工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

5年ぶりの帰還(破損修理)

Lam03

Lam03



ダイニングチェアとして使われていたという、〈アームチェアLam03〉が我が工房に戻ってきた。
どのような顔つきで帰ってくるのか、生みの親としての心配もあったわけだが、意外に良い顔つきで戻ってきてくれた。

使い込まれた風格を纏いながらも、懸念された経年使用による色調の衰えは見られず、美しいウォールナットの輝きを放っている。

小さな子どもがシールを好むという児童心理は良くは判らないが、その子なりの美意識であろうか、笠木裏の中央に少女漫画の1シーンらしきかわいいシールがペタッ。

この椅子のオーナー、かなりの巨躯をもつ男性だが、経年使用によるホゾの緩みなどの劣化は見られない。
この椅子の構造は、どちらかと言えば繊細な作りの部類に入ると思うが、自信が付く。

っと、戻ってきたのにはワケがあった。
破損しちゃってるんだ。
背部からアームに掛けてひどくぶつけたそうで、クラックが入っている(画像3枚目 指先)。

さて、どうしたものか。

〈修復方法〉
その1:破損部分に雇い核を入れて再接合
その2:破損部分に2本のダボを活けて再接合
その3:上部を全取り替え

オーナーと相談しての判断になるね。
その1、その2であればサービスの範囲内で可能だが全取り替えとなると、ちょっとやっかい。

でもうれしいね。こうして美しく使ってもらっているというのは‥‥、
修復にも身が入るというもの。

ぞんざいな扱いだと、それなりに‥‥、ということはありませんのでご安心を。

修復が終わり返すときには、再塗装しブラッシュアップして送り出してやろう。
このシールを貼った小さな子が成長し、その子がオーナーに代替わりしてもなお、丁寧に使い続けてくれることを願ってね。

hr

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