工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

BOSCHトリマー、電源コードの憂鬱

以前〈BOSCH ラミネートトリマー「PMR 500」〉については少し詳しい紹介記事を上げ、多くの他のBlogでも取り上げられてきたようだが、そこでも触れた電源コードの過剰なスペック、太さというものがこの寒さで一段と邪魔になってきた。
つまり太さもさることながら、気温低下とともに柔軟性が無くとても硬くなり、取り回しに支障がでてしまうという始末。
当地、静岡は全国でももっとも温暖な地域の1つだが、冷寒地ではどうなっちゃうのだろうか。
‥‥ということで冬突入の今、重い腰を上げて取り替えることにした。
ただ、取り替えるとは言っても新たに最適な電源ケーブルを求めたワケではなく、たまたま何かの電器製品から取り外したものがあったので、それと取り替えただけ。(__;)
そんなワケで柔軟性に欠けるという品質の改善にはならなかったが、太さにおいて大きく改善されたので、使い回しはかなり良くなった。
トリマーコード取り替えはヘッド部分を2本のタッピングネジで外し、内部へのアプローチを試みる。
当然にも込み入った配線だが、接栓部分は極小の+ネジであるので、意外と楽に交換できた。
ただコード側の端末処理は半田で固めるなどの配慮は必要となる。
元は〔VCTF 0.75〕というもので直径約9mmであったが、取り替えた方は〔HVDTF 0.75〕で、太さは6.5mm。直径においてわずかに2.5mmの減ではあるが、断面積にすれば半減した。
(画像右下は、それぞれ新旧の電源コード)
数値でお分かりのように銅線そのものの仕様は全く同じ。被覆のVCTという素材の厚みが異なるということだね。
BOSCH設計としては、物理的堅牢性における基準を過度に高くしたことからの選択であったようだが、他のメーカーではそれほどのものはない。
まるで3相2馬力ほどの動力機械への電源ケーブルの如しだからね。
固定して使われるものであればそうしたスペックのものでも結構だが、手持ちで様々な使用環境で使われるトリマーではBOSCH設計基準への疑念を挟まざるを得ないだろう。
百歩譲ってそれほどの太さのものでなければ許容できない、ということであればもっと柔軟性に富む被覆素材の選択を考えるべきではないか。


BOSCH銘板ご存じの人も多いと思うが日本ではPSE((Product Safety Electrical Appliance & Material)=という「電気用品安全法」に基づく規制があり(昨年中古品への規制で反対運動が盛り上がったヤツだね)、電源コードもそれに準じなければならない。(参照
もしかすれば、BOSCH製造拠点である欧米の基準との齟齬が、こうした状況を強いているのかも知れない。
なおこれは余談だがFestool社など海外の電動工具の輸入における非関税障壁も、このPSE規制と関係なしとはしないという要素があることも事実だからね。


1400EQ画像はBOSCHトリマー「PMR 500」とFestoolハンドルーター 「OF1400」のそれぞれの銘板。
因みにCEというのは欧州連合(EU)の全ての商品への基準を満たすものに与えられるシンボルマーク。
なお、Festool、Dominoの電源コードは今朝の寒さでも全くと言って元の柔軟性が劣化していない(過剰な太さでもない)。BOSCHのこのような堅さでは、緯度の高い欧州北部地域では使い物にならないからね
さて話しを戻そう。
手持ちの同程度のパワーのものをあらためて確認すればリョービのトリマーの電源コードがかなり良質に思えた。この寒さでも硬くならずに柔軟性を保持している。しかも太さは6.5mm。
動力のパワーもほぼ同様だろうから同等な電源コードに代替できなくはない。
ただ残念なことにこのリョービに使われている電源コードには一般にコードの外側壁面に印刻されている仕様の表記が無い。
いずれ機会があれば電材屋に出向き、適切な柔軟性を持った電力仕様を満たすケーブル素材を入手したいものだ。
せっかくの高性能トリマーは、然るべく快適に使いたいからね。
この分野で詳しい方がおられたら、ご教示いただければうれしい。
VCTFとはビニール絶縁ビニールシースという構造・種別、ということ。
屋内配線に使用される低圧用電線ケーブル。
0.75というのは電線の断面積サイズを示す(単位はsq=スクェアー)
V:塩化ビニール(材質)
CT:キャブタイヤー(種別)
F:コード(種別)
* 訂正(08/12/07)
文中、銘板の画像を「Domino」としましたが「ハンドルーター OF1400」の間違いでした。お詫びして訂正させていただきます。

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