工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

可変 斜面取りカッター(替え刃式)

高速面取盤(SHAPER)は椅子などの不定曲面を持つ倣い成形などに欠かせない機械だ。
先に「可変斜面取りカッター」なるものを入手したものの使う機会も無く経過していたが、今回おあつらえの活用機会がおとずれたので使ってみた。

期待以上の効果と仕上げ結果を認める。

このカッターの特徴は何と言っても傾斜角度を自由に設定できることだ。
0°〜75°まで無段階。
この設定は替え刃の超硬刃を固定するボルトを緩め、刻まれたゲージ寸法に合わせるというシンプルな機構。
2枚刃を同一角度に正しく設定するのが必須の条件となり、かなりビミョウな作業となるが、いわゆるノギス様の目盛りが打たれており、1度単位での設定が比較的容易にできる。

→ 画像下参照:(ここでは12度に設定)
アルミボデーのゼロを基準とし、角度可変の刃押さえ機構に刻まれたゲージを12度あたりに傾斜させ、
次に刃押さえ機構のゼロをアルミボデー側のゲージ2に合わせ(黄色のライン)、それぞれ2個所の固定ボルトを締め付ける。

運転してみたところ、アルミボデーということもあるのか、比較的軽やかに回転し、切削負荷もさほど重さを感じさせず、よく切れた。
うちの高速面取盤は無段階変速を可能にするインバーターを嚙ましており、やや低速(7,000回転ほど)で運転してみた。

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CLAROウォールナットで李朝棚を

CLARO李朝棚(一部)

濃色材で李朝家具という冒険

ブラックウォールナットを主材とし、クラロウォールナットを正面扉に用いた二層の〈李朝棚〉。

納品後に許諾が得られればあらためて紹介させていただくとして、今日の画像は斜め上からのショット1枚だけでご容赦を。

ボクは起業当時からこうした李朝棚と言われる飾り棚を多く制作してきたが、そのほとんどはミズナラなどの国産白木材に拭漆という構成。
国内ではかつて黒田辰秋氏が欅の拭漆で数々の美しい李朝棚を制作していたことは良く知られ、その後多くの木工家がこれに続いて同様の構成で優れた李朝棚を作ってきているように、このような構成が一般的。

一方、海外の濃色材を用いての李朝棚というのはかなり異色。

デニス・ヤングという優れた木工家が来日(帰日といってもおかしくはないが)し、最初に定着したのがたまたまうちに近いところであったということもあり、交流がはじまるのも必然だったのだが、彼は米国で制作したいくつかの家具を持ち込んできており、その中に李朝棚が1つあった。
それが何とマホガニーで作られていたので軽い驚きがあった。

それは決してキッチュなものではなく、古び、濃色を強めていたマホガニーは独特の風格があり、李朝の侘びに繋がるものとして印象的だった。

既にその時、ボクもホンジョラスマホガニーをかなりのボリュームで在庫していたこともあり、意を強くして李朝二層棚などをいくつも作り、それぞれ顧客も喜ばれたものだった。
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2011.8.6 ヒロシマを想う

8.6「平和宣言」

66回目の核廃絶を願う平和記念式典が開かれた。
今年の8.6ヒロシマは例年とは少し次元を異にするものとして注目されていたようだ。
事実これまでには無い内容を盛り込んだ「平和宣言」が採択されている。

他でも無い、3.11福島第一原子力発電所の壊滅的な事故、およびその後のいつ収束するとも分からぬままに浴びせ続けられる放射線汚染という現実を前にし、原水爆禁止・平和運動もこの新たなステージに立ち向かわざるを得なかったことによる。

今年の「平和宣言」(広島市Webサイトより「平和宣言」)では、確かに福島第一原子力発電所の壊滅的な事故に関わる言及は最後段、Webページではわずかに4行ほどのものでしかない。
関連する個所を以下に引用しよう。

今年3月11日に東日本大震災が発生しました。その惨状は、66年前の広島の姿を彷彿させるものであり、とても心を痛めています。震災により亡くなられた多くの方々の御冥福を心からお祈りします。そして、広島は、一日も早い復興を願い、被災地の皆さんを応援しています。

また、東京電力福島第一原子力発電所の事故も起こり、今なお続いている放射線の脅威は、被災者をはじめ多くの人々を不安に陥れ、原子力発電に対する国民の信頼を根底から崩してしまいました。そして、「核と人類は共存できない」との思いから脱原発を主張する人々、あるいは、原子力管理の一層の厳格化とともに、再生可能エネルギーの活用を訴える人々がいます。

日本政府は、このような現状を真摯に受け止め、国民の理解と信頼を得られるよう早急にエネルギー政策を見直し、具体的な対応策を講じていくべきです。

「‥‥訴える人々がいます‥‥」などと他人事のような言い回しからしても、十分な内容と評価するにはほど遠いものがあるわけだが、しかしこれまでの「平和宣言」では決して言及されることのない、いわば聖域へと踏み込んだ歴史的なものであることも確かなのだろう。

3.11後、ここに至るまでは広島、長崎ともに様々な議論が積み重ねられてきたようだ。
原爆と原発の問題は切り離すべきとの識者からの強い提言もあったことも確か。3.11地平にあり、そうした臭いものに蓋をする思考は原水爆禁止へ向けての運動の腐敗と堕落を約束するものではあっても、世界の平和を願う人々への強いメッセージになり得るはずもなく、個人的にはほんの少し安堵したというところ。

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Mac OS Lionをダウングレード

先日〈Mac OS 10.7“Lion”〉に更新したばかりのiMacだが、いくつかの使えなくなってしまったソフトがあるために、OSを戻すことにした。ダウングレードだね。
ただダウングレードしたのではなく、HDDにパーティションを組み、新たに作られた領域にそれまでのOS環境を復元させるというもの。
周辺のソフトが対応してくるまでのしばらくの間、元の環境に戻し様子を見ることとした。

本来、OSのダウングレードはお薦めできないが、これはマシン購入時にプリインストールされたOS以前のものにダウングレードする場合のことだと考えられるので、今回は購入時のものにダウンさせるということなので問題ないだろう、との判断。(この部分、違いますかね? いつまでたってもビギナーMac使いの独り言)

ただ、これを行うには外部メディアに以前のOS環境がバックアップされていることが条件。
ボクもMacユーザーとして、必須の〈Time machine〉を使ってきたので、パーティションを組んだところに、〈Mac OS X 10.6 Snow Leopard〉をインストールし、カスタマイズされた以前の状態に復元させることができた。


以下、簡単にその方法を
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ウォールナット材、またもや弾丸が

フラッシュ構造で作られた戸板。
この枠材から突然弾丸が現れた。
作業者の自分に打ち込まれたものであるかのような衝撃と痛痒。

ランバーコアの芯材を15 × 20mmの断面を持つブラックウォールナット材が取り囲み、フェイスが練られている。

このさほど大きくもない枠材断面から、まさか弾丸が現れ出るとは思いもよらなかったよ。
15 × 20mm、周囲4面ともに、それと想定されるような木理の変化、色調の異常も感じ取れなかったからね。

仮の仕込みを行った後、鴨居に収まる部位をカッターで段欠きしたところ、ピカッ ! と工場の天井からぶらさがる水銀灯の照明を反射する光が目に飛び込み、慌てた。
カッターでの段欠き作業工程では、異音もなければ、火花が散るということもなく、それと気付かせなかった。
柔らかい鉛であるためだろうか。
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私たちに決定的に欠けているのは、このような怒りなのかも

3.11から140日経過。
震災復興という名の戦後処理は遅遅として進まず、原発事業主体の電力会社と地元自治体首長、そして所轄官庁(原子力安全・保安院)の腐臭きわまる癒着、馴れ合いがあからさまな形で暴露され、「この程度の線量では安心」と繰り返されるメディアには、今や誰からも信用されていない。

真実はどこにあるのか、子供を守るためにはいったいどうすれば良いのか、自分の選択はどうあるべきなのか、3.11以降というもの、様々な問題に行動と思考が縛られ、奪われ、ついには思考停止に陥るという悪循環と、こんなことでどうするのかという自己嫌悪、強迫観念がうずまく。

恐らくはその多くが震災復興、およびフクシマ3.11後の帰趨を握っているはずの政府当局者および与野党の政治家諸君の非徹底な取り組み、サボタージュ、怠慢が大きな障害になっていることだけは明らかなようだ。

稲わら汚染で窮地に至ってしまった酪農家のあの苦渋に満ちた相貌は見るに堪えられない。
ボクは彼らを責めるなどということがどうしてできようか。
責任を負わねばならないのは東電であるし、そして適切な防染対策の指導を怠った政府当局者なのだ。

筵旗を立て霞ヶ関に大挙して抗議の嵐が巻き起こらないのが不思議なほどに、彼らは従順で、物言わぬ民なのか。

ここに、一人の放射線を専門とし、毎週のように南相馬市に出掛け除染活動に従事しているプロフェッサーがいる。
2011年7月28日、衆議院厚生労働委員会に参考人として意見陳述している児玉龍彦(東京大学先端科学技術研究センター教授 東京大学アイソトープ総合センター長)さんである。

この怒りをボクたちもフクシマ県民とともに共有したいと思う。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=eubj2tmb86M[/youtube]

クォリティーへの評価(オリジナリティーとの対比において)              ── 村上富朗さんの仕事 ──

ボクはウィンザーチェアについて特段語るべきことを持っているわけではない。
今日の考察については解釈における間違いが含まれるかもしれないが、そこは知見を持つ人からのコメントで補強していただければありがたい。

他でもない、さっさと現世からオサラバしてしまった村上富朗さんの仕事、その主軸であった彼のウィンザーチェア作りについて考察することで、ボクたちの木工への関わり方、その制作のスタンスについて考えてみたい。

この記事は、かつてこのBlogで記述を重ねた〈論考「職業としての家具作り」〉を補完するものになれば良いと思っているが、果たして‥‥。

ボクたち木工職人、あるいは「木工家」でも良いが「職業としての家具作り」に臨むにあたり、人生の選択としての「木工」というものの可能性、あるいは社会的な存在様式というものについて様々な角度から考えてきたのが、上述のBlog論考であったわけだが、村上富朗さんの仕事とそれら業績を検討することを通して、木工職人、木工家の可能性というもを考えてみたいと思う。

既にネット上でも多くの哀悼の言葉が並び、ボクもRSS取得しているいくつかのサイトの記述に触れて感じることは、その多くが彼の人柄にフォーカスを当てたものが主要なものとなっている傾向に、やはり村上さんらしさが出ているなとほっこりするとともに、また一方、モノ作り、家具制作に少しでも関わっている者であれば、彼の仕事の本質に少しでも迫るようなところからの言葉があっても良いのにな、との思いがよぎってしまったというのが正直な感想だった。

まだ四十九日も経ていない時期であればそれも当然かも知れないけれど、彼の仕事を良く知る立場の人からぜひ彼の業績についての詳細な解説と評論があれば、彼の業績もより明確に定着し、彼を慕う若い椅子づくりの方々から、広く一般に木工家具、木製椅子に関わる社会的知見も深まるのではとの思いもしてくるというものだ。
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Mac OS X “Lion”がもたらす快適環境



Macの新OS、Mac OS X “Lion”が先週20日にリリースされた。
ボクは週末にインストールしたが、戸惑いを覚えながらも新機能チェックを行っているところ。

以下、現時点で確認されたところを記述してみよう。

インストールはAPP Store、つまりネットから

今回のOS更新の目玉の1つともなっているのが、ディスクを購入しての光学ドライバからのインストールというこれまでの方式では無く、ネットからのダウンロードという方式に変更されたということ。

一般的なアプリであれば既に半年ほ前に誕生したAPP Store[1] からダウンロードするのが当たり前になってきていたとは言え、まさかメジャーOSの更新データまでがネットからダウンロードさせるとは思い切った決断だと思った。
データ量だけでも3GBを超える容量なのにである。

昨秋に光回線を導入しておいて良かった。ADSLではダウンロードだけでも1時間を超えそうなデータ量だからね。
とても日中には試みることはできず、夜間、睡眠中の作業とならざるを得なかったかもしれない。
光回線の環境でもダウンロードだけで20分近く掛かった。
下り50Mbpsを超える環境なのに、どうしてそんなに掛かったの?
リリース直後で回線トラフィックの容量からのものだろう。
少なく見積もっても全世界から数100万人の人がアクセスしていたようだからね(「Lionのダウンロード、初日で100万件を突破」

なお、ダウンロードにあたっての動作環境だが、メモリーは2GB以上を推奨とのこと。
因みにうちのかみさんのiMacは購入時のママの 1GBしか搭載されていず、慌てて2×2GBを購入せざるを得ない羽目に(苦笑)。
このあたりもネットからダウンロードという方式の制約だろうね。

またサブマシンのMacBook Airは光学ドライバが搭載されていないのだが、ネットからのダウンロードと言うことであれば、他のマシンと同等の環境[2] ということで、密かにほくそ笑んだ。
因みに、Apple社とのIDが同一のマシンであれば1単位のダウンロード購入で複数マシンにインストールができる。

その価格だが、なんと、破格の2,600円。
それまでのディスク版のMac OSの価格と比べると半額ほど。
これはディスクからネットダウンロードに切り替わった経費削減の効果とともに、円高レートでの価格見直しがあるようだ。(マシンの価格も同様に見直されるのだろうか?)
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❖ 脚注
  1. Apple社が運営するMac関連のソフトウェアの販売サイト。楽曲を販売するiTunes Storeと同じようなシステム []
  2. 正しくは、同じ環境とは言えない。
    LANポートが無く、USBアダプタを介してのもので速度は半減。
    USBからではなく、MacBook Airの基本的考え方であるWi-Fiからでは、さらに数倍の時間を要するだろう []

鰻はやはり “石橋のうなぎ”

うなぎの石橋



日曜日のことだったが、土用の丑を前にして「うなぎの石橋」の鰻を堪能。
この日は午前、午後、会場(劇場)を代え、二本の映画を楽しんだ帰路に立ち寄る。
(映画については、またあらためて書いてみたい)

夕食どきにはまだ間があるものの、市郊外に立地する古民家風の佇まいの店外にも大勢の客があふれていた。
日曜日とあってか、駐車場の車のナンバーを見れば、その多くが首都圏からのもの。
覚悟はしたものの、1時間ほど待たされた後、カウンターに席を取る。

例によって、まずは麦茶とお新香が運ばれてきても、酒などのサイドオーダーが無ければただ黙して鰻の長焼きの定食が運ばれてくるのを待つだけ。

混雑していたので普段より時間も掛かったが、30分ほどすればメンパ(曲げ物の器)からあふれんばかりのご飯、肝吸いが運ばれ、その後、数分もすれば黒織部の皿からはみ出た長焼きの鰻が運ばれてくる。
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ワークベンチ・ショルダーバイスの効用

ショルダーバイス

圧締工具というものは木工作業には欠かせないものだが、作業台においても圧締機能はとても重要な要素となる。

手鉋で削る、手鋸で切る、ノミで穴を穿つ、さらには電動工具での切削工程でも被加工材の圧締は重要だ。
これらの作業の基本となるのが、被加工材の安定的な固定だ。
これが不安定では目的とする寸法精度、平滑性など高精度、高品質な加工は前提において崩れる。
そもそも作業者は快適な加工環境になければ疲れ、ストレスがたまるだろう。

ところで、いわゆる日本の当て台と呼ばれる作業台にはこうした圧締機能は付属していない。
ボクが基礎を学んだ信州松本地域の当て台には、木工作業に便利な万力を取り付ける機構があり、従来の当て台を改良して補助的に圧締機能を付加させているところがユニークだった。

一般には立ち台の作業台に万力を取り付けたりして、補助的に圧締機能を備えていることが多いようだ。

これに対し、欧米ではあらかじめ様々な圧締機能を持たせた設計と構造のワークベンチが一般的だ。

今日の画像は、そうしたワークベンチの中でもより使い勝手が良く、木工作業の快適で安全な環境を提供してくれる、スカンジナビアンタイプのワークベンチの「ショルダーバイス」を用いた工程の1つ、扉のヒンジ取り付けのためのルーター切削工程である。
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