工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

“手作り家具”と機械設備

先のサンディングに関わる記事は執筆者の思いとは遠く、あまりコメントも寄せられることなく沈んでしまっているが、これはそのまま評価として受け止めるとしても、サンディングを離れて機械設備一般について少し考えてみよう。

これは難渋な文体に付き合っていただいたようであるacanthogobiusさんから寄せられたコメント「個人工房での機械をどのように位置づけているのかポリシーが少し解った」というものにインスパイアされたものである。

ところで、このBlogで相互Linkいただいているユマニテという人がいるのだが、あくまでもBlogを介した関係でしかないので面識もなければ、プロフィールもあいまい。また独立経営している木工家ではなく、どうも椅子の試作、制作を基軸とした業務内容の木工所に勤められているキャリアの職人さんのようだ。
この木工所は彼のBlogでは明記していないが、ただボクが知らないだけで、どうも首都圏の業界ではとても有能で力のある椅子制作のノウハウを持ったところとして有名なのだそうだ。

決して彼の方からLinkを求めてきたわけではなく(かえって迷惑かも知れないしね)何故Linkしたかといえば、以前このBlogにコメントをいただいてから、彼のBlog(■■木工所のに−さん奔走す■■)を通して、ただただ仕事の内容がおもしろく、良いスキルを持って、常に新しいデザインにチャレンジしている志がうれしいからだろうね。
もとより、Blogに綴られている仕事を離れたオフでの日常にも若い知性というものを感じさせられ好感を持つ。ハンドルネームもだけどね。

さて、あなたの椅子造りは“手作り”なのでしょうか、との問いをユマニテさんにぶつけてみれば、何と応えるだろうか。ハハハと笑い飛ばすだけじゃないかな?

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お天気レーダーとにらめっこ

キャビネット制作途上なのだが、このところ天気が優れない日が続き、少しストレス気味。
11月は記録的な小雨で推移したようだが、これを取り戻すかのような師走の天気だね。
昨日あたりから回復してきていたので、今日は一気に組み立て作業を ! と、意気込んで朝を迎え準備に勤しんでいたものの、あれれ、お空には雲が広がり、湿度計の針は雨への兆しを知らせている。
ヤバッ‥‥。
あわててMacから気象レーダーを確認すると、伊豆半島には薄い雲が広がっているものの、この辺りにはそれらしい雲はない。
さて‥、と天気予報を確認すれば、夜半辺りから降水確率が50%を越える数値を示している。
まいったね。
組み立ては乾燥した大気の状態で行わないと、いずれ乾燥してくることで接合部が切れていく、胴付きが甘くなるなど、障害の原因になりがち。
仕方ないから、段取りを大きく変更。組む予定の部材はしっかり養生しつつ、影響をおよぼさない他の作業へと移行する。
これで組むのが2日ほどずれ込むかな。トホホッ
てるてる坊主、作ってみようか。
下画像は、先日散策した旧古河庭園(東京)
(何か、絵はがき様でつまんない写真だ。小雨で色も冴えないし)
古川庭園
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国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)の行方

今日、11日は「京都議定書」が採択されて丁度10周年にあたる。【1997/12/11に京都市の国立京都国際会館で開かれた第3回気候変動枠組条約締約国会議(地球温暖化防止京都会議、COP3)で採択】
奇しくもインドネシア・バリ島、ヌサドゥアでは「国連気候変動枠組み条約締約国会議(COP13)」が開かれ、いわゆる「ポスト京都議定書」の枠組みが作られようとしている。(今週、金曜日まで) 
一方昨夜ノルウェー・オスロではアル・ゴア前米副大統領と、国連の「気候変動に関する政府間パネル(IPCC)」へのノーベル平和賞授賞式の様子が外報にきていた。
しかし皮肉なものだ。COP3京都議定書採択にあたって当時の米国副大統領ゴアが大きな立役者となり、そしてこの度ノーベル平和賞を授賞したその時に現米国政府は、ポスト京都議定書・新たな枠組み作りへの最大のブレーキと成り下がってしまっている。
なお日本だって10年前には議長国として採択に最大の努力を傾注した話しは今や過去のもの。
常に米国の顔色を窺いつつ、あいまいな姿勢で自らの「京都議定書」を反故(ほご)にしようと企んでいるかのよう。これには国際NGOから強く牽制されている。
また昨夕のNHK「クローズアップ現代」では前日までバリCOP13に参加していた亀山康子さん(国立環境研究所 主任研究員)をゲストに迎え「シリーズ地球温暖化 / 森林破壊を食い止めろ」とタイトルされた内容で構成されていたが、これは個人的にはとても衝撃的な問題だった。
自身の認識の浅さを突きつけられるとともに、地球温暖化をめぐる問題解決の困難さをあらためて知らされるものでもあった。

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木工家具制作におけるサンディング (終)

サンディングバナー
終えるにあたって
サンディング工程は家具制作において欠かせないプロセスであるが、必ずしもその重要性が正当に位置づけられていないのでは、というのが本稿執筆の動機であったが、不十分のそしりを受けるものでしか無かったとは思うものの、少しはその意図するところは伝わったかも知れない。
いわゆる工房というスタイルを旨とする制作現場において適切にサンディングを施すことの難しさにはいくつか理由があるだろう。

  • 高精度の機械設備の設置が困難であること。
  • 高品質な素地調整というものへの認識が浅いということもあるかもしれない。
  • 塗装システムがオイルフィニッシュというということでの、素地調整への要求度の低さがあるかもしれない。
  • 単品生産というスタイルであるために生産性追求へのインセンティヴが低い。

これらは一方の長い歴史をもつ家具製造メーカーの塗装システムにおける1プロセスとしてのサンディング工程と較べれば歴然とする。

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手帳更新の悩み

年も押し迫り、来年の手帳をどうするかちょっと悩んでいる。
ほとんど全ての人々が「手帳」というものを使っていると思う。
ビジネスマン(ウーマン)から、プロフェッサーから、専業主婦から、職人から、そして子供まで。
当然にもそのタイプは多様だ。
ボクも人生のそれぞれの時期の活動内容に応じていくつもの手帳を使ってきた。
いわゆるシステム手帳なるものが普及しつつあった頃にはいち早くこれを導入して使ってきたように記憶しているし、様々なリフィルを探しに銀座伊東屋、渋谷東急ハンズに足を運んだものだった。
しかし、あの上質な本皮のカヴァーに何でもかんでもファイルした結果の厚さも当時としては魅力的なものではあったが、数年使い続けるとそのボリュームに辟易することに。
また木工房というどちらかと言えば汚い環境で気軽に使えるものではなかったので、その後通常は「タナベ経営」というところの「ビジネス メモリー」というタイプの手帳を愛用してきた。

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IMAGINE PEACE

昨夜頂いたユマニテさんからのコメントの「アイスランド ピースタワー」

この10月9日(ジョンの誕生日)にアイスランド/レイキャビクに完成し、とりあえずジョンの命日の今日まで点灯中とのこと。(年末にも点灯)

場所はここ。
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先の記事で「Dream Power ジョン・レノン スーパー・ライヴ」サイトを紹介したが、ここに『イマジン・ピース・タワー』へのヨーコのメッセージがある。
詳細は「IMAGINE PEACE」が良いだろう。

同サイトの除幕式のビデオを視ると、オノ・ヨーコの介添人のような形でリンゴ・スター、ジョージ・ハリスンの妻オリビアが元気な様子を見せてくれている。

“オノ・コード”による「I LOVE YOU」の点灯サインというのは良く分からないけれど。

なお今朝のNHK FM「ウィークエンドサンシャイン」(ピーター・バラカン)は、やはりジョン・レノンの歌(Power To The People )から始まったが、そこでも紹介されていた映画『PEACE BED』をLinkしておこう。
サブタイトルに「アメリカ vs ジョン・レノン」とあるようにFBIにマークされ続けていたジョンの真実を描いた力作のようだ。

ところで光のタワーが注目されたのはGROUND ZERO。
次のLinkはマンハッタン島のGROUND ZEROを望むGTVRです。(Quick Timeのフォーマット。マウス動作で任意に変化させられるパノラマ画像)
こちら

いずれ、このアイスランド ピースタワーも撮影され公開されるだろう。

NHK 本日放映「出張!北欧モダン デザイン&クラフト」

■ 12月7日pm8:00〜8:45 NHK総合
  迷宮美術館「出張!北欧モダン デザイン&クラフト」
・番組内容
「北欧モダン デザイン&クラフト展」の会場で人気の北欧デザインの魅力に迫る。収蔵総数1200脚・世界一の収集家が語る“家具の芸術”デンマーク名作イスの秘密。
・詳細
家具・照明から食器に至るまで、いま、北欧のデザインが大人気だ。
素朴ながらモダン、現代日本の暮らしにもしっとりなじむその色と形。北欧デザインが生まれた背景には、極北の厳しい自然と長い冬を心地よく過ごす人々の知恵があった。
「北欧モダン デザイン&クラフト」展の展示品を見ながら北欧デザインの魅力に迫る。
後半はデンマークの名作イスを紹介。“家具芸術”の秘密を、収蔵数1200脚の世界一の収集家が解き明かす(NHKサイトより)
【出演】稲川 淳二, 香坂みゆき, 3 2 6,
【司会】段田 安則, 住吉 美紀,
【語り】奥田 民義,
【解説】イス研究家・北海道東海大学教授…織田 憲嗣
  
* 関連記事  「北欧モダン  ─ デザイン&クラフト ─」展
■ 「北欧モダン  ─ デザイン&クラフト ─」展 公式サイト

12月8日

明日はジョン・レノンの命日。
27年前の12月8日、ニューヨーク、ダコタ・アパートの前庭でマーク・チャップマンから銃弾5発を受け40歳の短い生を閉じた。

Imagine there’s no heaven
It’s easy if you try
No hell below us
Above us only sky
Imagine all the people
Living for today….
Imagine there’s no countries
It isn’t hard to do
Nothing to kill or die for
And no religion too
Imagine all the people
Living life in peace…

「砂糖菓子のような」(ジョン・レノン自身の自虐)甘ったるい夢想も、あの頃は説得力もあったのだろうが、今の若いミュージシャンはこのような楽曲は作らない。

今や世界は分断されてしまった。
しかしそうした制約を自覚しながらも、例え夢想と言われてもなお、未来を信じたいと考えるのも人間というものの可能性に賭けたいから。

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BOSCHトリマー、電源コードの憂鬱

以前〈BOSCH ラミネートトリマー「PMR 500」〉については少し詳しい紹介記事を上げ、多くの他のBlogでも取り上げられてきたようだが、そこでも触れた電源コードの過剰なスペック、太さというものがこの寒さで一段と邪魔になってきた。
つまり太さもさることながら、気温低下とともに柔軟性が無くとても硬くなり、取り回しに支障がでてしまうという始末。
当地、静岡は全国でももっとも温暖な地域の1つだが、冷寒地ではどうなっちゃうのだろうか。
‥‥ということで冬突入の今、重い腰を上げて取り替えることにした。
ただ、取り替えるとは言っても新たに最適な電源ケーブルを求めたワケではなく、たまたま何かの電器製品から取り外したものがあったので、それと取り替えただけ。(__;)
そんなワケで柔軟性に欠けるという品質の改善にはならなかったが、太さにおいて大きく改善されたので、使い回しはかなり良くなった。
トリマーコード取り替えはヘッド部分を2本のタッピングネジで外し、内部へのアプローチを試みる。
当然にも込み入った配線だが、接栓部分は極小の+ネジであるので、意外と楽に交換できた。
ただコード側の端末処理は半田で固めるなどの配慮は必要となる。
元は〔VCTF 0.75〕というもので直径約9mmであったが、取り替えた方は〔HVDTF 0.75〕で、太さは6.5mm。直径においてわずかに2.5mmの減ではあるが、断面積にすれば半減した。
(画像右下は、それぞれ新旧の電源コード)
数値でお分かりのように銅線そのものの仕様は全く同じ。被覆のVCTという素材の厚みが異なるということだね。
BOSCH設計としては、物理的堅牢性における基準を過度に高くしたことからの選択であったようだが、他のメーカーではそれほどのものはない。
まるで3相2馬力ほどの動力機械への電源ケーブルの如しだからね。
固定して使われるものであればそうしたスペックのものでも結構だが、手持ちで様々な使用環境で使われるトリマーではBOSCH設計基準への疑念を挟まざるを得ないだろう。
百歩譲ってそれほどの太さのものでなければ許容できない、ということであればもっと柔軟性に富む被覆素材の選択を考えるべきではないか。

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アリバイ証明

組み立て
仕事もしています。
一昨日は(慈)雨に見舞われたものの、今朝は澄み切った青空が拡がり、一段と寒さが強まった。
当地では初氷、初霜の報もあったらしい。
寒さはこたえるけれども木工作業にはすこぶる付きで快適な環境と言えるだろう。
そんなわけで今日はキャビネットの帆立を組むなど、乾燥した時期でしかできないことを一気に進める。
今日のタイトルは、あるお客様へのもの。
あまり仕事が進んでいないのではとの懸念を払拭いただくためのもの。
ご覧のように、ちゃんと進めています。ご安心を。
今は3つほどの種類を同時並行的に進めている。
個人の客層を対象とした制作活動となれば、どうしても1本ものが中心とならざるを得ず、そうした状況下、可能な限りにコストを押さえるために複数の制作活動を同時的に進める。
例え制作する種類が違ったとしても、キャビネットなどでは共通する部分は多いもの。そうした考え方の下であれば複数の加工を同時並行的にスムースに進めることは可能となる。
(機会があれば記事にしたいと思うが、多様な仕口を駆使しながらも、それぞれの仕様においてはごちゃ混ぜにせず、一貫した思考で設計することで作業性は高まり、加工プロセスでのミスも減らすことができる)
ところでボクが起業したのは1988年だが、この頃は所謂バブル経済へ向けて経済界は過剰なまでの熱気があり、それから数年はめちゃくちゃな忙しさだった。
こうした環境では同時並行的に進めるための業務管理、スキルというものが嫌が応にも培われた。
六本木のある高級レストランバーの仕事の時はキャビネットだけでも7種類。
テーブルなどを合わせれば11種類ほど。
しかもその中の1つ、バックカウンターなどは3間ほどの長さのもので、デコラティヴなデザインで、中央にはTV収納部分があり、アキュライドのフリッパードアで納めると言った、まさにバブリーで過剰なものだった。
依頼主もこの時ばかりは3名ほどの助っ人を送り込んでくれ、夜を徹しての仕事が続いたのだった。
まさにこの時期は経済原論で言うところのいわば“原始的蓄積”のような過程であったかもしれない。これは単に経済的基盤を作る時期であったことだけではなく、職能というものを形成させてくれたという意味でも、である。
懐古的に語るつもりは毛頭無いが、しかし、現在の技能であれ、仕事の進め方であれ、そうした過剰なまでの仕事量の中から培われたものであることは否定できない。
職人は様々な良質な仕事を、ボリュームにおいてもこなす中からしか、練達な職能を獲得することはできないということは1つの真理であろう。
がんばれ ! 若い職人。
未来を獲得するために、とにかく、良い仕事で、数をこなすこと。