工房通信 悠悠: 木工家具職人の現場から

freud丸鋸にみる丁寧な説明

仕口工房内は初夏の陽気。寒暖計の針は25℃を越えるところを指している。
朝まで残った雨も上がり、少し湿潤な大気。
画像はフロアスタンドの加工工程。
柱と脚部の接合部は70mmほどの幅、縦挽きの丸鋸への負荷はかなりなものになり、ぶれのリスクもあるので厚めの胴のものを用いる。
サイズは10″(=254mm)で十分だろう。
というわけで普段あまり使わないfreudのものを使う。
大きな負荷にもかかわらず快適に切削できる。材種もウォールナットという良材であることもこれを助けているだろう。
と、ここでふと何気なく丸鋸を見ると‥‥、
この丸鋸の胴には日本の丸鋸とは大きく異なるものがあることに気付いた。
テフロン加工がしてあるので濃い紅色をしているのは見ての通りだが、多くのテキストがプリントされている。
ここにこの丸鋸のスペックと並んで、用途の情報があるのだ。
freud丸鋸1
そう、先にエントリした丸鋸の選択についての記述を補強するような情報が表記されている。
まず上の画像は左が80枚チップの横切り(クロスカット)用。右は24枚チップの縦挽き(リッピング)用。違いは一目で分かる。(右の縦挽きはちょっと見慣れない逆向きの出っ張りがあるね。これはキックバック対策としてのもの)
しかもご丁寧に各切削内容についての適性が棒グラフとして表記されている。
下は80枚チップの方の拡大部分だが、(クリック拡大)
Rip Wood → Not Recommended
Crosscut Wood → 最も適するとして長い棒になっている.
freud丸鋸2因みにもう1枚の方は、Rip Wood だけが長く表記。他はぐんと下がっている。
説明も不要だと思うが、横挽き鋸で縦挽きしちゃぁイカン。と、強く警告していて、一方縦挽き鋸で横挽きは適しませんよ、と忠告しているものだ。
こんなことは職人世界ではイロハのイであるのだが、イタリアの工業製品における安全基準(あるいはEUにおけるそれ)がそうした表記を義務づけているのかもしれない。
確かに未熟練の工員もいることだろうし、こうしたことは悪いことではない。
日本でも丸鋸の使い方についての理解に到達しない未熟な人もいるかもしれず、キックバック対策のみならず、そうした用途表記を義務づけた方が良いのかも知れないね。
しかしこのfreudのテフロン、どうしてこんなにも赤くしなきゃいけなかったのかな。ハレーション起こしそう。ブルーでも良いと思うけど。
イタリアの工場労働者はまだまだ左翼が強いから?(そんなワケないか :爆)

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