工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

北陸行

金沢市21世紀美術館1

金沢市21世紀美術館2

出不精ということでもないのだが、日常の行動範囲を超えて遠くへと出掛けるのは少しばかり勇気が必要となる。
でもその勇気に見合う収穫を得られるのが旅の効用。

今回は起業前に世話になった親方他、数名の木工家、家具職人とともに、ミニバン1台に同乗しての1,000km弱の行程。
主目標は金沢の旧知のデザイナーとの交流と、金沢21世紀美術館他、アートスポットの観覧。
そして白山ふもとの温泉地に宿を取り、白山スーパー林道を抜けて帰路というコース。

金沢はこれまでも何度も訪ねた古都だが、そのほとんどが米原周りの北陸自動車道を利用してのもの。
今回はじめて東海北陸自動車道を利用して向かった。米原周りと較べると片側一車線の区間も多く、距離もわずかに20Kmほどの短縮でしかなかったが、新しい道でもあり快適にドライブすることができた。

金沢市内では迎え入れてくれたプロフェッサーでデザイナーのMさんの案内でいくつかのアートスポットを廻る。
金沢21世紀美術館はみどころいっぱいの場所。
建築はヴェネツィア・ビエンナーレで金獅子賞、毎日芸術賞、プリツカー賞を受賞した妹島和世と西沢立衛(SANAA)。
ボクの住む静岡の県立美術館のように荘厳で閉鎖的なものとは対極で、とても開放的で明るいガラスの外壁、白を基調とした内装はとても心地よいものだった。

現在、企画展は〈ペーター・フィッシュリ ダヴィッド・ヴァイス〉
全く知らなかったアーティストだが、様々なメディアを駆使した多様な作風は、現代のアートという表現行為の拡散と混迷を感じさせるものではあったが、そのウィット、シニシズム、カリカチュアは大いに楽しむことができた。

白山本地堂
林西寺
林西寺no

白山のふもと、白峰に宿を取ったが、この白峰部落には白山信仰を伝える古刹がある。
「白山本地堂」がその代表格。
明治維新後、吹き荒れる廃仏毀釈の動きに翻弄された仏教界の冬の時代、白山山頂に祀られていた仏像をふもとまで担ぎ降ろし、その後、密かに安置し村人に大切に崇められているのが十一面観世音菩薩坐像ほか、数体の仏さま。

隣の林西寺には、ちょっと肝を潰すほどのきらびやかな仏壇と共に、見事な欄間彫刻。
柱から天井まで、全てが欅造り。
欄間は厚みだけでも欅の1mの材料から彫り出したという5つの竜の彫刻。
寺の脇に屋根まで高く掛けられているハシゴは言うまでもなく雪下ろしのためのもの。
温泉宿は他の客はおらず、気兼ねなく温泉に浸かり、地酒に酔い、堅豆腐とイワナに舌鼓を打つ。
話題は昔話からはじまり、C/MからJ・クレノフの若かりし頃の話しまで、尽きることなく深夜まで及ぶ。

帰路は白山スーパー林道を経由して白川郷へと降り、東海北陸自動車道で帰る。

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  • あらまぁ!(おばさん言葉ですいません)
    25〜27日まで、納品を兼ねて石川に帰省しておりました。26日は日中の気温が8℃!! そんな時に名古屋のお客様から電話が入り「えっ!こっちは25℃ですよ!!」 大陸と大海に気候まで振り回されているようです。
    風邪などひかれる方ではないと思っていますので、心配はしていませんが‥‥??
    故郷が石川であっても「白山本地堂」は、名称さえ知らなかった。
    素晴らしい作品は世の中にはたくさんあり、さらに名前が出なくとも素晴らしい仕事をしていらっしゃる方がたくさんいらっしゃる。
    精進しなければ!と、今一度自身に言い聞かせています。

  • みしょうさん、初のコメントになりますでしょうか。ありがとうございます。
    >風邪などひかれる方ではないと思っていますので、心配はしていませんが
    まるで私が○△みたいじゃありませんか

    └ 巷ではそのような見立てが少なくない?って(苦笑)
    石川県はみしょうさんの故郷でしたか。
    ということは、白山のさまざまな恵みに育まれてきたわけですので、「白山本地堂」にお参りしましょう。
    栃餅、かっちり、堅豆腐なども味わえます。
    仏教施設には日本の木工文化の歴史と伝統がひしめきあっていますね。

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