Domino活用に続いて、Lamelloの活用、こんな場合にも
今朝、思いもかけずLamelloに纏わる様々な話しを聞くことになった。
それは見知らぬ人からの電話だった。
最初は要領を掴めなかったのだが、よく聞くとLamelloを取り扱う会社の経営者で、先に紹介した新しい機種〈Lamello Zeta〉がいかに素晴らしいものであるのか、またこれをBlogで紹介(こちら)したボクへの好意的な思いを含むものだった。
さらにはボクがLamello購入した販売店でもある、かつて日本の総代理店であったW社やH社のことなど、欧州の電動工具会社関連の日本における展開の話しなどへと拡がり、なかなか興味深いものがあった。
Lamello社そのものからしてそうなのだが、欧州の電動工具メーカーは類種国内メーカーなどとは企業風土が異なり、かなり趣味的で、モノ作り文化を賛歌するという風な企業理念、あるいは徹底したユーザビリティーの立脚点に立った開発理念を持っていて、したがって例え国内電動工具メーカーがこれらのパテントが切れた後に追従したとしても、所詮似て非なる紛い物しか作り出せない。
Festool社のマシン、Lamello社のマシンの群を抜く秀逸さとは、決してマーケティングありきの開発理念から生み出されるものではなく、そうしたところから一線を画す、いわば工具というものの1つの究極的な完成形をねらったものとしか形容しがたいものがあるように思えてくる。
電話の主もまた、そうした本質を深く理解し、これを普及すべく熱心な商いをするという立場から、こうした本質の一端を明かそうとヘタな紹介記事を晒すブロガーを少し励ましてやるか、という暖かいエールであったのだろう。
このあたらしい〈Lamello Zeta〉という機種はかなり高価で、安易な気持ちで簡単に入手できるものではない。
しかし考えてもみれば、ボクが〈Lamello Top10〉を購入した当時の価格も、物価の推移を考えれば〈Lamello Zeta〉とほぼ同等であったことを思い返せば、阻害するものがあるとすれば、その必要性、稼働率の想定という、モノを買う時の基本的な判断基準に依れば良いということになる。
さらには、ここには単なる耐久諸費材としての買い物という世界では無い何者か、モノ作りの精神とかなり近接する、作り手としてのそのプロセスを楽しむための随伴者といったような意味を持つという、作業者と、工具の幸せな関係がそこにある。
画像は昨日に続く木工品の組み上げの一部。
上部の貫は通常のホゾであるのに対し、下部はLamelloビスケットを2枚使っての接合を示す。
どうしてLamelloなのかと言えば、この接合部は大きな曲面となっていて、適切な圧締が困難なためだ。
さほど構造的強度を必要とするところではないので、こうして強い圧締を要しないLamelloによる接合が都合が良い。
ビスケットという雇い核により、接合位置が制御され、接着強度が増し、胴付き密着度は高くなる。
通常のホゾで接合しようとすればかなり無理強いしなければならず、美しくは組むことは難しい。
このようにホゾで接合すべきところも、Lamelloのような代替的な解決方法を取ることで、スマートに組み上げることができるということもある。
acanthogobius
2011-12-1(木) 21:27
日本の工業化はドイツを中心とする欧州を手本として進められた
と思いますね。
日本の先生だった訳です。
ドイツから輸入する機械は何でも売れた時代があったようです。
生徒であった日本は色々な意味で苦しんでいますが、先生は悠々とした
もんですね。見習いたいもんです。
ところで、Lamello Zeta、今にも購入しそうな勢いですね。
購入しましたら、また報告お願いします(笑)
artisan
2011-12-2(金) 00:00
acanthogobiusさんは、お仕事柄、こうした領域は深部において了解されていらっしゃることでしょうね。
恐らくは日本のテクノクラートから末端の技術者に至るまで、日本は既に欧米を抜き、世界最高水準の工業立国だと信じて疑わないのでは。
しかし、こうした小さな電動工具から見えるのは、職人が使う道具への、彼我の愛情の差異です。
Lamello Zetaですか、それはacanthogobiusさんの方が早いのでは?
ワタナベヒロシ
2012-1-21(土) 17:45
はじめまして、ワタナベヒロシと申します。
関西方面でオーダーキッチンを手がけております。
一年ほど前より、楽しく拝読させて頂いておりました、今回
この記事を目にして少々(本当は大いに)驚きました。
artisan様に電話をされた主に記事を紹介したのは私であったからです。
事象は目の前で展開されている様に理解させる語句の多彩な事、読む者を引き込む表現の巧みさは他の木工Blogには無いと紹介させて頂き、artisan様がZetaを使用されれば、有用性が周知される事と思いますと、、つい余計?な事を話してしまいました。
その二日後、、Blog記事を目に致し驚いたと言う次第です。
Zeta、昨年入手しキッチン作りに利用しております。
何かの御縁かと思います、これを機にお付き合いさせて頂きたく
宜しくお願い申し上げます。
artisan
2012-1-22(日) 23:54
ワタナベ様、コメントありがとうございます。
今、あらためて、お電話頂いた時の相手様の弾んだ声を思い起こしているところです。
Web上とはいえ、このように関連機器を介した交流ができるのはありがたいことです。
実は過日もある訪問者と欧州電動工具についての話しをしていたところですが、
最後は、日欧メーカーの設計思想、企業理念における彼我の差に話しが及び、
モノづくりとは、一体何なんだろうね、などと慨嘆したものです。
どうぞこちらこそよろしくお願いいたします。