工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

“マルチヒール”のシューズにみる〈寄せ蟻〉

木工の技法に頻繁に用いられる接合シズテムの〈寄せ蟻〉だが、思わぬところで活用されていた。

ハイヒールのヒール部分を、様々な高さ、デザインに履き替えてしまおう、というもの。

その設計思考は決して斬新なものとも思えないものの、これをスタイリッシュなハイヒールに導入し、市場に投入したところがユニークであり、やはり斬新なものと言えるだろう。

この靴メーカーはカナダのTANYA HEATH という会社。

市場としてパリをターゲットとしてるところからも伺えるが、ファッションブランドでひしめき合う最先端・パリで一気に女性の心を掴もうというものだろう。

さて、このジョイントシステムだが、シューズ本体とヒール部分が分離、結合することができ、様々な高さのヒール、様々なデザインのヒールに交換し、TPOに合わせて装うことができるというもの。

この結合部に〈寄せ蟻〉が使われている。
もっとも合理的かつクールな接合法だね。

下の動画をよく観れば判ると思うが、接合はシューズの後ろ側の底から差し込み、パチッと嵌め込むというワンタッチ方式。
解放は、内部のかかと部分の底にあるボタンを押すことで、簡単に外れる、というもの。

詳細は不明だが、寄せ蟻の先端部に金属のバーがあり、これがロック機構に填まり、固定され、その部分を解放させることで、寄せ蟻を戻すことができる、ということのようだ。

冒頭書いたように、その接合法自体、決して斬新なものではないと思うが、こうしてファッション性の強いシューズに、このような技法を投入し、スタイリッシュに完成させ、市場投入したというのはすばらしいと思う。

活用方としては、旅行先での2Way、3Wayの使用法だろう。
オシャレして街中に繰り出す時はヒールを高くし、大きなトラベルバックを引くときはローヒールに履き替える、といったように。

木工職人として気になったのは、この蟻の角度だね。
ほぼ45度ほどの鋭角で設計されているようだ。
これはアリ単独での仕様というのではなく、恐らくはロック機構を含むトータルなシズテムから導き出される角度なのかも知れない。

[youtube]http://www.youtube.com/watch?v=sZCXnRJjatQ&feature=player_embedded[/youtube]

Top画像は同社、関連サイトからお借りしました。感謝いたします。

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