緊結され、ここに支柱がホゾ指しされる。

アレーの延長部分に逆から支柱のホゾが入ってくる。

細長い穴が空いているが、これは支柱に貫通される穴の延長部分。
加工の間違いでは無いので、見逃してもらいたい (苦笑)

以前も同じ事を書いた記憶があるが、こうした接合部は、アレーが最良の方法かも知れないね。

そうそう、以前は、職人の符牒で「おしゃぶり」なぁ〜んて、言っていたっけ。
アレーより親しみやすくて良いだろ ?

hr

ノブもまた木工芸

木製ノブ

木製ノブ

M8のノブである。
木工品の部材の1つなんだが、少し多めに作った。
2種の長さがあるけれど、ヘッドは同じ形状。

材種はクラロウォールナットを主材に、メイプル(カーリー杢)をあしらった。

あしらったと言っても、M8のステンレス六角ボルトの頭を埋め込むために空けた穴を隠すための嵌め込み、というわけだ。

こんな場合、同じ材種だと、目切れが出るので具合が悪いだろう。
そんなわけで、別の材種を使うのがスマートなわけだが、このようにコントラストの強い取り合わせもおもしろい。
(1番手前の1つはオイルを掛けてみたけれど、他のは未塗装)

クラロウォールナットのノブ左は拡大したところだが、杢ッ気があるよね。
あえて説明する事も無いわけだが、この頭は木口、しかしとても木口とは思えない緻密な肌目、木理をしていると思わないかい?

クラロウォールナットならではのものだね。
つまり、木理が一般の木材のように細胞組織が整然と並んでいるのでは無く、ほとんど破調しているんだ。
そのためにどっちが木口なのかが判然としない。

したがって、こうした木口を正面に出すような場合は都合が良いというわけなんだね。

hr

「京都」を殺すな !(COP17・離脱方針と言われる日本)


11月28日からはじまった「気候変動枠組み条約第17回締約国会議(COP17)、京都議定書第7回締約国会合(COP/MOP7)」だが、日本、カナダなどの「京都議定書」からの離脱方針をめぐり、参加国の交渉は座礁したまま動かない、という状態であるらしい。
会議は9日まで。

南アフリカ共和国をホスト国として高級リゾート都市・ダーバンを会場に開催されているCOP17だが、

京都議定書の第一約束期間(2008~2012年)の終了まで1年と切ったこのCOP17、2013年以降の温室効果ガス削減のための次期約束期間が合意されなければ、これまで築き上げてきた国際社会の温暖化対策は大きくブレーキが掛かってしまう。

宇宙船地球号は舵をもがれ、羅針盤の無い状態での航海をしていくことになる。

新たな枠組みについては米国を含み、欧州も「2015年までに交渉を終え、2020年までに発効」という方向性を打ち出し、世界最大の排出国・中国も「2020年以降は削減に責任を持つ必要に迫られる」と歩み寄ってきていると言われているが、
つまり2013 〜 2020年まで、決して短くない期間は、全くルールの無い「空白期間」になってしまう。(asahi.com
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Wikipediaへの支援


数日前、Wikiからの寄付要請に応え、少額だが寄付をした。
( ? こういうことは公表すべきことでは無く、こっそりとやるのが日本的なのかもしれないが、あえて書く ?)
このWikipedia、使い勝手の良いネット百科事典として利用している人も多いと思うが、利用者には暫し考えていただき、応じてやっていただければうれしいな。

インターネットというのは、まずは情報革命として産業革命に匹敵するほどの社会的な影響力を与えてきていると思うのだが、
おかげで、このBlogもネット社会の極限的とまで言えるほどの普及の中で快適に運営させていただいている。

このインターネットとの関わりの中で刺激的で、ワクワクさせられることの一つに〈自由 = freedom〉という理念がそこかしこに、さりげなく隠れているということがある。
これはボクのような者にとり、社会との関わりにおいてとても重要なポイントであると思っている。
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Domino活用に続いて、Lamelloの活用、こんな場合にも

今朝、思いもかけずLamelloに纏わる様々な話しを聞くことになった。
それは見知らぬ人からの電話だった。
最初は要領を掴めなかったのだが、よく聞くとLamelloを取り扱う会社の経営者で、先に紹介した新しい機種〈Lamello Zeta〉がいかに素晴らしいものであるのか、またこれをBlogで紹介(こちら)したボクへの好意的な思いを含むものだった。

さらにはボクがLamello購入した販売店でもある、かつて日本の総代理店であったW社やH社のことなど、欧州の電動工具会社関連の日本における展開の話しなどへと拡がり、なかなか興味深いものがあった。

Lamello社そのものからしてそうなのだが、欧州の電動工具メーカーは類種国内メーカーなどとは企業風土が異なり、かなり趣味的で、モノ作り文化を賛歌するという風な企業理念、あるいは徹底したユーザビリティーの立脚点に立った開発理念を持っていて、したがって例え国内電動工具メーカーがこれらのパテントが切れた後に追従したとしても、所詮似て非なる紛い物しか作り出せない。

Festool社のマシン、Lamello社のマシンの群を抜く秀逸さとは、決してマーケティングありきの開発理念から生み出されるものではなく、そうしたところから一線を画す、いわば工具というものの1つの究極的な完成形をねらったものとしか形容しがたいものがあるように思えてくる。

電話の主もまた、そうした本質を深く理解し、これを普及すべく熱心な商いをするという立場から、こうした本質の一端を明かそうとヘタな紹介記事を晒すブロガーを少し励ましてやるか、という暖かいエールであったのだろう。
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DOMINO活用・こんな場合にも

DOMINO

恥ずかしいミスを晒しても、Dominoの効用の一端を理解してもらうためであれば仕方ない。

ある木工品を作っているのだが、
枘の取り合い、小穴の位置などが少し複雑なため、その部分を仮組し、確認したまでは良いのだが、この枘を抜く際に折ってしまった。
枘が穴に残った状態でもげちゃったのだね。

さて、一般にはあらためて部材を作り直すのが良いのだが、
この部材には既にいくつもの加工が施され、しかも完全なる復元は至難、という代物。

どうするか。
DOMINOである。

本来の枘に代わり、Dominoの平ダボを使うことで、簡便に解決させる。
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