工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

5年ぶりの再会

食卓テーブル
家具制作というもの作りでは、作り上げたものを顧客に使ってもらうことで成立するもので、いかに思い入れを込めたものであれ、顧客に渡ってしまえば、その家具との関係は切れてしまうのが普通だろう。
いわばここで“完結”してしまうということだ。
でも数ヶ月ごと、あるいは数年ごとでも良いので、納入したものに再会し、手に触れることができるのは悪いものではない。
俗に言う「娘を嫁にやるようなもの」などとは言わないが、懐かしさがこみ上げ、制作当時を思い起こさせてくれることは確かで、はにかむように笑みがでるものだ。
そんな柄にもない思いをさせられたのは、画像の食卓セットとの5年ぶりの再会。
この顧客のダイニングを増築した際に納入させていただいたもの。
展示会用にと制作した、最高のブラックウォールナットを用いたビックサイズ2.2m2枚矧ぎの豪華な食卓。
ダイニング食卓と言えば、家具の中でももっとも過酷な使用環境に置かれるものであるが、今回の食卓には細かな傷があるぐらいで、5年経過したものとは思えない良い状態だった。
それだけ大事に使っていただいていたようで、オーナーには頭が下がる思いだった。
今回は再塗装を依頼されたもので、サンダー、集塵機、塗装セットを顧客宅に持ち込み、せっせと塗装を剥がし、ばしっと再塗装させていただいた。
また接合部などの劣化は全く見られず、脚部などはとても良い感じになっていた。
したがって再塗装は甲板部分のみで良しとした。
しかしサンダーには集塵機が必須だね。
厳寒期であったものの、窓を開け放ち、換気扇を駆動させての作業だったが、集塵効率はとても高く、ほとんど埃も立たずに進めることができた。
元はDomino用に購入した可搬型の小型集塵機だったが、様々なシーンで活躍してくれるのでありがたい。

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  • 先日、あるブログの中でウォールナットの退色の
    話題が出ていましたが、この写真を見る限りでは
    その兆候は見られないようですね。
    原因ははっきりしませんが置かれた環境によるものが
    大きいのでしょうね。

  • acanthogobiusさん、ウォールナットの退色ですか。
    なるほど、確かにそうしたことは認められますね。
    特にスチームドの材(現地挽き、現地乾燥材によく見られる人為的に材色操作したもの)は、そうした傾向があるようです。
    この画像のものは天板、脚部とも、原木を購入し、製材乾燥させたもので、天然乾燥のみです。
    そうした材の管理態勢が、5年経過したものであるにも関わらず、さほど退色せずに推移している理由になるのかも知れません。
    あるいは使用環境(特に自然光による影響)、顧客側のメンテナンスの違いも影響しているでしょうね。
    確たるデータを示すことができず、申し訳ありませんね。

  • ありがとうございました。
    スチームドにしても一般の人工乾燥にしても木材が生きている時には
    絶対に遭遇しないような環境に置かれる訳ですから何かしらの
    変化が起きるでしょうね。

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