工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

北陸行

金沢市21世紀美術館1

金沢市21世紀美術館2

出不精ということでもないのだが、日常の行動範囲を超えて遠くへと出掛けるのは少しばかり勇気が必要となる。
でもその勇気に見合う収穫を得られるのが旅の効用。

今回は起業前に世話になった親方他、数名の木工家、家具職人とともに、ミニバン1台に同乗しての1,000km弱の行程。
主目標は金沢の旧知のデザイナーとの交流と、金沢21世紀美術館他、アートスポットの観覧。
そして白山ふもとの温泉地に宿を取り、白山スーパー林道を抜けて帰路というコース。

金沢はこれまでも何度も訪ねた古都だが、そのほとんどが米原周りの北陸自動車道を利用してのもの。
今回はじめて東海北陸自動車道を利用して向かった。米原周りと較べると片側一車線の区間も多く、距離もわずかに20Kmほどの短縮でしかなかったが、新しい道でもあり快適にドライブすることができた。

金沢市内では迎え入れてくれたプロフェッサーでデザイナーのMさんの案内でいくつかのアートスポットを廻る。
金沢21世紀美術館はみどころいっぱいの場所。
建築はヴェネツィア・ビエンナーレで金獅子賞、毎日芸術賞、プリツカー賞を受賞した妹島和世と西沢立衛(SANAA)。
ボクの住む静岡の県立美術館のように荘厳で閉鎖的なものとは対極で、とても開放的で明るいガラスの外壁、白を基調とした内装はとても心地よいものだった。
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COP10への関心の低さ

18日にスタートしたCOP10(国連生物多様性条約第10回締約国会議)本会議だが、本年度の「国際生物多様性年」終了後、2011〜2020を「国連生物多様性の10年」と位置づけ、生態系の保全に取り組むことで合意、採択の見込みとなったとのこと。
これは「生物多様性条約市民ネットワーク」(日本のNGO)による国連への要請だが、MISIAの記者会見で話題になっていた奴だね(47NEWS

ところで、前回も生態系の重要な一角を占める木材資源を主要素材とする木工家具職人にとって、このCOP10は浅からぬ関係を持つのではと記したところだが、メデイアでの扱いが少なすぎることも影響しているのか、木工関係者の間でも関心が高いとは言えないようだ。

1つの指標として、木工関連BlogでこのCOP10がどれだけ記事として上げられているか、検索かけてみた。
「COP10」と「木工家」、あるいは「木工職人」といったキーワードを使って「Googleブログ検索」で確認。
何と、ヒットするのはこの「工房通信悠悠」のみ。
ブルルッ、これほどまでのお寒い状況。
全く関心がない?
今はとりあえず仕事ができて、食えてりゃいいじゃん、って?
明日の世界なんて、俺たちにゃ関係ないじゃん、って?

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「2010蔵の中の椅子展」開催間近

蔵の中の椅子展DM岡山の家具作家、というよりもファニチャー・クラフトマンと呼んだ方が似つかわしい守屋晴海さんが企画から運営まで手がけられている椅子の展覧会「2010蔵の中の椅子展」が間もなく、この週末から開催されようとしている。
今年もまたその時期がやってきたということになるのだね。
ボクがこの方を知ったのは、他でもなく「暮らしの中の木の椅子展」(朝日新聞社)第1回の時のこと。
この公募展に優秀賞に輝き、華々しくデビューしたのが守屋晴海さんだった。
ボクの「アームチェア大和」という椅子も、この第1回展に向けて応募し、なんとか入選こそしたものの、彼の出品作を見て、こりゃかなわんわ、と脱帽するしかないほどにクールなものだった。
この「蔵の中の椅子展」への出展依頼があったのは一昨年の企画の時。
かなり遠方の地ということもあり、最初は少し逡巡したのだったが、結局快く出展させていただくことにした。
理由はとてもシンプル。何よりも企画者が椅子を中心とするモノ作りを生業とする人、守屋さんであったということ。
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反張直しはコールマンストーブで

コールマンストーブ

木と、クランプと、コールマンストーブ、この組み合わせはいったい何だ。
古くからの読者はお見通しかもしれない。
板の反張を戻す作業に関わるものだ。

板は製材したばかりの時は、基本的には平滑に切り取られているわけだが、その後の天然乾燥、人工乾燥の過程、あるいは在庫保存の過程、様々な要因をもって反張することは知っての通り。

ボクたち木工職人はこうしたことを前提として木取りする。
例えば、厚み9分(≒ 27mm)の板が取りたい場合は1寸1分(≒ 34mm)の荒木を用意して臨む、といったように。
しかしこの一定の基準に納まらないケースもは少なくない。

原木のアテ、節、など、その樹木の生育環境により樹木の内部に強い内部応力が潜んでいるために、これが製材後に解き放たれ、反張するというような原因が多い。
こうした時、この板はどうするかと言えば、焼却炉に捨て去るなどと言うことは恐れ多くできないわけで、小割の部材に回すなどして、歩留まりを抑える。

一方、どうしても目的の部材として使いたいこともよくあること。
そうした場合、やむを得ずこの反張を人為的な外部圧力を加えることで反りを戻すという作業を行う。

この作業は意外と簡単なことで、板の内部に残る水分を活用すればよい。

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不可逆的な生態破壊を伴う生存様式はいつまで‥(COP10を前に)

おどろおどしいタイトルになってしまったが、週明けから本格的にスタートするCOP10(「生物の多様性に関する条約」第10回締約国会議)[Convention on Biological Diversity; CBD]{Conference of the Parties; COP10}については、過去このBlogでも断片的ながら触れてきたが、どうも国内のメディアの取り上げ方はお寂しい感じがしてならないことへの疑念を表現したまでのこと。

地球上の多様な生物(140万種とも1,000万種とも言われる種)により構成されている生態系の頂点に立つホモサピエンス・ヒトの生存様式によって、とりわけ近代化わずか100数十年の過程で数百万以上の種が絶滅、あるいは危機にさらされていることが科学的に明らかになっている現在、これを座視して今の高度に進化した文明を謳歌し、飽食三昧の生存様式をとり続ける限り、人間の生存そのものが危うくなってきているという危機意識の共有から国連環境開発会議(UNCED、地球サミット、於:リオ)からスタートした会議である。

今回は名古屋市がこの国際会議を招聘し、この11日からCOP-MOP5をスタートさせ、来週、週明けから本会議が開始されることになっている。

昨日のニュースで「名古屋・クアラルンプール補足議定書」というのが採択されたことが伝えられたが、遺伝子組み換え作物による生態系への被害対策を定めた新ルールの原案ができたということになる。
日本政府の環境省、外務省筋は、議定書に「名古屋」という名称を入れることに執心したようで、これが結実し喜ばしいところかもしれないが、しかし重要なのは全体会議における「名古屋議定書」が果たして採択されるかどうか、というところにある。

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古色のTVキャビネット、その2

TVキャビネット下台(一部)



コメント氏から寄せられた興味にも助けられ、少し補足的なことを記してみたい。
このキャビネット、全体のフォルムもさることながら、ディテールにおいていくつか心を砕いたところがあるのはコメント氏の指摘の通りであることを隠しはしないが、やはり自宅で使うことを前提としたものであれば、新奇性をねらったり、新しい試みにチャレンジすると言う意味で、若い頃は大いにすべきだろうと思う。

老成してしまうと、チャレンジを行うのは様々な制約の中にあって難しい。
(ボクはまだ青臭いので、チャレンジ平気ですが (^_^;)

さて、具体的にいくつか取り上げて解読してみたいと思う。

〈下台〉
TVキャビネットという機能を前提としたものであれば、まず収納部はそれにふさわしい構成を考える

・全体の構成
AV機器収納部の上に大きな抽斗を2杯設けたが、このことにより、TVの高さがやや高くなっている。
視野角がやや仰角になってしまうので、収納の問題がなければ、その分下げた方が良いかも知れない。

中折れのデザインについて。
これは好みの問題もあるが、より大きく拡がりを持って見せる、立体的、奥行きを見せる、という視覚的効果は大きく、選択肢の有用な1つと言えるだろう。
もちろんこの設計では仕事の難易度は高まるが、それ以上の効果も期待できる。
円弧状の甲板はただそれだけで単純に綺麗だしね。

確かにやたらと曲線を用いるのは好みではないが、必要とあれば適宜美しいラインを書いてみるものだね。
この円弧は半径が5,000mm以上だったから、ビームコンパスを作るのも大変だったはず。
柱を甲板突き抜けるデザインとしたのは、上台の柱との連続性をねらったものだが、これは賛否様々だろうと思う。むしろこうしたことはやるべきではないとの考えも強かろう。
ま、1つの試みとして(人柱として…>_< …)。 More »

古色のTVキャビネット

37Z1キャビネット


地デジテレビ、当初の予定より早まり、昨日納品され、セットアップしたところ。
セットアップとは言っても地デジ、BSデジタル、それぞれのアンテナを接続するだけ。
録画は外部HDDにUSB接続するだけという簡単な作業。

アンテナもUHF、およびBSパラボラ、それぞれこれまで20数年間使い続けてきたおんぼろアンテナではあったが全く支障なし(地デジ対応はぎりぎりまで遅らせたが、BS受信の方は放送開始直後のことだった)。
地デジ・コールセンターへの問い合わせでは旧いパラボラはCSには非対応と言われていたが、そういうことはなく問題はなかった。

家電店、その他地デジ普及促進関連のところの言い分にそのまま乗らないように、自己武装していくことも重要だね。

風雪に耐えてきただろうからアンテナの信号取得レベルは幾分下がっているはずだが、そこはデジタルであるので、映れば完璧だろうし、ダメなモノは全く映らないはず。
今度暇があったらパラボラのお椀、フキフキしてあげようかな。

映像は高精細。階調豊か。
東芝のREGZAという機種だが、フルハイビジョン、LEDパネルは所詮韓国LG電子のもの。
詳しくは良く分からないが、フルハイビジョンLEDパネルを自社生産している国内メーカーはシャープだけでしょ。違った?
家電メーカーでの画質の差異はパネルの品質の他、映像エンジンが大切だが、東芝のものは悪くない。
line

さて、TVキャビネット。

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『サヨナラ民芸。こんにちは民藝』(続)

〈承前〉
順序が逆になってしまったが、『民芸 』(あたらしい教科書 11)は小型の本ながら、サブタイトルの通り確かに「教科書的」構成の書で、「民芸」を概括的に捉えるものとして好書かもしれない。
そうした性格の編集のためか、柳宗悦の工芸思想へと深く分け入るというものではない。
民芸 (あたらしい教科書 11)むしろ特徴とされるのが「新しい民芸」という項目。
プロダクト製品を含む、現代の「民芸」をBEAMSバイヤーらの「眼」で見いだそうとするものとなっており、これに大きく割かれている。
いわゆる従来からの民芸ファンからはお叱りを受けそうなものもあえて取り上げるという大胆な企画ではあるものの、若き監修者(濱田琢司氏)ならではの切り口と言えるだろう。
この書もたまたま汐留パナソニックミュージアムの関連書物コーナーで見付けたものだったが(「バーナード・リーチ展」の時だったと記憶する)、「民芸」の現代的風景を見ることができる。
先に挙げた「サヨナラ民芸。こんにちは民藝」の対談1を読むことで、この監修者・濱田琢司氏という人の生の声を聞くことができ、よりこの書の定位置がはっきりしてくる。

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『サヨナラ民芸。こんにちは民藝』

ここに「民藝」というものをあらためて考えさせてくれるる3冊の本がある。
「民芸」(新しい教科書シリーズ)監修:濱田琢司
「近代工芸運動とデザイン史」(デザイン史フォーラム編:藤田治彦責任編集)
「サヨナラ民芸。こんにちは民藝」(月刊「目の眼」7月号別冊)

出版順に並べたが、上2つは2年ほど前に購入したもの。
3冊目の「サヨナラ民芸。こんにちは民藝」を最近買い求めた。

目の眼増刊 サヨナラ民芸。こんにちは民藝。 2010年 07月号 [雑誌]『目の眼』という雑誌の別冊になるのだが、書店でたまに手に取る程度のもので定期購読しているわけでもない。
いつものように書店の立ち読みで『目の眼』を手にして、この別冊があることを知る。
しかし既に出版元にも在庫が無く、古本でやっと入手できた。

300頁近い大冊だが、対談が6つという構成で、一気に読むことができた。
対談ゲストの過半は初めて知る人達だが、「民芸」というものが、こうした専門的に関わる人によっても、実に様々に解釈されてきたことを知ることになる発見の本だった。

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TVキャビネットを地デジ対応に

AVキャビネット


昨今、このようなものをテレビボードと呼ぶのだそうだが、これって英語圏で通じる用語なのかな?
彼の地では「TV Entertainment Center」とか、「TV/Game Cabinet」といったような呼称が一般的なようだが、とりあえずここではTVキャビネットと呼ばせていただこう。

お恥ずかしい画像で恐縮ながら、これは我が家のキャビネット。
独立自営して直後に制作したものだから、かれこれ20年の余は経過する古色蒼然とした佇まい(ちょっと大げさかな)。

いわゆる自家消費ということだね。
うちは古く狭いチープな住まいだが、家具のいくつかを自身の物で占める。
紺屋の白袴というのもそれはそれで職人が置かれた社会環境を自嘲気味に語るもので好ましくも思うが、必要かつ可能であれば大いに使ってやりたいもの。

我が家では展示会出品物の売れ残りを設置することも無いわけではないが、多くは新しいデザイン、仕口の試作を兼ねたものが多い。
これを実際に使うことで、そのデザイン、機能、使い勝手、さらには経年変化などをテストする。

ところで、TVはご覧のように未だにブラウン管のアナログ受信のものでしかない。
購入して5年余り経過するが、とても良い映りで満足している。

ボクは地デジへの移行には以前より政府総務省、家電業界、放送業者の利権絡みの策謀でしかなく、TV買い換え消費を強制する弱者イジメでしかないと考える立場だし、そもそも放送されるTV番組もゴミばっかりだし、子供の正常な情操、発育を阻害するものでしかないと考えているので、フン、受信できなくても良いワイ、などと、買い換えにうずうずしている妻の懸念をよそに居直っている。

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